新型コロナウイルスにより、働き方改革推進を取り組む事業主を支援する助成金が始まりました。
今回、働き方改革促進支援助成金は様々で、複数のコースの受付が始まっています。
本記事ではその中の一つ、職場意識改善特例コースを解説しいきます。
職場意識改善特例コースとは?
新型コロナウイルス感染症対策の助成金で、特別休暇の取得促進をする中小企業事業主に支援します。
従業員が病気になった場合や休校・休園で子供の世話をするなどで従業員が安心して休暇をとることができるように、特別休暇制度を整備することも重要です。
職場意識改善特例コースは、働き方改革を支援する助成金「時間外労働等改善助成金」の一つです。
時間外労働等改善助成金とは?
中小企業・小規模事業者におすすめの助成金制度です。
労働時間を削減など、労働環境改善に積極的に取り組んでいる事業主に助成金が支給されます。
2019年には
①時間外労働上限設定
②勤務間インターバル導入
③職場意識改善
④団体推進
⑤テレワーク
の5コースがありましたが、現在は新型コロナウイルス感染症対策で
①職場意識改善特例
②テレワーク
の2コースが実施されています。
助成金の対象・対象外を解説
助成金を申請するには事業主・取り組みにそれぞれ条件があるため、1つずつ確認していきましょう。
対象の事業主
労働者災害補償保険適用の事業主で、中小企業事業主限定の助成金です。
また、新型コロナウイルス感染症対策として特別休暇を整備しようと考えている中小企業が対象です。
中小企業事業主とは?
中小企業事業主とは、以下のいずれかを満たしている企業主のことを言います。
①小売業の従業員数が50人以下
②サービス業の従業員が100人以下
③御売業の従業員数が100人以下
④その他の業種は300人以下
業種によって従業員数の条件が異なるため、よく確認しておきましょう。
また、資本・出資額にも細かな条件があります。
①小売業は5,000万円以下
②サービス業は5,000万円以下
③御売業は1億円以下
④その他の業種は3億円以下
対象の取り組み
助成金を支給してもらうには、職場意識改善特例コースの目的に合った取り組みを実施します。
具体的には以下のような取り組みで、いずれか1つ以上を実施してください。
①労務管理担当者の研修
②従業員の研修・周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則などの作成・変更
⑤人材確保するための取り組み
⑥労務管理用ソフトウェアを導入・更新
⑦労務管理用機器を導入・更新
⑧デジタル式運行記録計を導入・更新
⑨テレワーク用通信機器を導入・更新
⑩労働能率を増し進める設備・機器を導入・更新
研修は業務研修も対象です。
⑩の労働能率を増し進める設備・機器は、例えば、小売業のPOS装置・自動車修理業の自動車ソフト・運送業の洗車機などが当てはまります。
対象外
取り組みの対象で「テレワーク用通信機器導入・更新」がありますが、パソコン・タブレット・スマートフォンの購入費は対象外です。
テレワーク用通信機器はパソコン・タブレット・スマートフォンなどの端末のことですが、クラウド型サービスの導入や保守サポート料金・通信費などが対象のようです。
助成金の成果目標
ただ取り組むだけでなく、成果目標もしっかり決めておいた方が良い結果につながります。
以下のいずれかを選び、成果目標達成を目指して取り組んでいきましょう。
①全ての対象事業で、月60時間を超える36協定の時間外労働時間数を減らすこと
②全ての対象事業で、所定休日を1日から4日以上増やすこと
③病気休暇・教育訓練休暇・ボランティア休暇のうちいずれか1つ以上を新たに導入すること
④時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入すること
①の36協定の時間外労働時間数は
・時間外労働時間数で月60時間以下
・時間外労働時間数で月60時間を超え月80時間以下
に認定すること。
以上の成果目標とともに、指定する従業員の時間あたりの賃金額を3%以上か、5%以上で賃金引き上げをすることも成果目標に付け加えて取り組むことも可能です。
助成金はいくら?
対象を満たし成果目標を実施すれば、1企業あたり最大50万円として対象経費の4分の3を助成金額として支給してもらえます。
ただし、雇っている従業員数が30人以下で、助成対象の取り組み⑥~⑩を実施して所要額が30万円以上になった場合は補助率5分4になります。
成果目標の最大金額
事業を実施する前と比較して、実施の成果によって最大金額が変わってきます。
上記で解説したそれぞれの成果目標を達成した場合、最大でいくら助成してもらえるのかを解説していきます。
成果目標①時間外労働時間数縮減を達成
以前は時間外労働時間数が月80時間以上になっていたのに対して、実施後は月60時間以下になった場合は最大100万円。
また、実施後は月60時間以上だが、月80時間以下になれば最大50万円になります。
成果目標②所定休日増加を達成
成果目標②の「全ての対象事業で、所定休日を1日から4日以上増やすこと」は
・所定休日3日以上増やした場合、最大50万円
・所定休日1~2日以上増やした場合、最大25万円
成果目標③特別休暇導入を達成
成果目標③の「病気休暇・教育訓練休暇・ボランティア休暇のうちいずれか1つ以上を新たに導入」を達成すれば、最大50万円助成されます。
成果目標④年次有給休暇制度導入を達成
成果目標④の「時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入」を達成すれば、最大50万円の助成金額が支給されます。
他の働き方改革推進支援助成金は何がある?
働き方改革を支援する助成金は、時間外労働等改善助成金の他にも4種類もの助成金があります。
それぞれ企業の向上に活用できる助成金ですが、あまり知られていないのが現状です。
大企業と比べると資金を投入しにくい中小企業ですが、助成金を活用することで、負担を軽減しながら働き方改革を促進することができます。
では、働き方改革を支援する助成金の残り4種類も紹介します。
キャリアアップ助成金
一度は聞いたことがある人は多いと思われるキャリアアップ助成金は、企業内のキャリアアップを推進する取り組みに支援する助成金です。
雇用保険適用事務所の事業主で、事業所にキャリアアップ管理者を置き、キャリアアップの計画書を作成することが条件です。
キャリアアップ助成金には以下の7つのコースを選ぶことができます。
①正社員化コース
②賃金規定等改定コース
③賃金規定等共通化コース
④健康診断制度コース
⑤諸手当制度共通化コース
⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
⑦短時間労働者労働時間延長コース
有期労働者を対象としたコースが多く、基本給の賃金規定を増やして昇給させたり、契約期間がある有期から無期契約の正規雇用労働者に転換させるなどの場合に助成されます。
④の健康診断制度コースは、有期契約労働者に対して法定外の健康診断を導入した事業主に支給されるコースで、従業員の健康管理を強化することが目的です。
本来なら高額にかかる経費を軽減し、それぞれの目的に合ったキャリアアップに取り組むことができます。
従業員をキャリアアップさせたい事業主におすすめの助成金です。
人材開発支援助成金
従業員の職業訓練にかかる経費・賃金の一部を支援する助成金です。
従業員が労働に必要な専門的知識・技術を身につけてスキルアップし、企業の生産性向上と経済の活性化へとつなげるのが目的です。
訓練に応じて、以下の7つのコースが用意されています。
①特定訓練コース
②一般訓練コース
③教育訓練休暇付与コース
④特別育成訓練コース
⑤建設労働者認定訓練コース
⑥建設労働者技能実習コース
⑦障害者職業能力開発コース
事業主にとって、従業員1人1人を育てるのは大変です。
とくに、離職率が上がっている現代では人材を確保することも困難で、人手不足が原因で従業員を育成させる時間がない場合が多いでしょう。
そんな時こそ人材開発支援助成金がおすすめです。
両立支援等助成金
従業員が働きながら育児・介護を両立する制度を導入した事業主に支給する助成金です。
主婦をやっている女性におすすめの助成金ですが、育児・介護をする男性にも活用できます。
プライベートと労働を両立させて、安定した働きをさせてあげることが目的です。
そんな両立支援等助成金には5つのコースが用意されてます。
①出生両立支援コース
②介護離職防止支援コース
③育児休業等支援コース
④再雇用者評価処遇コース
⑤女性活躍加速化コース
①の出生両立支援コースは子育てパパ向けのコースで、男性労働者が育児休業や休暇を取りやすくする環境に改善します。
そして、実際に育児休業か育児目的休暇をもらった男性従業員が出た場合に支給されます。
④の再雇用者評価処遇コースでは、妊娠・出産・育児・介護で退職した人が再び働けるようになった時に復職ができる再雇用制度を導入します。
導入後、実際に採用した場合に支給されます。
このように育児・介護で休業・退職することになってしまっても、落ち着いた時に再び無事に復帰することができ、事業主側も従業員側も非常に助かる助成金です。
65歳超雇用促進助成金
高齢者を雇うと助成金が貰えるといった制度で、少子高齢化による人手不足で悩んでいる事業主におすすめです。
高齢者は定年後になると再就職は難しく、企業側も簡単に採用することができません。
そんな時に65歳超雇用促進助成金を活用すれば、経費を軽減しながら60歳以上の高齢者を積極的に雇い入れることができます。
65歳超雇用促進助成金には以下の3つのコースがあります。
①65歳超継続雇用促進コース
②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
③高年齢者無期雇用転換コース
60~65歳以上の高齢者をハローワークなどの紹介によって1年以上継続して雇ったり、雇用保険の一般被保険者として雇い入れたりして、高齢者を長く雇用し続けられるように環境を整備した事業主に支給されます。
定年年齢未満の有期契約労働者を無期の労働者へ転換させたり、定年の定めを廃止するなどの取り組みが対象です。
まとめ
以上、働き方改革促進支援助成金の職場意識改善特例コースについてと、働き方改革を支援する他の助成金の紹介をしました。
これ以上、新型コロナウイルス感染者が増えないように、事業主の方は従業員に休暇を取得しやすい環境に変えることを意識してみてください。
助成金を活用すれば事業主の負担は大幅に軽減できるため、おすすめです。