
新型コロナウイルス感染症の拡大による経済対策に一つである、1人10万円を給付する「特別定額給付金」のオンライン申請の受付が5月1日から、全国679市区町村でスタートしました。
しかし、ネットニュースなどでも話題になっている、「別居中」の場合の給付金の受け取りはどうすれば良いのか、対象となる方や受け取りに必要な手順についてのポイントを3つ紹介していきます。
・別居中でも給付金を受けられる対象
・別居中の要件に該当するためにするべきこと
・別居中の給付金の申し込み方
上記3つのポイントで、別居中の方の特別定額給付金の受け取りについて紹介していきます。
まずは、今回のコロナウイルス感染症拡大に伴う、特別定額給付金の基本的な情報から
解説します。
特別定額給付金とは
1人10万円の給付金と打ち出していますが、実際はどのような内容になるのか、まずは基本的な情報を紹介します。
今回の特別定額給付金は、簡素な仕組みで迅速に家計を支援するために、対象者へ1人10万円を給付するものとなります。
これは、2020年4月27日に生まれたお子さんや、高齢者施設に入居中の方も、もちろん対象としています。
他にも、
・年住民税非課税世帯、年金受給世帯、失業保険受給世帯、生活保護受給世帯の方
・基準日以降に亡くなった方
・基準日時点で日本に居住していたもしくは、基準日までに帰国していた方(別途手続きが必要です。)
上記の方であっても、特別定額給付金の受給対象となります。
基準日となる4月27日以降に生まれたお子さんや、基準日以前に亡くなられた方は対象になりません。
基本的には、対象者は2020年4月27日時点で、住民記帳台帳に記録がある方としており、受給権者は、その世帯の世帯主となっています。
つまり、この特別定額給付金は、世帯主がまとめて申請し、まとめて支給されるというものになります。
別居中の問題
特別定額給付金は、前項でも紹介した通り、世帯主がまとめて支給されることになり、何らかの理由で別居をしていて、住民票を移していない場合は本人の手元に直接給付されません。
それでは、別居中の場合どのような方が直接給付の対象となるのか、受け取る場合の手続きについて解説していきます。
別居中の受給対象者
総務省では、事情により2020年4月27日以前に、実際に居住している場所に住民票を移すことができなかった人に向けて、実際の居住先で給付金を受け取るための手続きを設定しました。
まず受給の対象となるには、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
①DV防止法上、第10条に基づく保護命令が出されていること。
DV防止法は配偶者からの暴力の防止及被害者の保護に関する法律で、この保護命令は、事前に暴力事例について警察への相談記録があることを前提に裁判所にて出されるものです。
②夫人相談所による「配偶者からの暴力の被害者の保護証明書」または地方公共団体により、夫人相談所以外の配偶者暴力対応機関が発行した確認書が発行されていること
③住民票秘匿措置の対象となっていること
この住民票秘匿措置を受けるためには、配偶者からの暴力やストーカー行為の相談を市区町村などへ相談し、相談記録が残っている必要があります。
上記のように、DV被害を受けており、その確認が何らかの形で取られていることが、別居中に特別定額給付金を受け取る条件となっています。
また、お子さんと一緒に住民票のある住所以外に住んでいる場合も、あわせて給付金を受け取ることができます。
中には、離婚を前提に別居中の方もいるかもしれません。
しかし、配偶者からのDVが原因の離婚以外の場合は、この対象には含まれず、27日時点で住所変更されていなければ同一世帯とみなされてしまいます。
申請期間
総務省では、DVの被害により住民票の住所とは異なる場所に住んでいる方が特別定額給付金を受け取るための申請期限を4月30日と設定していましたが、5月1日以降も自治体に申し出れば受け付けてもらえます。
別居中の給付金支給の仕組み
申し出を受けた自治体では、その情報を都道府県に通して市町村に通知します。
この処理により、仮に世帯主が全員分を申請しても、申請された方の分の給付金が世帯主に給付されないようになっています。
また、世帯主に一括で給付された場合でも、申請者に10万円を給付した上で、世帯主に返金を求めることで、別居中の方の分の給付金が手元に残らないようにする仕組みを設定しているようです。
現状では申請対象にない場合
最近では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テレワークを行う方も増えています。
その影響で、四六時中同じ空間にいてストレスが溜まり「コロナ離婚」や配偶者からの「コロナDV」などの弁護士事務所への相談が増えているそうです。
現時点で、受給の要件を満たしていない場合でも、4月30日以降のDVによる別居の申請も受け付けていることから、これから要件に該当するように動くことも可能です。
それでは、3つの要件、それぞれの取得方法について紹介していきます。
保護命令
この申請を行うためには、まず警察、またはDVセンターへ相談する必要があります。
すでに一度でも相談済みの場合は、すぐに裁判所へ保護命令も申立てを行っても問題ありません。
また、警察やDVセンターへ相談していない場合は、公正役場で宣誓供述書を作成してもらいましょう。
しかし、こちらは比較的要件が厳格になるため、今からの申立ての場合は時間を要してしまうため、ハードルが高いものとなります。
配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書
こちらは、都道府県に設置されている婦人相談所への相談することで発行されます。
比較的、使いやすい手段でもありますが、現在「コロナDV」などの影響で、相談窓口への相談が増えているようです。
証明書の発行までに、通常よりも時間がかかる可能性があります。
住民票秘匿措置
この支援措置は、各市区町村にて設けられている窓口に申し出を行います。
ただし、申し出を受けた市区町村は、支援措置の必要性を、警察、DVセンター、児童相談所等に意見を聞き確認を行います。
そのため、この措置を受けるためには、保護命令の場合と同様に警察やDVセンターへの相談が必須となります。
申請と給付について
申請方法は2種類設けられており、原則としては、申請者本人名義の銀口座へ給付金が振り込まれるようになっています。
それでは、まず基本的な申請方法について紹介します。
通常の申請方法
今回の特別定額給付金には2種類の申請方法が設けられています。
・郵送申請方式
市区町村から住民票の登録がある住所へ申請書が送付されます。
申請書には、世帯主の氏名や住所、生年月日と振込先の口座を記入してください。
また、振込先口座の確認書類と本人確認書類と合わせて市区町村へ郵送します。
・オンライン申請方式
5月1日から各市区町村で受付を開始し始めた方法です。
オンライン申請を行う場合には、マイナンバーガードとマイナポータルのアプリケーションのインストールが必要となります。
また、申請の際にマイナンバーカードの読み込みが必要になるため、パソコンの場合はICカードリーダー、スマートフォンの場合はマイナンバーカード読取対応している機種であるか確認の上アプリケーションをインストールしましょう。
申請手順は、まずお住まいの地域を入力し「ぴったり検索」から特別定額給付金にチェックを入れます。
あとは必要項目を入力し、振込先口座が確認できる書類をアップロードしてください。
最後にマイナンバーカードの読み取りをして、電子署名を付与した後送信すれば完了となります。
別居中の場合の申請方法
別居中の申請の対象者にあたる方は、現時点でお住まいの市区町村の、特別定額給付金担当窓口に申し出る必要があります。
申し出には、「申出書」が必要になり、申出書には、配偶者からのDVを理由に住民票とは異なる住所に避難していることが確認できる書類が必要になります。
必要となる書類には、婦人相談所や配偶者暴力相談支援センターなどが発行する証明書や、保護命令決定書の謄本または正本が必要になります。
もし既に、4月28日以降に今のお住まいに住民票を移し、住民基本台帳の閲覧制限などの支援を受けている場合は、申出書の提出の際に申告することで、市区町村で確認が取れるため、避難の確認書類は必要ありません。
また、もしお子さんと一緒に避難されている場合は、この申出書提出の際に、同伴者の記載をしましょう。
これにより、現在お住まいの住所で、世帯主となる配偶者に特別定額給付金を受給されることなく、お子さんの給付金も合わせて受給できる仕組みとなります。
申出手続き後は後日、お住まいの住所に特別定額給付金の申請書が送付されますので、その申請書より、前項で紹介した「郵送申請方式」にて給付の手続きを行ってください。
まとめ
以上、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、特別定額給付金を別居中の方が受け取るためのポイント3つについて紹介しました。
現在、DVによる別居の場合であれば、世帯主に給付金が渡ってしまうことを防ぐことができます。
ただし、この特別定額給付金の申請は、申請受付開始日から3ヶ月と決まっています。
さらに、相談窓口への相談が殺到している状況です。
まだ別居の申し出をしていない方、または、まだ別居中の要件を満たしていない場合は、本記事を参考に、早めの行動を開始しましょう。