新型コロナウィルスの拡大によって緊急事態宣言が発令され、自粛要請が行われ始めています。
休業を余儀なくされた企業と同時に、労働者にも大きな影響となっているのではないでしょうか?
特に、パートやアルバイトの方は、働くことができなくなれば、家計が厳しい状態へと陥ってしまう可能性がでてきてしまいます。
こちらの記事では、アルバイトやパートの方が利用できるコロナ関連の給付金について解説していきます。
アルバイトの方はもちろんのこと、アルバイトやパートを雇っている事業者にとって役立つ給付金となっていますので、ぜひご覧になってお役立てください。
INDEX
事業主には休業手当を支払う義務がある
新型コロナウィルスの感染防止のために、臨時休業する店や企業が増え始めてきました。
雇用されている方は、働くことができず収入が減り、家計への負担へとつながっていきます。
国では、そのような状況となった労働者の生活を守っていくために、事業主側のは、自身の都合で休業する場合には、労働者に対して休業手当を支払うように、労働基準法第26条で定められています。
◆休業手当(事業主がの都合によって休業する場合)
◆労働基準法第26条で定められている
事業主の都合によっての休業は、上記のように労働者に休業手当支払わなくてはいけません。
ただし、今回のような新型コロナウィルスによって休業となった場合でも、支払い義務が発生するのかは、今のところははっきりとしていない状態です。
事業主の休業には雇用調整助成金
雇用調整助成金は、1981年に設立された制度で、過去にはリーマンショックや昨年の台風19号の災害に活用されてきた助成金です。
労働者の失業防止を目的とした雇用調整助成金は、今回のコロナウィルス感染防止によって余儀なく休業となった企業や飲食店に対して支援を行っています。
上記で説明したように、従業員に休業手当を支払えなくなった場合には、あえなく解雇に踏み切る場合も出てきますが、雇用調整助成金はその休業手当の一部を国が負担することにより、失業防止する役目を果たしています。
次に、新型コロナウィルス感染防止に伴った特例措置をみていきましょう。
アルバイトも可能となった特例措置の5つのポイント
雇用調整助成金の対象となるのは、雇用保険に加入しているすべての事業主です。
本来であれば、助成金給付を受けるためには、休業をするにあたっての計画書を約2週間前に提出しなければなりませんが、特例措置により緩和されています。
また、雇用調整助成金を利用するにはいくつかの条件をクリアしなければいけませんが、これらの条件も「緊急対応期間」と定めて、条件を緩和しました。
次に、雇用調整助成金の特例措置によって、緩和されている5つのポイントを解説していきましょう。
ポイント1:アルバイトとパートが助成対象
特例措置の期間であれば、雇用保険被保険者でないアルバイトやパートも含まれることになりました。
アルバイトやパートであっても、助成の対象となるので、解雇することなく雇用し続ける可能性が高まります。
また、雇用調整助成金は、通常の場合ならば雇用期間が6ヶ月未満の労働者を休業等をさせても助成の対象となりませんが、特例措置の期間中であれば、6ヶ月未満であっても対象に含まれます。
ポイント2:引き上げられた助成率
特例措置によって、助成率が引き上げられて、国がより多く負担してくれることになりました。
しかも、従業員を解雇しないのであれば、さらに助成率があがります。
中小企業の場合ならば、10分の9までアップし、大企業においても4分の3まで助成率がアップし、多くの助成金を受け取ることができるようになりました。
ポイント3:売上と生産量の低下率の緩和
特例措置によって、売上と生産量の低下率が緩和されています。
「1カ月の売上などが前年同期比5%以上低下」となりました。
通常の「3カ月間の売上などが前年同期比10%以上低下」よりも緩和され、新型コロナウィルスによってどのくらいの影響を受けたのかは、事業活動の低下率で判断されることになります。
ポイント4:事後提出となった計画届
事前に提出が必要だった計画届は、申請後の提出でも認められることになりました。
これによって、すでに休業している事業主でも利用することが可能となります。
この場合、後からハローワークや労働局に書類を提出することになり、提出期限は令和2年5月31までとなっています。
ポイント5:クーリング制度の撤廃
特例制度では、クリーン制度の撤廃が設けられており、新たに助成金申請が行われるようになりました。
もしも、昨年の台風19号などで雇用調整助成金を利用していても、クーリング制度の撤廃により、助成金が受給できます。
雇用調整助成金|通常時とコロナ緊急対応を比較
通常時の雇用調整助成金と、コロナ緊急対応の違いは、下記の表の通りとなります。
(通常の雇用調整助成金とコロナ緊急対応期間の比較)
通常の場合 | 緊急対応期間(4/1~6/30) | |
対象事業主 | 経済上の理由により活動の縮小を余儀なくされた事業主 | 新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主 |
助成率 | ・中小企業3分の2 ・大企業2分の1 |
・中小企業は5分の4 ・大企業は3分の2 なお、解雇しなかった時には、中小企業10分の9、大企業4分の3 |
対象者 | 雇用保険の被保険者 | アルバイトやパート等の被保険者以外の労働者も含める |
事業活動 | 3ヶ月の売上高や生産量などが前年同期比で10%以上減少した場合 | 1ヶ月の売上高や生産量などが前年同期比で5%減少した場合 |
計画書 | 事前提出が必要 | 事後提出でも可能 |
最新情報|支給までに1ヶ月程度に短縮
4月10日に、加藤厚生労働相は閣議後の記者会見にて、雇用調整助成金の申請にかかる手続きを簡素化することに明らかにしています。
以前でしたら、申請から支給までに要する時間は2ヶ月程度でしたが、簡素化することによって1ヶ月程度に短縮することを目指しています。
雇用調整助成金を申請するために必要な書類は、10種類以上にも及びます。
その中には、休業させる前には従業員の委任状などを集め、休業計画の作成などの細かな書類が必要でした。
簡素化するにあたって、これらの委任状や休業計画の作成が不要となり、記入が必要だった73項目が38項目に絞り減らされています。
学生アルバイトのへの支援となる高等教育修学支援新制度
学生の中には、アルバイトをしながら学校に通っている方も多いかと思います。
新型コロナウィルス感染症の影響により、アルバイトができなくなり、収入が減少してしまったのなら、生活こともままならなくなってしまうでしょう。
そこで、設けられているのが文部科学省による、高等教育修学支援新制度です。
高等教育修学支援新制度は、家計が急変してしまった学生などを支援してくれる制度となっています。
開始日
高等教育修学支援新制度は、2020年の4月から始まります。
まだ申し込みしていない人でも、4月以降に申し込みができますのでご安心ください。
なお、学校によって申請期間はことなっていますので、ご確認ください。
補助対象者
高等教育修学支援新制度の補助対象者となるものは、下記の通りとなります。
・住民税非課税世帯
・準ずる世帯の学生
・4人世帯の目安収入 ~380万円
補助内容
高等教育修学支援新制度の補助内容は、下記の通りとなります。
・授業料・入学金の免除/減額
+
・給付型奨学金の支給
申請方法
高等教育修学支援新制度の申請方法は、下記の通りとなります。
ステップ1: 申込案内などを学校から受け取る
↓
ステップ2:申込案内を確認しながら必要な書類を揃える
↓
ステップ3: 学校に必要な書類を提出して、奨学金はインターネットで申し込む。
アルバイトが利用できる現金給付
アルバイトを行っている方で、収入が減少してしまったのなら、30万円の現金支給が受けられ可能性が高くなります。
総務省では4月10日に、新型コロナウィルス感染拡大の影響で収入が急減した世帯に現金30万円を給付すると支援策を提示しています。
その世帯主の月収の基準額が明らかになりました。
現金給付の補助対象者
現金給付の対象となるものは、申請や審査を簡素化するために、世帯主の月収に関し統一基準を設定され、下記のようになりました。
・単身世帯なら10万円以下
・扶養家族が1人なら15万円以下
・扶養家族2人は20万円以下
・扶養家族3人は25万円以下であれば、非課税水準
・扶養家族4人目以降の場合、非課税水準に当たる月収は1人当たり5万円加算
支給要件
現金給付となる要件は、世帯主の月間収入ガ2020年から6月のいずれかの月で、下記のどちらかを満たすことが必要となります。
◆新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準となる低所得世帯
◆新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準の2倍以下となる世帯等
現金給付金額
現金給付金額は下記の通りとなります。
◆現金 一律30万円(一世帯あたり)
現金給付を受ける方法
現金給付を受けるためには、給与明細書などの収入が減ったことを証明する書類を提出しなければなりません。
証明する書類を市区町村に提出しますが、申請は郵送を基本として行う予定です。
また、オンラインでの受付も検討中です。
現金給付は、世帯単位となっていますので、アルバイトの収入が減ってしまった学生は、ぜひ現金給付をご利用してみてください。
まとめ
コロナウィルス感染症の影響を受けてしまったアルバイトや、アルバイトを雇っている事業が活用できる給付金をわかりやすく解説してきました。
事業主であれば、雇用調整助成金によって休業手当の一部が補助されるので、雇っていたアルバイトを解雇せずに済むかも知れません。
また、アルバイトで収入が減少してしまったのなら30万円の現金給付を、学生の方なら高等教育修学支援新制度を利用することを検討してみてください。
コロナウィルス感染症によって、様々な影響は避けることはできませんが、国で設けられ始めたコロナウィルス感染症の支援策を積極的に活用して、経済的危機を回避していきましょう。