コロナ 持続化給付金 減収証明

コロナ持続化給付金に添付する減収証明の3つの緩和条件を徹底紹介

新型コロナウィルス給付金等

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、多くの業種で営業が自粛されています。
営業自粛により売上は減少する一方、家賃や人件費などの経費は経常的に発生するため、運転資金が枯渇し事業継続が難しくなります。
中小規模事業者や個人事業主の事業継続を図るため、政府は多くの支援策を施行しています。
「持続化給付金制度」も、その一環として5月1日から申請受付が始まりました。
持続化給付金は、中小規模事業者や個人事業主が事業継続または再起を図るため、事業全般に広く使うことを目的としています。
迅速な給付のため、Web画面からの申請など手続きが簡素化されており、申請受付から給付まで2週間程度と短期間で済みます。

また、申請の条件が緩和されていることも特徴です。

代表的な緩和条件には、以下の3つがあります。
一つ目は、2020年度の売上台帳はフリーフォーマットで良いことです。
二つ目は、2019年度の確定申告書の代わりに2018年度の確定申告書の提出が認められていることです。
三つめは、2019年度中に創業した事業者も申請が可能であることです。

当記事では、最初に、持続化給付金の背景や制度概要、申請方法などについて説明します。続けて、申請手続きのポイントである、減収証明として提出する書類に関する3つの緩和条件を説明します。

少しでも事業継続の原資に使えるよう、中小規模事業者および個人事業主のにおいては、持続化給付金の申請を検討しましょう。

持続化給付金の背景

コロナ 持続化給付金 減収証明

最初に、持続化給付金制度の背景について説明します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、日本の多くの業種において営業自粛(臨時休業や営業時間の短縮)が行われています。
帝国データバンクの調査によると、2020年2月1日から4月30日までの間に、新型コロナウィルス関連の倒産件数は109件に上りました。
その中でも、ホテル・旅館27件、飲食店11件、アパレル・雑貨小売店9件、食品製造6件と、外出制限によって影響を受ける業種が倒産しています。
こうした経済情勢の悪化を背景に、4月7日に閣議決定された「緊急経済対策」において、新型コロナウィルス感染症の影響を受けた事業者に対し下記3点を目的とした支援策が追加されました。

①資金繰り
②設備投資・販路開拓
③経営環境の整備

持続化給付金も緊急経済対策の一環であり、事業継続を支え再起の糧となる事業全般に広く使うことを目的に創設されました。

続けて、持続化給付金の制度概要や、申請方法・給付金額などの手続きを確認しておきましょう。

制度概要

(1)申請期間
給付金の申請は令和2年5月1日から開始されました。申請期限は令和3年1月15日になります。電子申請の締め切りは、1月15日の24時になりますのでご注意ください。

(2)給付対象
法人の場合、中小、中堅企業が対象となります。医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。
個人事業主の場合、フリーランスを含む個人事業者が広く対象となります。

(3)給付金額
給付の考え方としては、昨年度からの売り上げ減少を1年単位で換算した金額が支給されます。ただし、給付額の上限は、法人は200万円、個人事業主は100万円となります。給付額の算出方法は後ほど説明します。

(4)受給条件
受給条件は、次の①~③です(個人事業主の場合は①は対象外です)。

①2020年4月1日時点において、次のいずれかを満たすこと。
 (a)資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること。
 (b)資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。

②2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。

③2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在すること。

つまり、中小規模事業者や個人事業主のうち、今後の事業継続を希望しつつも、収入が半分以上減少した事業者を救済することを狙いとしています。
廃業を予定している事業者や、事業収入の減少が半分未満の場合は給付対象外となります。

申請方法・給付金額について

コロナ 持続化給付金 減収証明

続けて、申請方法や給付金額の計算方法など、具体的な手続きについて確認しておきましょう。
迅速な給付を行う観点から電子申請を基本としており、申請手続きは簡易なものとなっています。
詳細は、経済産業省のホームページに解説しているので、申請を行う際には確認をお願いします。

[経済産業省 持続化給付金]

(1)申請方法
申請用HP( https://jizokuka-kyufu.jp )からの電子申請となります。

①申請入力項目
 入力項目は(a)、(b)の2つのカテゴリーからなります。
(a)基本情報

(a-1)法人は、以下の18項目を登録します。
「法人番号」、「法人名」、「住所」、「書類送付先」、「業種(日本産業分類)」、「設立年月日」、「資本金の額又は出資の総額」、「常時使用する従業員数」、「代表者役職」、「代表者氏名」、「代表者電話番号」、「担当者氏名」、「担当者電話番号」、「担当者メールアドレス」、「前の事業年度の事業収入」、「決算月」、「対象月」、「対象月の月間事業収入」

(a-2)個人事業主は、以下の14項目を登録します。
「屋号・雅号」、「申請者住所」、「書類送付先」、「業種(日本産業分類)」、「創業日」、「申請者氏名」、「生年月日」、「申請者電話番号」、「申請者メールアドレス」、「2019年の事業収入」、「対象月」、「対象月の月間事業収入」、「対象月の2019年同月の事業収入」

(b)口座情報
 「金融機関名」、「金融機関コード」、「支店名」、「支店コード」、「種別」、「口座番号」、「口座名義」

②添付書類
画面登録した項目の証拠となる書類を提出する必要があります。
預金通帳の写しなど、電子ファイル(word、pdfなど)が無いものは、スマートフォンなどで写真を撮りJPEGやPNGなどの画像ファイルで提出することも可能です。
画像ファイルの場合、文字がはっきり映っていることを確認してください。

(a)2019年(法人は対象月の前事業年度)の確定申告の控え

(a-1)法人
 ・確定申告書別表一の控え(収受日付印が押印されていること)
 ・法人事業概況説明書の控え
  (eTaxの場合、受信通知の提出が必要です)

(a-2)個人事業主
  ・確定申告別表一の控え(収受日付印が押印されていること)
  ・所得税青色申告決算書(2枚)(白色申告の場合は不要)

(b)対象月の月間事業収入がわかるもの(売上台帳等)

(c)銀行通帳の写し
・「銀行名」「支店番号」「支店名」「口座種別」「口座番号」「名義人」が確認できるよう、通帳の表面と通帳を開いた1・2ページ目の両方を提出してください。
・電子通帳などで、紙媒体の通帳がない場合は、電子通帳等の画面等の画像を提出してください。

(d)本人確認書類(個人事業主の場合)

(e)その他事務局が必要と認める書類

(2)給付額
給付額は、法人は200万円、個人事業主は100万円を超えない範囲で以下の算出式に基づいて支給されます。

S = A - B × 12
S:給付額(※10万円未満は切り捨て)
A:対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入
B:対象月の月間事業収入

※2020年度に最も売り上げが減少した月を「対象月」と定めます。そして、前年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じた金額を引いた額を支給額とします。「対象月」は、2020年1月から12月までの間で月間事業収入が前年同月比50%以下となる任意の月から選ぶことができます。

※法人の場合、3月決算と12月決算の場合で、前の事業年度の範囲が異なるためご注意ください。

・3月決算の法人が対象月を2020年2月とした場合、前事業年度は2018年4月から2019年3月となります。

・12月決算の法人が対象月を2020年2月とした場合、前事業年度は2019年1月から2019年12月となります。

減収証明の3つの緩和条件

これまでの説明の通り、持続化給付金は、迅速な給付を行うため、通常の補助金や助成金の申請に比べ申請手続きが簡略化されています。
加えて、申請時に添付する減収証明(2019年度の確定申告および、対象月の月間売上台帳)に対しても、申請者の負担を軽減するため、緩和条件が設けられています。
ここでは、そのうち代表的な条件を3つ紹介します。

(1)対象月の売上台帳はフリーフォーマット
(2)2018年度の確定申告でも申請可能
(3)2019年度中に創業した事業者も申請可能

対象月の売上台帳はフリーフォーマット

コロナ 持続化給付金 減収証明

最初の緩和条件は、対象月の売上台帳のフォーマットが自由であることです。
対象月の売上が分るものであれば、日常業務で使用しているデータを、そのまま提出することができます。
行政指定のフォーマットに転記や変換する必要が無い分、申請者の負荷が軽減されます。
経済産業省のホームページには、代表的な提出フォーマットとして以下の3つの形式を紹介しています。
もちろん、これ以外の形式も認められます。

(a)経理ソフトから抽出した売り上げデータ
(b)エクセルで作成した売り上げデータ
(c)手書きの売上帳のコピーなど

ここで、(c)手書きの売上帳のコピーに関しては、一部のメディアで「手書きメモでも可」のような報道が行われています。
しかし、対象月の売上金額だけを、何の根拠も無く手書きメモで提出しても申請が受理されると考えるのは、少し安易だと思われます。
あくまでも、普段の売上管理を手書きの台帳で行っている事業者の場合、そのコピーの提出が認められると考えるのが自然です。

2018年度の確定申告でも申請可能

コロナ 持続化給付金 減収証明

2つめの緩和条件は、2019年度の確定申告が提出できない場合、一定の条件の下で2018年度の確定申告の提出が認められていることです。
具体的な条件としては下記のようなものがあります。

(a)2019年度の確定申告の申告期限前である場合や申告期限が延長されている場合などにより、2019年度の確定申告書類の控えが提出できない場合。
(b)2019年度の確定申告書別表第一の控えに収受日付印が押印されていない場合
(c)2019年度の確定申告書類を紛失した場合

この場合、給付額の算出に用いられる「前年度」の収入として、2018年度の収入が適用されます。

2019年度中に創業した事業者も申請可能

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3つ目の緩和条件は、2019年度中に開業した事業主であっても、特例として申請が認められることです。
具体的には、2019年度中に発生した事業収入を年換算した金額と今年度の対象月の事業収入を年換算した金額の差額を、法人、個人事業主に定められた上限金額を考慮して支給されます。

給付額は下記のように計算されます。

S = A ÷ M × 12 - B × 12
S:給付算出額
A:2019年の年間事業収入
M:2019年の設立月数(設立した月は、操業日数にかかわらず、1ヶ月とみなす)
B:対象月の月間事業収入

例えば、2019年10月に法人を開業し、事業収入が下記のように推移したとします。決算月は12月決算とします。

2019年10月  30万円
2019年11月  40万円
2019年12月  50万円
2020年 1月  30万円
2020年 2月  30万円
2020年 3月  20万円 ★対象月

この場合、受給額は下記のように計算されます。
2019年度は10月~12月が事業年度となりますが、総事業収入を年換算すると480万円と計算されます。
対象月は、2020年度でもっとも事業収入が落ち込んでいる3月を指定しています。

A( 2019年の総事業収入)= 30 + 40 + 50 = 120万円
M( 2019年の開業月数) = 3か月
B( 2020年の対象月の事業収入)= 20万円
S=120 ÷ 3 × 12 - 20 ×12= 480 - 240 =240 > 200万円(上限額)
※実際の支給額は、法人に定められた上限額である200万円となります。

まとめ

コロナ 持続化給付金 減収証明

持続化給付金は、営業自粛により資金繰りが苦しむ事業者に対し、少しでも早く給付できるよう、申請手続きが簡略化されています。
申請から給付まで2週間と短期間で済みます。
加えて、減収証明として添付する書類についても、下記のように条件が緩和されており、申請者の負荷が軽減されています。

(1)対象月の売上台帳はフリーフォーマットで可
(2)2018年度の確定申告でも申請可能
(3)2019年度中に創業した事業者も申請可能

特に、多くの事業主にとっては、(1)の売上台帳のフォーマットが自由であることは負荷軽減につながるのではないでしょうか。
事業継続のため、少しでも多くの原資を得ることができるよう、是非、申請をご検討ください。

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