不良債権の買取相場は?7つの債権回収方法とかかる費用について解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

取引先の企業から売掛債権を回収できないという時や、貸したお金がいつまでも返ってこない時など、債権を自ら回収することが難しい場合には債権回収会社や弁護士に委託して債権を回収する必要があります。

誰しも債権の回収がスムーズに出来ないことを承知で取引を行う訳がありませんから、債権が回収できなくなった時は戸惑いや不安、そして債権回収の手続きやかかる費用が気になるのではないでしょうか。

債権回収を依頼した場合には費用がかかり、弁護士費用や裁判所への申立費用を考えると費用倒れになってしまうリスクもあります。

この記事では7つの債権回収方法とかかる費用、債権回収における債権回収会社と弁護士の違い、不良債権の買取相場について詳しく解説していきます。

債権には時効がある

債権には様々な種類がありますがそれぞれに規定された時効があります。

支払われないまま「待ってほしい」と言われ、そのまま時効が来てしまえば債権は消滅し、回収出来る見込みは無くなってしまうのです。そのため、もしも債権のトラブルに遭ったら時効の確認は忘れずに行ないましょう。

以下で主な債権の消滅時効について記載しますが、表からもわかるように債権の期間には大きな違いがあります。早めに専門家に相談し判断を仰ぐようにするのがいいでしょう。

消滅時効期間 債権の種類(法律)
6ヵ月 約束手形債権(手形法70条)
小切手債権(小切手法51条)
1年 飲食・宿泊代金、運送費等(民法174条)
2年 弁護士・公証人の債権(民法172条)
生産・商品の売買代金等(民法173条)
塾の授業料(民法173条)
3年 建築工事に関する代金(民法170条)
医師・請負人の債権(民法170条)
5年 商行為に関する債権(商法522条)
10年 個人間の債権(民法167条)

不良債権の買取相場

不良債権の買取相場はケースバイケースだと言われており、どのような種類の債権なのかによっても全く異なっていますが、一般的なデューデリジェンス(価値やリスクの調査)で評価される一般的な相場は簿価の5~10%と言われています。

不良債権の形には電話番号や特許から商品在庫、会社自体なども含まれ、その形によって買取後の処理方法も変わってきます。買い取った不良債権を販売することで大きな利益になることが予想出来る場合、高く買い取ってもらえる可能性もありますが、不良債権はあくまで「回収不能になった債権」です。

既に回収出来なくなった債権を債権回収会社(サービサー)が回収することになるため、手数料も高くなり、債権者が最終的に手にする額は二束三文となる場合が多いとも言われています。

7つの債権回収方法とかかる費用の相場

ここからは7つの債権回収方法、そしてかかる費用相場についてご説明していきます。債権回収は債権の内容、債務者との関係性、債権者・債務者の状況によっても様々な選択肢が考えられます。

自分のケースに最も適していると思える方法で債権回収を行ないましょう。場合によっては費用倒れになるリスクがあるため事前にきちんと検討しておくことが大切です。

1、債権回収会社(サービサー)に依頼

債権回収会社はサービサーとも呼ばれ、債権の管理・回収を行うことが出来る会社のことです。滞納している借金や税金の取り立てはこの債権回収会社が行ないます。

【債権回収会社(サービサー)】

「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」はバブル崩壊後に大量に発生した不良債権を素早く処理するために1999年に施行されました。

弁護士法では弁護士や弁護士法人以外の者が事業として債権回収を行うことを禁じていますが、債権回収を行う弁護士が少ない事から特例として民間業者に債権回収業を解禁。更に、暴力団などが債権回収業に介入してくることがないように法務省の認可が必要となっています。

認可された債権回収会社以外が債権回収業務を行うことは非弁行為となり弁護士法に違反します。認可された債権回収会社については法務省のホームページに「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」がありますのでそちらから確認してみてください。

債権回収会社(サービサー)を利用する場合、債務者に連絡して了承を得る必要などは一切ないため、スピーディーに実行することが出来、更に法務省から認可された債権回収のプロであることからも安心感があります。

債権回収の仕組みは至ってシンプルなものです。

例えば、債権者に依頼され100万円の債権を10万円で買い取ったとします。すると今度は債務者に対し「本来なら100万円返済する必要があるが、20万円返済してくれればチャラにする」と持ちかけ、債務者から20万円が支払われれば債権回収会社(サービサー)は10万円の利益が出たということになります。

債権回収が上手く行けば大きな利益を得ることが出来ますが、債権を購入しているため債権会社もリスクを負っています。そのため手数料はどうしても高くなりますし、利益が出ないと考えられる不良債権の場合、買取を拒否されることもあります。

2、弁護士による交渉・内容証明郵便による催告書の通知

債権回収会社に依頼するのではなく、弁護士に相談して債権回収を行うという方法もあります。

弁護士に依頼した際の費用は「相談料」「着手金」「成功報酬金」が発生します。相談料は1時間1万円が相場ですが、弁護士の事務所によっても異なります。

交渉

債権が回収出来ない状況に陥った時にはほとんどの場合、弁護士に相談する前に電話や面談で債務者に支払いの催促を行っているでしょう。

しかし、債権者ではなく弁護士による電話や面談での交渉をすることによって、債務者の態度が代わり、支払いに応じる場合があります。債権者側の本気度を伝えることで債務者に「支払いを避けることは出来ない」と思わせることが出来るのです。

弁護士のよる交渉の場合の費用は回収できた債権に応じて異なります。以下の表はあくまで相場となっていますので、詳しくは依頼する弁護士に問い合わせてみるようにしてください。

回収債権額 着手金 成功報酬
~100万円未満 10万円 弁済額の内の10~15%
100万円~300万円 15万円
300万円~500万円 20万円
500万円~1000万円 30万円
1000万円~5000万円 40万円
5000万円~1億円 60万円
1億円以上~ 80万円

内容証明郵便による催告書の通知

債権を請求する内容証明郵便は弁護士に依頼せずとも自分で作成して債務者に送ることは出来ますが、強制力はそこまで強くはありません。

しかし、弁護士の名前の入った内容証明郵便を送れば「支払いに応じなければ裁判を起こされる可能性がある」と考え、支払いに応じることもあります。内容証明郵便には「期限内に支払わなければ法的措置を講じる」という内容も記載します。

催告書は簡単に作成することが可能で、弁護士名表記によって費用が異なります。

弁護士名表記なし 1~3万円
弁護士表記名あり 3~5万円

3、民事調停

裁判所を利用する民事調停は弁護士を立てなくても自ら申立を送ることも出来ますが、相手が裁判所に出頭しなければ成立せず、法律に詳しいなど狡猾な相手だった場合、不当な引き延ばしを行うことがあります。また、相手側の同意が得られず調停が成立しないこともあります。

しかし、弁護士に依頼して民事調停を行えば「民事調停が成立しなければ訴訟になってしまうかもしれない」と思わせることが出来、強制力が出ます。

約1000~2500円の郵券切手代訴訟の手数料の半額の収入印紙代の他、弁護士費用が発生します。

4、支払督促

支払督促とは、裁判所に申し立てることで債権の支払いを督促することが出来る手続きのことで、債務者に意義が無ければ債務名義(公的に債権の存在を証明する書類)として仮執行宣言付支払督促を取得できます。債務者が意義を申し立てた場合、通常訴訟へ移行します。

しかし、支払督促は必ず相手方の住所や事務所所在地の簡易裁判所書記官に申立を行う必要があり、住所がわからない場合には利用することが出来ないため、弁護士が代理して支払督促を行うことは非常に稀です。

約1000~2500円の郵券切手代訴訟の手数料の半額の収入印紙代の他、弁護士費用が発生します。

5、少額訴訟

少額訴訟とは、請求する債権額が60万円以下の場合に行う事ができる特別な訴訟手続きで、審理を1回だけで終わらせすぐに判決を行います。少額訴訟は通常訴訟に比べ、手続きにかかる時間が費用を安く抑えることが出来ますが、債務者が少額訴訟に応じなかった場合、通常訴訟に移行します。

また、少額訴訟の判決に債務者が意義を申立した場合、審理をやり直さなければいけなくなり、かなり時間を浪費してしまいます。そのため、弁護士は少額訴訟ではなく最初から通常訴訟を選択することが多くなっています。

約3000~5000円の郵券切手代請求金額の1%の手数料の他、弁護士費用が発生します。

6、訴訟(通常訴訟)

債権回収の方法としてはこの通常訴訟が一番の正攻法とされています。確実に債務名義を取得できるためそのまま強制執行を申立することも可能です。

また、時間がかかるイメージが付いている訴訟ですが、多くのケースの場合、第1回目の裁判期日終了後すぐに判決が出ます。また、債務者の方から「分割にしてもらえないだろうか」など和解の申し入れをしてくるケースも非常に多くなっています。

裁判所に納める予納郵券代の4000円収入印紙代資格証明書代(1社につき1000円)、官製はがき代(50円)の他、弁護士費用がかかります。

請求債権額 手数料
~100万円以下 1000円(10万円ごと)
100万円~500万円 1000円(20万円ごと)
500万円~1000万円 2000円(50万円ごと)
1000万円~10億円 3000円(100万円ごと)
10億円~50億円 1万円(500万円ごと)
50億円以上~ 1万円(1000万円ごと)

7、強制執行

債務名義と呼ばれる確定判決、和解調書、調停調書を取得したら差し押さえの強制執行による債権回収を行うことができます。債務者が任意の支払いに応じない場合に行うこの強制執行には大きく分けて3種類あります。

  1. 不動産執行
  2. 動産執行
  3. 債権執行

一般の企業で強制執行と言えばほとんどが3の債権執行となり、その中心となるのが銀行預金の差し押さえで、残高をそのまま回収することが出来ます。債務者が企業の場合、預金がなかったとしても任意に代金支払をさせることが出来ることや、第三者債務者がわかっている場合は債務者が有する当該債権の差し押さえが行えることもあります。

第三者債務者にまで強制執行の手が及ぶとなれば債権者も信用を失うってしまうため、差し押さえ後に任意で支払いをする可能性もあります。

このように、強制執行は債権回収の最後の手段とも言える手続きです。

債務名義の送達証明申請の費用として執行文付与の申立手数料(300円)、収入印紙代(150円)がかかります。(債務名義が公正証書の場合1600円の手数料が発生)

また、裁判所に納める費用として郵券切手代収入印紙代予納金登録免許税が発生し、更に弁護士費用がかかります。

収入印紙代 郵券切手代 予納金 登録免許税
不動産執行 4000円 不要 60万円以上 請求債権額の4/1000
動産執行 3000円 3~5万円 不要
債権執行 3000円~5000円 3000円~3500円 不要

債権回収会社と弁護士の違い

自らの手で債権が回収出来ない場合、債権回収会社か弁護士に依頼して債権を回収することになりますが、一体どのような違いがあるのでしょうか?4つの違いをご紹介します。

  1. 債権回収会社が債権の買取が出来るが、弁護士は出来ない
  2. 債権回収会社が回収可能な債権は法律で定められている(弁護士は債権全般に対応)
  3. 債権回収会社は手順が決まっているが、弁護士はケースに応じた回収を行う
  4. 弁護士は不良債権の根本にある法的トラブルにも対処することが出来る

債権回収会社か、弁護士による債権回収を選ぶかは債権の種類と、債権回収に至るまでの事情によってもどちらが最適かは異なります。法的トラブルがある場合は弁護士に、争うことなく債権回収が行える場合や債権を買い取ってほしい場合は債権回収会社に依頼するといいでしょう。

まとめ

不良債権を回収する手段は様々です。債権の種類や状況によっても最適な手段を選ぶことで、より効率的な債権回収を行うことが出来ます。債権回収会社による不良債権の買取金額には相場はあるものの、実際は債権の種類などでその買取額は大きく左右されます。

債権に時効があることを考えると、債務者との交渉が平行線になってしまっている場合は債権回収会社や弁護士にまず一度相談してみるのがいいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメント


ファクタリングの関連記事