中小企業が利用できる補助金の種類は豊富な種類あると言われていますが、業種や形態、また企業の規模によって、それぞれ対象が変わってきます。
中小企業の経営者であれば、自社にあった最適な補助金や助成金を探し出して、有効的に活用したいのではないでしょうか?
そこで、こちらの記事では補助金や助成金のメリットや活用する着眼点、さらには中小企業が利用できる5つの補助金や助成金をご紹介していきます。
事業の成長につなげられる可能性もありえる補助金と助成金をぜひ知っておいてください。
INDEX
中小企業経営者におすすめしたい補助金と助成金
数多くの種類がある助成金や補助金は、会社の設備やサービスなどの援助を行い返済不要となっている制度です。
このような補助金や助成金は、中小企業経営者にとっておすすめの制度となりますが、どのような点がおすすめの理由なのでしょうか?「IT導入補助金」を利用した場合を例にとって見てみましょう。
IT導入補助金を利用した場合
最近注目を集め始めている「IT導入補助金」は、ITサービスを導入を行う中小企業に対して、購入費の一部を援助してくれる補助金です。
生産性や業務効率を高める目的であれば、利用することができます。
この補助金を利用することにより、IT導入費用の全てを負担することなく、ITサービスを導入できるようになります。
補助金と助成金の違いについて
返済の必要がない補助金と助成金は、同じように捉えてしまいがちですが、異っている部分もあるので、把握しておいてください。
助成金は、雇用促進に向けて、正社員、高齢者などに活用される制度のことをいます。
補助金と助成金の共通部分として言えるのは、資金難に苦しむ中小企業または小規模事業者のサポートとなるということです。
人材と設備投資と双方の面から、支援をおこなうことにより、事業の発展とビジネスチャンスを得ることができるようになります。
【中小企業の場合】補助金と助成金の3つのメリット
補助金と助成金を活用した場合、どのようなメリットが生まれてくるのでしょうか?違った視点から見た3つのメリットをご紹介いたします。
返済不要につき雑収入となる
一般の資金調達は、銀行やカードローンの借り入れとなり、利息をつけての返済しなければいけませんが、補助金や助成金は返済の義務がありません。
また、受給された補助金は勘定科目の中では「雑収入」に仕分けができるので、自由な使い方ができる場合も数多くあります。
さらに補助金や助成金には消費税が発生することはありません。
信用が得られる
補助金や助成金を受給するには、国が行っている与信審査が含まれています。
もしも、補助金や助成金を受け取ることができたのなら、会社としての信用力がアップしていくでしょう。
事業の成長につながる可能性
中小企業に向けて行っている補助金は、設備投資、新規事業開拓、ビジネスの発展などに対して行なわれ、助成金は労務管理体制の強化につなげていくことができます。
これらを効率よく事業発展や課題解決に活用していくことにより、一気に拡大できるビジネスチャンスとなります。
補助金と助成金を上手に活用する3つの着眼点
中小企業の大きな支援となる補助金や助成金ですが、その数は多く自社にあったものを探し、有効的に活用していくことがカギとなります。
そこで、こちらでは迷っている中小企業の経営者の方に、上手に活用できる具体的に行なわれた3つの着眼点ご紹介したいと思います。
補助金をCSR施策に利用
株式会社デンソー:「平成26-27年度分散型電源導入促進事業費補助金」を活用
・西尾製作所にて省エネ設備導入
・エネルギー削減量3,742kL/年、エネルギー削減率26.5%を達成
西尾製作所のエネルギーJITにより、必要なエネルギを必要なだけ使用・供給する仕組みを導入した結果、エネルギー削減率26.5%を達成することができました。
中部地域における省エネルギー設備導入事例集
参考:経済産業省 中部経済産業局、中部地域における省エネルギー設備導入事例集
ITシステム導入で業務時間を削減
IT導入補助金によって、2018年には約6万社以上の会社が補助金を活用し、いろいろな業務効率効果を実現出来るようになりました。
多くの中小企業がITシステムを導入することにより、大きな作業の効率化を実現させています。
・ITツールを導入した結果、9割もの業務時間の削減となったケースもあり
・エクセルから支払管理業務システム化した結果、業務時間が4時間から20分に短縮
IT補助金の活用事例| 昨年度の事例に見る、効果的な方法をご紹介|OBC360°
参考:OBC360°、2018/5/10、【2018年 IT導入補助金】こう使う!昨年度の事例に見る、効果的な補助金の活用法
補助金と助成金を組み合わせてみる
中小企業に向けての補助金や助成金においては、単独で活用するのではなく組み合わせることによって、さらなる相乗効果が発揮できます。
【板金業を生業するA社の場合】
①「ものづくり補助金」「人材開発支援助成金」組み合わせる
②新しい設備投資
③機械を操る専門士の人材獲得
組み合わせたことにより、新しいレーザ機器の導入とレーザー職人の育成が同時に行なわれ、新製品開発と人材獲得が効率的に実現することができました。
【中小企業】すぐに使える5つの補助金と助成金
ここからは5つの補助金や助成金についてご紹介いたします。
会社の経営状態や環境に合ったものを選んでみてください。
①トライアル雇用奨励金
労働者としての社会経験が少なく、技術や知識に不足がある人をハローワークを介して3ヶ月間という試用期間を設けてトライアル雇用する制度です。
このまま従業員として雇い入れることも可能となっています。
受給できる金額:支給対象者1人につき月額4万円まで(最長3カ月間)
必要な書類:トライアル雇用実施計画書・トライアル雇用奨励金の受給申請書
申請の締め切り:トライアル雇用開始から2週間以内に実施計画書を提出
トライアル雇用修了から2ヶ月以内に受給申請
申し込み先:管轄のハローワークや職業紹介事業者(トライアル雇用求人)
労働局(トライアル雇用奨励金の受給申請)
参考リンク(公式サイト)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
②職場定着支援助成金
職場の離職率が気になる中小企業におすすめの職場定借支援助成金です。
雇用管理制度の導入や改善を行う事業主に対して補助金が支払われます。
職場求職者雇用開発助成金のコースは、「雇用管理制度助成コース」「介護福祉機器助成コース」「保育労働者雇用管理制度助成コース」「介護労働者雇用管理制度助成コース」の4つのコースに分類されています。
【雇用管理制度助成コース】
目標達成助成 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
【保育労働者雇用管理制度助成コース】
目標達成助成(第1回) 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
目標達成助成(第2回)85.5万円(生産性要件を満たした場合は108万円)
【介護労働者雇用管理制度助成コース】
目標達成助成(第1回) 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
目標達成助成(第2回)85.5万円(生産性要件を満たした場合は108万円)
【制度導入助成支給申請書(計画終了後)】
申請の締め切り:計画開始日の6ヶ月前~1ヶ月前の日の前日まで(計画開始前)
計画期間終了後2ヶ月以内(計画終了後)
申し込み先 労働局またはハローワーク
参考リンク(公式サイト)
職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、保育労働者雇用管理制度助成コース、介護労働者雇用管理制度助成コース)
③キャリアアップ助成金
従業員として雇い入れている非正規社員を正規社員へ登用、賃金規定の改定、健康診断の導入などをおこなった事業者が受給できる助成金制度です。
2019年のキャリアアップ助成金には、7つのコースがあり、特定の条件をクリアした事業主が利用できます。
詳細は下記の「キャリアアップ助成金」をご参照ください。
受給できる金額
【正社員コース】※金額は中小企業ベース
①有期雇用→正規雇用:57~72万円
②有期雇用→無期雇用:28.5~36万円
③無期雇用→正規雇用:28.5~36万円
(※金額はコースによって異なるため「キャリアアップ助成金 リーフレット」をご確認ください)
必要な書類:「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」 に沿ったキャリアアップ計画書・キャリアアップ計画変更届(途中変更がある場合)
申請の締め切り:転換後の賃金を6ヵ月分支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に申請(正社員コース)
申し込み先 労働局またはハローワーク
参考リンク(公式サイト) キャリアアップ助成金
④両立支援等助成金
働きながら育児や介護を行えるような労働環境作りや制度設計をした事業主に対して、助成金が支払われます。
両立支援等助成金には「出生時両立支援コース」「介護離職防止支援コース」「育児休業等支援コース」「再雇用者評価処遇コース」「女性活躍加速化コース」「事業所内保育施設コース」の6つのコースがあります。
受給できる金額
【育児休業等支援コース】※括弧内は生産性要件に該当した場合
・育休取得時 28.5万円(36万円)
・職場復帰時 28.5万円(36万円)
育休取得者の職場支援の取り組み実施時に加算 19万円(24万円)
必要な書類:育休復帰支援プラン
申請の締め切り:育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内
申し込み先:労働局またはハローワーク
参考リンク:事業主の方への給付金のご案内|厚生労働省
⑤創業・事業承継補助
新たなニーズと雇用の創出を担う企業に向けった創業補助金。
事業承継を機に経営革新、事業転換を行っている方に向けての支援している補助金です。
2019年度より新たなM&Aタイプ/Ⅱ型が生まれ、注目を浴びています。
参考リンク:事業承継補助金(平成30年第二次補正)
【中小企業】補助金と助成金の申し込むときの注意事項
最後に、補助金と助成金を申し込むときには、次の注意点をチェックしてから申請するようにしてください。
余裕あるスケジュール調整、事業計画書、添付書類など、スムーズに手続きを進めていきましょう。
【注意事項】
・補助金や助成金は必ず受給できるわけではない
・基本的には先着順が多いので、申請は早めに行う
・提出期限・必要な書類を最初にチェック
・受給要件の確認
・社内コンプライアンスの確認は必要となる
まとめ
中小企業向けの補助金と助成金のメリットや活用のアイディア、さらには5つの種類についてまとめてみました。
中小企業向けの補助金と助成金は数多くありますが、活用する際には会社の規模や条件に合うもの探し、どんな形で利用できるかアイディアを検討してみるとよいでしょう。
そして、まずは受給条件が該当する補助金や助成金があれば、積極的に活用することをおすすめします。
事業の成長と課題解決の糸口となるように、返済の必要がない補助金と助成金を有効的に利用してください。