自由な資金調達が可能なコミットメントライン3つの種類と基礎知識

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コミットメントライン

新型コロナウイルス感染症などの影響により、売上が落ち込んだり、事業の先行きに不安を感じている企業は多いのではないでしょうか?

そのような状況を踏まえて、銀行からの融資枠であるコミットメントラインを設定する企業が増えてきています。

限度額の範囲であれば、何度でも資金調達が可能となる融資形態を持つコミットメントラインですが、その内容をきちんと把握している方は多くありません。

そこで、こちらの記事では、コミットメントラインの特徴を始めとして、その種類や契約方法、注意事項、デメリットについて解説していきます。

資金調達として活用する前に、コミットメントラインの知識を蓄えておきましょう。

新型コロナの影響で急増してきたコミットメントライン

コミットメントライン

新型コロナウイルスによる重大な影響を受けていない上場企業でも、今後の判断の見通しが難しいためにコミットメントライン契約の締結が目立つようになってきました。

8月26日には帝国データバンクの「上場企業のコミットメントライン契約動向調査(2020年1月~7月)」においては、公表した上場企業の累計は136社に上り、前年と比べて110社も増え、約5.2倍と大きく増加していることがわかります。

また、新型コロナウイルスの影響の備えを理由としている企業は84社、業種別ではサービス業が34社と最多となり、続いて「その他」33社(31社が持ち株会社)、製造業28社、小売業16社、卸売業15社と続いています。

新型コロナウイルスの影響により、手元に資金を確保しておこうという理由で契約が増え始めたコミットメントラインとは、どのような資金調達法なのかみていきましょう。

何度も資金調達できるコミットメントラインの基礎知識

コミットメントライン

コミットメントラインは銀行融資枠とも呼ばれており、企業と銀行などの金融機関の間で、あらかじめ期間や融資枠を設定し、その枠内であれば審査なしでも融資が受けられるという契約です。

コミットメントラインは、安定的な経常運転資金策、マーケット環境の不測の事態への対応などを目的に利用されています。

1999年の「特定融資枠契約に関する法律」が制定されたことによって、手数料設定の自由度が増したことによって、銀行融資枠の利用が幅広く活用されるようになりました。

契約期間中であれば、銀行などの金融機関は設定したコミットメントラインを拒否することができません。

企業側から見れば、安定的な資金の確保、さらには不足が起きた際の資金調達先が得られた形の「流動的な資金を確保した」融資となるでしょう。

コミットメントフィーとは?

コミットメントラインを利用する際には対価を要することになりますが、その対価をコミットメントフィーと呼んでいます。

コミットメントフィーは、プロジェクトファイナンスの未使用資金枠で徴収される手数料でも用いられており、コミットメントラインの契約以外にも、将来貸し出す枠に対しての手数料です。

コミットメントフィーは元本が存在しないために、信用の許与ではないかという問題点がありましたが、「特定融資枠契約に関する法律」が制定されたことで、利息制限法や出資法の特例として、認められるようになりました。

コミットメントラインが利用できる企業

コミットメントラインは事業者の決算状況によって決定され、契約には所定の審査を通過する必要があり、さらに金利のほかにもコミットメントフィーなどが生じてきます。

このようなコミットメントラインは、上場企業などの大企業が行っていましたが、現在では手数料を得るために中小企業等に対しても提供し始めています。

一部の大企業の特権となっていたコミットメントラインは、利用できる企業が広がったことで、契約を結ぶ企業が増えているのです。

コミットメントラインの3つの種類

コミットメントライン

コミットメントラインには、コミットメントライン(スタンバイ)と、リボルビングラインの2つの種類が存在しています。

また、最近ではコミットメントラインの進化した形として、新株予約権を用いた効果が得られるエクイティ・コミットメントラインもでてきました。

次に、コミットメントライン(スタンバイ)と、リボルビングライン、エクイティ・コミットメントラインを詳しく見ていきましょう。

コミットメントライン(スタンバイ)

コミットメントライン(スタンバイ)とは、緊急の資金が必要となる不測の事態等が起きた時に備えて、一定の融資枠を確保することです。

通常で行われる運転資金など、資金調達を目的として行われる訳ではありません。

不測の事態、非常時以外には、資金を受けないことが前提とされている融資です。

リボルビングライン

リボルビングラインは、コミットメントライン(スタンバイ)と異なり、資金が必要となった時にはいつでも融資を受けることができる契約です。

通常の運転資金等の資金調達を目的として行われます。

一般的のコミットメントラインと呼ばれるものは、こちらのリボルビングラインを指しています。

エクイティ・コミットメントライン

エクイティ・コミットメントラインとは、新株予約権を利用して銀行などの金融機関から資金調達を行う方法です。

資金調達を希望している企業が、銀行などに対して新株予約権を発行し、割当金融機関との間で、コミットメント条項契約を締結します。

割当側が新株予約権について行使、行使禁止条項についてコントロールする、新株予約権の権利行使の主導権を発行会社が握っていることがポイントとなるエクイティ・コミットメントラインです。

コミットメントラインの契約方法

コミットメントライン

実際にコミットメントラインの契約を、銀行などの金融機関と交わしたいときにはどのようにしたらよいのでしょうか?

契約を結ぶには、バイラテラル方式とシンジケート方式の2つの契約形態から選ぶことになります。

次に、バイラテラル方式とシンジケート方式についてみていきましょう。

バイラテラル方式

バイラテラル方式は相対型と言って、銀行などのそれぞれの金融機関とコミットメントライン契約を凍結する契約方法です。

この場合には、それぞれの金融機関によって、融資枠や金利などの条件が違ってきます。

シンジケート方式

シンジケート方式は協調型と言って、幹事となる金融機関が複数の金融機関(シンジケート団)を取りまとめて行います。

複数の金融機関であっても、同一条件のコミットメントラインを設定する契約方法となります。

シンジケートローンと同じ仕組みとなりますが、その違いは金融機関は実際に融資を行わないにも係らず、融資枠を設定することです。

融資を行わなくても、限度枠に対しての手数料が生じることとなりますので、銀行などの金融機関にとっては大きなメリットになる契約方法だと言えるでしょう。

コミットメントラインのメリット

コミットメントライン

コミットメントラインのメリットは、設定した融資枠内であれば自由に借入や返金がおこなえることですが、それ以外にも企業の評価をあげるというメリットも得ることができます。

契約期間内に設定したコミットメントラインを断ることができなくなる金融機関は、利用する企業に対して慎重に審査を行います。

コミットメントラインを導入することができるという企業は、一定の財務内容や事業、さらには将来性のおいて優良と認められた企業ということになります。

契約書の中には財務制限条項や不可抗力条項などが盛り込まれていますので、コミットメントラインを利用した企業評価の上昇につながっていくでしょう。

コミットメントラインのデメリット

コミットメントライン

コミットメントラインは融資枠内であれば自由に融資が受けられる便利な資金調達法ですが、デメリットな部分ももちろん存在しています。

デメリットとなる部分は、上記でも説明したコミットメントフィーが発生することです。

借入をしていなくても、融資枠に対して手数料を支払わなければなりません。

自由な借入ができますが、利用していない金額に対しても手数料を支払うことになり、高い融資枠を設定すると、手数料も高くなってしまうのがコミットメントラインのデメリットと言えるでしょう。

コミットメントラインの契約例:東邦銀行の場合

コミットメントライン

実際のコミットメントラインの契約の一例として、東邦銀行で行われているコミットメントラインの商品概要を見てみましょう。

下記の表が東邦銀行のコミットメントライン(バイラテラル方式)の商品概要となります。

利用できる方 資本金が3億円を超える株式会社
資金使途 運転資金
融資形式 当座貸越契約個別方式(コミットメントライン契約)
コミットメント額(貸出枠) 1億円以上(個別の実行は1百万円単位となります)
契約期間 1年間(契約期間終了後は1年単位で更新可能)
融資利率 全銀協TIBOR+スプレッド
利払方式 期日までの一括後払い
ファシリティフィー 金利のほか、貸出枠を基準として一定割合の手数料が必要
担保 必要に応じて担保提供
特記事項 期日以前の繰上げ返済は原則できませんが、やむを得ず返済する場合には返済手数料が必要

コミットメントラインの契約例:みずほ銀行

コミットメントラインは、特定融資枠契約に関する法律の適用対象企業であることが原則となっており、みずほ銀行では下記のような企業が対象例としてあげられます。

『◆「特定融資枠契約に関する法律」の適用対象企業の例

①会社法上の大会社(貸借対照表の資本金5億円以上または負債の部の計上額200億円以上の株式会社)

②資本金3億円超の株式会社

③純資産額10億円超の株式会社

④金融商品取引法の規定による監査証明を受ける必要のある株式会社

⑤上記 1~4に掲げる者の子会社

⑥資産流動化法上の特定目的会社

⑦投信法上の登録投資法人

⑧広義の特別目的会社(SPC、Special Purpose Company)等』

出典元:コミットメントライン|みずほ銀行

まとめ

コミットメントライン

自由な資金調達が可能となコミットメントラインの基礎知識として、コミットメントラインの3つの種類と契約方法、コミットメントラインのメリットとデメリット、さらに東邦銀行とみずほ銀行のコミットメントラインの契約例を紹介してきました。

新型コロナウイルスの影響により、事業の先行きに不安を感じている企業が増えているためにコミットメントラインを設定する企業が増えてきています。

資金調達としてコミットメントラインを活用するのなら、コミットメントラインの基礎知識をしっかりと確認しておきましょう。

特に新型コロナウイルスにより非常時となったり、不測の事態がいつ起こるかわかりません。

コミットメントラインは、そのような時の力強い味方となってくれる資金調達法なのです。

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