新型コロナウイルス感染症の影響によって、経済負担を感じる方達のために、様々な経済支援策が打ち出されてきました。
しかし、事業を経営する方達にとって気になるのは、それらの補助金、助成金・給付金は自身の事業で受けることができるのか、要件にはどんなことが決められているのか、また、それらにかかる税金問題ではないでしょうか。
本記事では、「持続化給付金」について、経済産業省の公開している情報を参考に重要なポイントを3つ紹介していきます。
・持続化給付金とはそもそも何か
・申請する際の注意点
・持続化給付金は課税対象となるのか
まずは、持続化給付金がどういったものになるのかを、詳しく紹介していきます。
持続化給付金とは
先日5月8日から給付が始まった、「持続化給付金」ですが、これは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、営業自粛などで、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧とするために、事業全般に設けられた事業全般に広く使える給付金の支援制度になります。
対象となる事業者や要件について
この給付金では、資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人事業者、フリーランスなどを含む個人事業者が対象となっており、医療法人や農業法人、NPO法人などの会社以外の法人についても、商工業に限らず、幅広く対象になります。
ただし、性風俗関連などの営業を行う事業者や、宗教団体・組織、給付金の趣旨や目的に適していないと、中小企業庁が判断した場合には給付の対象外となります。
上記のように、給付対象外になるにもか関わらず、不正受給をしていた場合には、厳罰の処置も設定されています。
要件には、
・新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が前年同月比で50%以上減少している事業者であること
・2019年以前から、事業収入を得ていて、今後も事業を継続する意思がある事業者であること
※2019年1月〜12月までに新規開業した事業者や法人の場合、2019年の平均事業収入に比べて50%以上減少していれば特例が適応される可能性もあります。
・法人の場合は、資本金または出資の総額が10億円未満、もしくは、定めがない場合には、従業員数が2000人以下の事業であること
上記3つが要件となっています。
持続型給付金の給付額や計算方法について
この給付金の支給額は法人の場合、最大で200万円、フリーランスを含む個人事業主の場合は、最大で100万円となっています。
計算式では、
前年の総売上(事業収入)―(前年同月比50%以下の月の売上×12ヶ月)
となります。
また、対象となる期間については、2020年1月〜2020年12月のうち売上が50%以上減少した1ヶ月が対象となり、この対象月に関しては、事業者側で選択することができます。
例えば、3月の売上が前年同月比30%の減少であっても、4月の売上の前年同月比が50%以上であれば、4月を対象月とすることができ、持続化給付金の対象となります。
持続化給付金の申請について
申請については、5月1日からすでに受け付けは始まっており、申請期間は2021年1月15日までとなっています。
申請方法は、持続化州付近の申請用ホームページが設けられており、原則としてオンライン申請となっています。
申請手順は、
①持続化給付金ホームページへアクセス
②表示される申請ボタンをクリックして、メールアドレスなどを記入し仮登録を行う
③入力したメールアドレス宛にメールが届いていることを確認して、本登録をする
④ID・パスワードを入力しマイページを作成入力項目に従って、企業の基本情報、売上額、口座情報を入力
⑤必要書類を添付
以上の流れにて申請を行います。
申請に必要な書類には、
・前年の確定申告書の控え
・対象月の売上がわかる売上台帳など
・振り込み先口座の通帳の写し
・個人事業事業者の場合は、運転免許証、マイナンバーカード、住民基本台帳カードなどの
身分証明書の写し(スマートフォンなどでの撮影写真でも提出可能です。)
上記3〜4項目の書類が必要となります。
確定申告を、e-Taxを通じて申告している場合でも、受信通知を合わせて添付するなどにより申請が可能になります。
また、売上台帳については、フォーマットの指定はありませんので、会計ソフトからの抽出データやエクセルで作成した売上データ、手書きの売上帳のコピーなどで問題ありません。
またこれらの申請書類は、データ保存形式がPDF・JPG・PNGの画像データと指定されていますので用意するデータの形式には注意してください。
持続化給付金事務局が確認を行い、問題がなければ、通常2週間程度で、給付通知書が発送され登録した口座へ入金されます。
もし、申請に不備があった場合には、メールとマイページにて通知がされます。
持続化給付金を申し込む上での注意点について
持続化給付金を申し込む上で、注意しなければいけない点があります。
・通常の申請ができない場合
・不正受給した場合
これらを一つ一つ解説するので、注意して申請するようにしてください。
通常の申請ができない場合
申請をしたいが、中には、会社を設立したばかりで、計算式に当てはめることができないなど、様々な理由で申請を諦めている方もいるのではないでしょうか。
そういった方でも、特例として認められることもあります。
また、通常の申請とは異なる申請をしなければいけない場合もありますので、以下で該当するものがあれば、各種特例として申請方法を確認してみてください。
・直前の事業年度の確定申告が完了していない方
・社名変更などで申請書と証拠書類で法人名が異なる方
・2019年に設立した法人の場合
・月によっての事業収入の変動が大きい場合
・会社が合併した場合
・連結納税を行なっている法人の場合
・罹災により本来の収入より2019年の収入が低い場合
・2019年に個人事業者から法人化した方
・NPO法人や恋駅法人の場合
上記項目に該当する場合は、通常の申請方法や申請書類とは異なる方法での申請をすることで、持続化給付金を受けられる可能性があります。
それぞれの特例で、どんな申請が必要か確認してみてください。
不正受給をした場合
提出した書類に不審な点が見られた場合には、調査を行う場合があり、調査の結果、不正受給と判断された場合には、以下の処置を講じられます。
・給付の金額に、不正受給の日の翌日から返還日まで、年3%の割合の延滞金と、これらの合計額に2割に相当する額を加えて返還請求
・申請者の法人名の公開と、さらに不正の内容が悪質な場合には刑事告発
不正受給の場合には、上記の措置を行うと申請のガイダンスにも明記されています。
また申請の際には、不正受給ではないことに対して、以下の項目を誓約する必要があります。
・中小企業長官が委任した者により、関係書類提出指導、事情聴取、立入検査などに応じること
・不正受給が判明した場合には、規定に従い給付金を返還すること
・暴力団排除に関する誓約事項への同意をすること
・持続化給付金給付規定に従うこと
などを誓約・同意した方が、給付金の受給対象になるとしており、不正受給に対してしっかりと対応していくことを示しています。
持続化給付金は課税対象となるのか
このような経済支を受ける上では、どうしても気になるのが「課税対象になるかどうか」ではないでしょうか。
給付金と聞くと、もしかしたら非課税のイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、結論から言えば、この持続化給付金では、個人、法人に関係なく、受け取った給付金は、原則課税の対象となります。
所得税や法人税は、すべての収入に対して課税することが原則としてあり、例外として非課税が認められる収入も一部ありますが、現段階では、給付金やなどに対して、非課税とする法律はありません。
今回の持続化給付金についても、本来であれば得られていたはずの事業収入を補うという意味での給付金となりますので、例外ではなく、課税の対象となり、事業所得に含まれることになります。
経済産業省のホームページのQ&Aでは、
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものです。これは、税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。
(引用元:持続化給付金に関するよくあるお問合せ)
とありますが、つまり持続化給付金=益金となるため課税対象となります。
ただし、この持続化給付金を含む総収入である益金よりも、損金(必要経費)が多くなる場合には、課税対象に含まれないということになります。
通常の事業所得と同様に、今年度の必要経費や損金が多いほど、課税所得は多くなります。
もしこの持続化給付金を検討しているのであれば、あらかじめ、損失がどの程度になるのか、給付金の金額はどの程度になるのかを想定した上で、申請をしましょう。
まとめ
今回紹介した持続化給付金は、対象者となる要件が幅広く、返済不要と言うこともあり、申請者が増えているようです。
早く給付金を受けたいからといって、申請書類の確認を怠らないようにしてください。
また、課税対象であることに心配を感じる方も、「売上が前年同月比50%以上減少している事業者が対象」ということが要件となりますので、結果的には「課税にならない」というケースも十分にあると思います。
申請を迷っている方も、本記事を参考に自身がどんな申請対象に当てはまるのか、また、今後の収入の目処をたて、何月を対象月と決めた上で、どのくらいの給付金が受け取れるのかを確認の上、申請手続きの準備をして、この異例の事態を乗り越えていきましょう。