新型コロナウイルスの影響によって、やむなく休業や縮小営業をする美容室や理容室が増えてきています。
休業した場合には、美容師などにも休業補償が必要になりますが、美容室や理容室は自粛対象外となっているため、国の支援を受けることができるのでしょうか?
こちらの記事では、美容室や理容室が利用できる助成金と融資を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
最新情報:雇用調整助成金の限度額の増額を検討していると発表がありました(5月14日)
限度額 8,330円→15,000円と、増額されることを検討しています。
INDEX
新型コロナウイルス感染症に影響された美容室
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い美容室は当初、感染のリスクが高いとされ休業要請の対象となっていましたが、最終的には生活に欠かせない施設との意見も多く出たことから、最終的に営業を認めることになりました。
休業要請とはなりませんでしたが、外出自粛により客数が減少することに加えて、感染リスクを心配しての自主休業を行う美容室が増えてきています。
不安を抱える美容室や理容室
美容室や理容室は、感染リスク高いとされたことによりコロナウイルス感染症拡大の影響を受け、働く美容師や理容師も近距離となる接客に対しての不安は隠せません。
また、もしも美容室などの休業を行えば従業員の休業手当や家賃や維持費などの経費が必要となってきてしまうでしょう。
このような美容室や理容室に対して国のコロナ支援策では、理美容業者に特化した給付金や美容師などを休ませるに支援となる助成金が設けれています。
次に、美容室や理容室が活用できる3つの助成金と融資をみていきましょう
東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金
東京都では、4月30日から5月6日までに自主休業に美容室や理容室に対して給付金を支給することが決定しました。
「いのちを守るSTAYHOME週間」のなかで、新型コロナウイルス感染症拡大のリスクを低減するために休業した理美容事業者に対して、給付金が支給されます。
申請の受付期間は、令和2年5月7日~6月15日(月)となっておりますので、忘れないように申請してください。
対象要件
東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金の対象となるには、東京都内に事業所がある理容業や美容業を営む中小企業及び個人事業主が対象となり、下記の要件を満たすことが必要となります。
・今回の給付金は、自主的に休業する理美容事業者を対象としています。
・4月29日以前に、開業しており、営業の実態がある事業者が対象となります。
・都内の事業所の自主的な休業を行った場合が対象となります。この場合、都外に本社がある事業者も対象になります。
・令和2年4月30日から5月6日の間、自主的に休業していただいた事業者が対象となります。
支給金額
東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金の支給金額は下記の通りとなります。
・15万円(2店舗以上有する事業者は30万円)
必要書類
東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金の対象の必要書類は下記の通りとなります。
◆給付金申請書(法人にあたっては「法人番号」を記入)
◆営業活動を行っていることが確認できる書類
(例)確定申告書の控え、住民税申告書の控え など
◆営業に必要な許可等取得していることがわかる書類
営業許可証(確認済証)の写し など
◆休業の状況が確認できる書類
休業期間を告知するホームページ・店頭ポスターの写し など
◆本人確認書類(写し)
(例)法人の場合:法人代表者の運転免許証、パスポート、保険証等の書類
個人の場合:運転免許証、パスポート、保険証等の書類
◆誓約書
◆支払金口座振替依頼書
美容師に休業手当を支給するのなら雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金の特例措置は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、休業や縮小を余儀なくされ他事業主が従業員の雇用維持に努めている場合に利用できる助成金です。
労働者に対して一時的に休業等を行い労働者の維持を図った場合、その時に事業主が労働者に支払った休業手当の一部(一定の要件を満たす場合には全部)が国によって助成されます。
全事業種が対象となっていますので、理美容経営者も利用することができます。
雇用調整助成金の特例措置の概要
雇用調整助成金の特例措置は、通常の雇用調整助成金を4月1日から6月30日までの緊急対応期間中に全国において、感染拡大防止するために設けられています。
特例措置のとなる項目は、下記の表の通りとなります。
(雇用調整助成金の特例措置)
緊急対応期間 | 4月1日から6月30日まで |
対象事業主 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 |
対象者 | 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める |
助成金額 | ・助成率 中小企業の場合 4/5 大企業の場合 2/3 ・解雇等を行わない場合の助成率 ・上限額 |
計画書の提出 | 計画届(2回目以降のものを含む。)の事後提出を認める 1月24日~6月30日まで |
休業要件 | 中小企業の場合 1/40 大企業の場合 1/30 |
教育訓練を行った場合 | ・助成率 中小企業の場合 4/5 大企業の場合 2/3 ・解雇等を行わない場合の助成率 ・加算額 |
生産指数要件 | 1か月5%以上低下 |
美容室の休業により売上が減少したのなら持続化給付金
持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって特に大きな影響を受けた事業者を支援しています。
事業全般に広く使えることに加えて、農業、漁業、製造業、飲食業、小売業、作家、俳優業など幅広い業種が対象となっています。
前年度の売上と比較して50%の以上の売上が減少している条件となっていますので、美容室が休業した場合に利用できる可能性が高くなります。
給付対象の主な要件
持続化給金の主な対象要件は、下記の通りになります。
◆新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者。
◆2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者。
◆法人の場合
(Ⅰ)資本金の額または出資の総額が10億円未満、又は、(Ⅱ)上記の定めがない場合、常時使用する従業員の数が 2000人以下である事業者。
給付額
持続化給金の給付額は下記の通りとなります。
ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限となります。
◆法人 200万円
◆個人事業主 100万円
・売上減少分の計算方法
『前年の総売上(事業収入) — (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)』
新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫の国民生活事業と中小事業が行っている新型コロナウイルス感染症特別過貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的に業績が悪化している方が利用できる貸付です。
上記のような給付金や助成金と違い、返済しなくてはならない貸付となります。
利用できる方
新型コロナウイルス感染症特別貸付が利用できる方は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、一時的な業況悪化となっている方で、下記の①もしくは②のいずれかに該当している方となります。
また、中長期的に業況が回復し発展が見込める方となります。
①最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
②業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
・過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月から12月の平均売上高
新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
新型コロナウイルス感染症特別貸付の使い道、融資限度額、利率(年)、返済期間、担保等、申込先などの概要を表にまとめましたので、参考になさってください。
融資限度額 | ・国民生活事業 6,000万円(別枠) ・中小企業事業 3億円 |
資金の使いみち | 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金 |
利率(年) | ・国民生活事業 基準金利 ただし、3,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率 ・中小企業事業 基準金利 ただし、1億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率 |
貸付期間 | ・設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
・運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内) |
担保 | 無担保 ・年経過ごと金利見直し制度を選択できます |
新型コロナウイルス感染症特別貸付の利率は基準金利となっていますが、低減した利率の利息部分について返却する利子補給の制度を利用することで、当初3年間は実質的に無利子で利用できることになります。
次に、実質無利子となる「特別利子補給制度」を詳しく見ていきましょう。
特別利子補給制度
特別利子補給制度は、上記の新型コロナウイルス感染症特別貸付を行った中小企業などの中で、特に影響のおおきな事業性のある方が受けられる制度です。
フリーランスを含む個人事業主、売上高が急減した事業者等に対して利子補給をおこない資金繰りを支援します。
利用できる方
特別利子補給制度を利用できる方は、新型コロナウイルス感染症特別貸付を受けている中小企業のなかで、下記の要件を満たす方となります。
◆個人事業主(小規模に限る):要件なし
◆小規模事業者(法人事業者) :売上高▲15%減少
◆中小企業者(上記➀➁を除く事業者):売上高▲20%減少
融資限度額・返済期間
特別利子補給制度の融資限度額と返済期間は下記の通りとなります。
◆融資限度額 3,000万円
◆返済期間 借入後、当初3年間
まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた美容室や理容室が活用できる助成金と融資をまとめてご紹介しました。
返済の必要がない助成金として「東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金」「雇用調整助成金の特例措置」「持続化給付金」を活用してみてはいかがでしょうか。
美容師の休業補償にお悩みの経営者は「雇用調整助成金」の検討を、休業によって売上減少となったのなら「持続化給付金」を検討してみると良いでしょう。
また融資では、新型コロナウイルス対策として、日本政策金融公庫では「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が設けられており、「特別利子補給制度」を利用することで、実質無利子が可能となります。
新型コロナウイルス感染症の収束を願うばかりですが、影響を受けている美容室や理容室は、これらのコロナ支援を活用して今の危機を乗り越えていきましょう。