新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業や生活への様々な影響が懸念されています。
外出自粛や休業要請が余儀なくされ、さらに新型コロナウイルス感染者数の増加と不安の材料は増すばかりです。
特に、感染リスクが高い新型コロナウイルス感染症は医療関係においては、クラスターの発生や風評被害によって経営難におちいることも少くないでしょう。
こちらの記事では、医療法人が利用できる持続化給付金を始めとして、新型コロナウイルス感染症特別貸付、雇用調整助成金などの支援策をまとめています。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を被っている医療法人への役立つ記事となっていますので、どうぞご覧ください。
新型コロナウイルス感染症でお悩みの医療法人
新型コロナウイルス感染症者数が全国各地で増加し、最前線となる医療機関では日々切迫した状況に追い込まれているのではないでしょうか?
医療従事者はコロナ感染予防に配慮しながらの業務に加えて、感染患者の診療や家族への感染リスク、周囲からの偏見など、数多くの負担を強いられています。
さらに、病院では通常に行われるはずであった手術の延期や患者数の減少など、通常の業務が滞ることで経営に困っている医療法人も増えてきました。
政府では医療関係に向けてのコロナ支援策を打ち出しています。
当面の運転資金を確保するための給付金や貸付、税・社会保険料の納付猶予など、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている方に向けての支援です。
次に、医療法人がコロナ支援策として利用できる持続化給付金、特別利子補給制度、雇用助成金、税・社会保険料の猶予と減免について解説していきます。
持続化給付金
新型コロナウイルス感染症の影響によって、収益は減少となりますが家賃や固定費の負担は変わりません。
そのような時には、最大で200万円の給付金が受けられる持続化給付金を利用することができます。
持続化給付金は、感染拡大によって特に大きな影響を受けた事業者の支援として行われており、もちろん医療法人も給付対象です。
給付対象
持続化給付金の給付対象は、資本金10億円以上の大企業を除いた下記の事業となります。
◆中堅、中小法人、個人事業者
◆医療法人、農業法人、NPO法人
◆会社以外の法人についても対象
給付対象の主な要件
持続化給付金の給付対象は下記の通りとなります。
◆新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者。
◆2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者。
◆法人の場合(①か②の事業者)
①資本金の額又は出資の総額が10億円未満
②上記の定めがない場合、常時使用する従業員の数が2000人以下である事業者
・2019年に創業した方、売上が一定期間に偏在している方などには特例があります。
・一度給付を受けると再度給付申請はできません。
給付額
持続化給付金の給付額は、法人は最大200万円まで、個人事業主においては最大100万円までとなります。
ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限となりますのでお気を付けください。
◆給付額の計算方法
・前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
・金額は10万円単位。
・10万円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
特例が設けられた持続化給付金
持続化給付金では、給付額に関する特例がNPO法人や公益法人などに出されています。
医療法人も「NPO法人や公益法人等特例」の対象となります。
『公益法人等(法人税法別表第二に該当する法人)及び法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(NPO法人等)である場合は、確定申告書類の代替書類として直前の事業年度の年間収入がわかる書類として下記を提出することができます。※本特例を用いる場合には、給付までに通常よりも時間を要する場合があります。』
証拠書類
「NPO法人や公益法人等特例」の証拠書類は下記通りとなります。
◆対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入がわかる書類
◆対象月の売上台帳等
◆通帳の写し
◆履歴事項全部証明書又は根拠法令に基づき公益法人等の設
給付額の算定式
「NPO法人や公益法人等特例」の算定式は下記の通りとなります。
◆給付額
・対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入-対象月の月間収入×12
「対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入」と「対象月の月間収入」は、寄付金、補助金、助成金、金利等による収入など、株式会社等でいう営業外収益に当たる金額を除き、法人の事業活動によって得られた収入(公益法人等の場合、国・自治体からの受託
事業による収入含む)のみが対象となります。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、売上減少のために当面の運転資金を調達したい場合には、コロナ特別貸付などの資金繰り支援を利用することができます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、特別利子補給制度を併用することで実質的な無利子化を実施しています。
さらに都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関にも実質無利子の融資を拡大しています。
利用できる方
新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用できる方は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化した下記のいずれかの要件に該当する方、中長期的に業況が回復し発展が見込まれる方です。
◆最近1ヵ月の売上高が、前年または前々年の同期と比較して、5%以上減少
◆業歴が3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が、次のいずれかと比較して、5%以上減少
①過去3ヵ月(最近1ヵ月含む。)の平均売上高
②令和元年 12 月の売上高
③令和元年 10~12 月の平均売上高
融資限度額・返済期間(据置期間)
新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資限度額・返済期間(据置期間)は、下記の通りとなります。
◆融資限度額
・別枠 6,000万円
◆返済期間(据置期間)
・設備資金︓20 年以内(うち5年以内)
・運転資金︓15 年以内(うち5年以内)
利率(年)
新型コロナウイルス感染症特別貸付の利率(年)は下記の通りとなります。
◆3,000万円以下の場合
・当初3年間︓基準(災害)-0.9%
・3年経過後︓基準(災害)
◆3,000万円超
・基準(災害)
◆担保
・無担保
実質無利子となるのか?
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、実質的に無利子となるのでしょうか?
『 新型コロナウイルス感染症特別貸付は、一定の要件に該当する場合、当初3 年間、3,000 万円を限度(国民生活事業。中小企業事業においては1億円)と して、災害発生時の融資制度に適用される利率から 0.9%低減した利率が適用 されます。 ご融資後は、利息も含め公庫にご返済いただきますが、後日、低減した利率 の利息部分について、お客さまへお返しする、いわゆる利子補給の制度(特別 利子補給制度)(注)が政府において設けられることになっており、利子補給を 受けることで、当初3年間は実質的に無利子でご利用いただけます』
雇用調整助成金の特例措置
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により従業員を一時的に休業させる時には、休業手当を支払わなければなりませんが、そのような時には雇用調整助成金を利用することができます。
雇用調整助成金では、休業手当の4/5の助成され、さらに解雇を行わないのであれば9/10が助成される特例措置が設けられています。
また、通常の申請書類の記入事項が73項目から38項目により簡素化され、さらに添付書類の削減により申請が行いやすくなりました。
ただし、特例措置は休業等の初日が令和2年1月24日以降の休業等に適用されますので、ご注意ください。
助成内容のポイント
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で設けられた雇用調整助成金の特例措置の内容は、数箇所あるため混同しやすいですが、確認しておきたい助成内容のポイントは下記の通りです。
助成内容は、中小企業のみならず大企業も助成率が引き上げられ、解雇の有無によっても助成率が優遇されています。
【ポイント①助成率】
◆中小企業の場合
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 4/5
・上記プラス、解雇等をしていない等の要件を満たす事業主 9/10
◆大企業の場合
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 2/3
・上記プラス、解雇等をしていない等の要件を満たす事業主 3/4
【ポイント②教育訓練を実施した時の加算】
◆中小企業の場合
・2,400円
◆大企業の場合
・1,800円
【ポイント③支給限度日数】
◆中小企業および大企業
・通常時 1年間で100日
・緊急対応期間 上記限度日数と別枠で利用可能
【ポイント④雇用保険被保険者でない労業者も対象】
事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生も含む)等)なども対象となります。
【ポイント⑤新規学卒採用者等も対象】
新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6ヶ月未満の労働者についても助成対象となります。
税・社会保険料の納付が猶予および減免
医療法人の方で、税金や保険料の支払いが負担となっている場合には、税・社会保険料の納付が猶予、減免が利用できます。
基本的にすべての税・社会保険料を対象に無担保かつ延滞税なしで1年間納付を猶予されており、さらに公共料金関係の支払いについても猶予の対象となっています。
また、既存の事業用家屋・償却資産への固定資産税も減免されています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、経営の運営が難しくなっているのなら、猶予や減免を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、経営が困難となってしまう医療法人が利用できるコロナウイルス支援策をまとめてきました。
支援策には、持続化給付金を始めとして、新型コロナウイルス感染症特別貸付、雇用調整助成金、税・社会保険料の猶予・減免などが設けられています。
持続化給付金や雇用調整助成金は、返済する必要がないので医療法人の方にとっても力強い支援となるはずです。
また、新型コロナウイルス感染症貸付においては、実質的に無利子となっていますので資金繰りに困った時に活用してみてはいかがでしょうか?
日々、新型コロナウイルス感染症の最前線で業務に従事している医療従事者方々につながるこれらの支援策を参考にお役立てください。