
世界各地で増えてきたコロナウイルス感染数は、日本でも感染者数が増加し始めました。
緊急事態措置により、休業を余儀なくされたり中小企業の方は、休業による収益の減少と同時に、休業補償が重なり資金繰りが苦しくなっているのではないでしょうか?
そこで、こちらの記事では、コロナウイルス感染症拡大により、影響を受けている中小企業の支援策となる雇用調整助成金の特例措置を、詳しくご紹介していきますので、ぜひご覧になってください。
特に「4月1日~6月30日」の間で、お店や会社を休業した方は、雇用調整助成金を受けられる可能性が高くなっています。
INDEX
全国に広がった緊急事態宣言
コロナウイルス感染症の拡大に伴い、緊急事態措置を実施する地域が7都道府県から全国都道府県と全国規模に拡大されました。
感染拡大を防止するために、外出自粛やソーシャルディスタンス、マスク着用などの防止策策を講じて、コロナウイルスの沈静化に向けているところです。
また、GWには従来でしたら帰省や旅行など.が多く、都道府県を行き来することが増えてくる時期ですが、緊急事態措置を実施することで不要不急の人の移動を抑えることでコロナウイルス感染症のまん延の防止を目指しています。
中小企業向けの支援策を実施
緊急経済対応策ではコロナウイルス感染拡大の防止策と同時に、経済的に影響を受けた中小企業に向けて、給付金や助成金、貸付などの支援策が設けられています。
数多くの支援策がありますが、「休業や自粛を余儀なくされている」「従業員の休業補償に悩んでいる」に悩んでいる中小企業は雇用調整助成金をご活用ください。
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中小企業を支援するために特例措置が設けられています。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用調整助成金
新型コロナウイルス拡大の影響によって雇用調整助成金の特例措置が設けられました。
その内容は大幅に拡充されることに加えて、要件が緩和されています。
助成率も引き上げられ、解雇をしない事業主に対しては助成率90%にまで引き上げられ、さらに複雑だった申請書類を簡素化し、添付書類も削減されました。
「申請が面倒」と感じている方でも、簡素化され申請しやすくなったのではないでしょうか?
雇用調整助成金を活用して、従業員の雇用維持を図ってみてください。
雇用調整助成金の特例措置
雇用助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持した時に利用できる助成金です。
労働者に対して一時的に休業や教育訓練を行うことで、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当賃金等の一部を補助しています。
雇用助成金は、新型ウイルス感染症の影響を踏まえて、特例措置によりその内容が拡充されています。
なお、適用期間は「令和2年4月1日~令和6月30日」となります。
雇用調整助成金の特例措置の6つの拡充内容
雇用調整助成金の特例措置では、下記の6つの拡充が行われています。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、大幅に充実された内容となりました。
① 休業又は教育訓練を実施した場合には、助成率を引きあげます。
◆中小企業:2/3から4/5へ
◆大企業:1/2から2/3へ
② 下記の要件を満たし、解雇等しなかった事業主はさらに助成率が上乗せされます。
◆中小企業:4/5から9/10へ
◆大企業:2/3から3/4へ
・1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までの間に事業所労働者の解雇等(解雇と見なされる有期契約労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除等を含む)をしていないこと
・賃金締切期間(判定基礎期間)の末日における事業所労働者数が、比較期間(1月24日から判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比して4/5以上であること
③ 教育訓練を実施した場合の加算額の引き上げられています。
教育訓練が必要な被保険者の方について、自宅でインターネット等を用いた教育訓練もでき、加えて加算額の引き上げられました。
◆中小企業:2,400円
◆大企業:1,800円
④ 新規学卒採用者等も対象となります。
新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても助成対象となります。。
なお、本特例は、休業等の初日が令和2年1月24日以降の休業等に適用されます。
⑤ 支給限度日数に関わらず活用でき、「緊急対応期間」に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用が可能です。
⑥ 雇用保険被保険者でない労働者も休業の対象とし、事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生も含む)等)なども含まれます。
雇用調整助成金の特例措置の5つの緩和内容
雇用調整助成金の特例措置によって、下記の5つの内容が緩和されています。
① 生産指標の要件が下記のように緩和しています。
・ 生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、対象期間の初日が緊急対応期間である令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間は、これを5%減少とします。
・生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮しています。
(※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認します)
② 最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象となります。
③ 雇用調整助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)を撤廃しています。
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、 前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象となります。
④ 事業所設置後1年以上を必要とする要件を緩和しています。
(※この場合の、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べます。)
⑤ 休業規模の要件を緩和します。
休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企
業)以上となるものであることとしていましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和しています。
雇用調整助成金の申請書類の簡素
雇用調整助成金の申請や添付書類を揃えるのは大変でしたが、新型コロナウイルス感染症に係る特例措置に関係する書類や記入事項は、大幅に削減しています。
雇用調整助成金の簡素化により、事業主の負担は軽くなっておりますので「申請が面倒」と感じていた方も、ぜひ雇用調整助成金の申請を行ってください。
削減された記載事項と、添付書類は下記の通りとなります。
記入事項
雇用調整助成金の記載事項は、約5割も削減され、以前は73事項の記載事項がありましたが、35事項が無くなり38事項となっています。
・ 残業相殺制度を当面停止(残業時間の記載不要に)
・ 自動計算機能付き様式の導入により記載事項を大幅に削減
・日ごとの休業等の実績は記載不要(合計日数のみで可)
添付書類
雇用調整助成金の添付書類は、既存の書類での申請が可能となり、下記の書類が削減となりました。
生産指標ではなく、売上がわかる既存の書類でも可能で、出勤簿などや給与台帳でなくても手書きのシフト表および給与明細絵も受け付けています。
(削減された書類)
・資本額の確認の「履歴事項全部証明書」等を廃止
・休業協定書の労働者個人ごとの「委任状」を廃止
・賃金総額の確認のための「確定保険料申告書」を廃止(システムで確認)
なお、計画届は事後提出(~6月30日まで)でも可能となっています。
雇用助成金の届出に必要な書類(休業の場合)
雇用助成金の休業の場合、「計画届に必要となる書類」と「支給申請に必要な書類」は、下記の表の通りです。
◆計画届に必要となる書類
書類名 | 簡素内容 |
様式第1号(1) 休業等実施計画(変更)届 | 事後提出が可能 |
様式第1号(2) 雇用調整事業所の事業活動の 状況に関する申出書 | 確認書類は「売上」が分かる既存書類のコピーで可に (売上簿、営業収入簿、会計システムの帳票などで可) |
様式第1号(3) 休業・教育訓練計画一覧表 | 作成不要(様式第5号(3)として提出可) |
様式1号(4) 雇用調整実施事業所の雇用指 標の状況に関する申出書 | 作成不要 |
確認書類① 休業協定書・教育訓練協定書 | 労働者の委任状が不要となる |
確認書類② 事業所の状況に関する書類 | (様式第5号(3)として提出可) |
◆支給申請に必要な書類
書類名 | 簡素化内容 |
様式第5号(1) 支給申請書 | ・自動計算機能付き様式とし、記載事項を大幅に削減 ・事業所の所在地等の記載は省略可 |
様式第5号(2) 助成額算定書 | ・自動計算機能付き様式とし、記載事項を大幅に削減 ・残業相殺の停止により、残業時間の記載不要 |
様式第5号(3) 休業・教育訓練計画一覧表及 び所定外労働時間等の実施状 況に関する申出書 | ・日付毎の記載は不要、日数合計のみ可 ・残業相殺の停止により、残業時間の記載不要 |
共通要領様式1号 支給要件確認申立書 | 「はい」「いいえ」を簡易に回答可能な様式に変更 |
確認書類① 労働保険料に関する書類 | 添付不要 |
確認書類② 労働・休日及び休業・教育訓 練の実績に関する書類 | ・出勤簿、タイムカード以外にも、 手書きのシフト表などでも可 ・給与台帳以外にも、給与明細の写しなどでも可 |
雇用調整助成金の活用例①
短時間休業の要件緩和の活用をした場合には、下記のような活用例があげられます。
◆立地が独立した部門ごとの短時間一斉休業を可能となる
・活用例:客数の落ち込んだ店舗のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業
◆常時配置が必要な者を除いて短時間休業を可能とする
・活用例:ホテルの施設管理者等を除いた短時間休業
◆同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業が可能となる
・活用例:8時間3交代制を6時間4交代制にして2時間分を短時間休業と扱う
雇用調整助成金の活用例②
雇用調整助成金の教育訓練の拡充を活用した場合には、下記のような活用例があげられます。
◆従前は訓練日に就労することができませんでしたが、半日訓練後、半日就労すること
が可能となります。
なお、半日訓練の場合は、加算額が半額。
◆感染防止拡大の観点から、自宅等で行う訓練も助成対象となります。
なお、実施前には管轄の労働局等でご確認ください。
まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大の中小企業に向けての支援策となる雇用調整助成金について詳しく解説してきました。
雇用調整助成金は特例措置を設けて幅広い拡充と条件の緩和により、中小企業が利用しやすいように変更されています。
また、申請書類や記入事項の簡素化により、さらに申請しやすいようになりました。
従業員の雇用維持に努めようとしている中小企業にとって支援となる雇用調整助成金ですので、積極的に活用してみてください。
新型コロナウイルス拡大で、各方面に様々な影響が出ていると思いますが、支援策を大いに利用していきましょう。