皇居や国会議事堂のある千代田区は、オフィス街で知られる日本の主要機能が集中している地域です。
人口は少なく、オフィスが多いという特徴も持っている千代田区ですが、区内の中小企業に向けて行われている助成金や補助金があることをご存知でしょうか?
千代田区では、財産権の取得支援、仕事と家庭の両立支援、障害者を雇用する支援などの助成制度が設けられています。
こちらの記事では、2020年の東京都千代田区で活用できる6つの助成金や補助金を一覧として解説していますので、見逃すことのないようにご確認ください。
INDEX
産業財産権取得支援事業
産業財産権取得支援事業は、産業財産権となる特許権、実用新案権、意匠権、商標権の新規取得を支援するために設けられた助成事業です。
千代田区で新規取得する場合、その必要となる経費の一部を補助しています。
補助対象者
産業財産権取得支援事業の補助対象となる方は、下記の通りとなります。
①中小企業者(中小企業基本法の定めによる)のうち、次のいずれにも該当する方
・法人で区内に本店(本店登記かつ事業実態が同一場所にあること)を有し、法人事業税および法人都民税を滞納していない、または個人事業主で区内に主たる事業所を有し、個人事業税および特別区民税、都民税を滞納していない
( バーチャルオフィスの場合は対象外)
・常時使用する従業員(代表の方や役員、家族従業員は含まない)が10人以下である
・区内で引き続き1年以上事業を営んでいる
・会社法に定める子会社でない
・産業財産権に係る出願人である
②業種別団体または商店会のうち、次のいずれにも該当する方
・区内に本部もしくは支部を有する
・区内で引き続き1年以上活動している
・産業財産権に係る出願人である
なお、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)および公益法人は、対象外となりますのでお気をつけください。
補助対象経費
産業財産権取得支援事業の補助対象となる経費は、補助対象者が産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)の新規取得のために要した費用となります。
この制度の申請日前1年間に支払った経費は、下記の通りです。
・出願料
・審査請求料
・技術評価請求料
・特許料
・登録料
・図面作成費
・産業財産権取得に際して弁理士または弁護士に支払った費用
なお、更新、譲渡、移転等の経費や外国出願に係る経費は対象外となりますので、お気をつけください。
補助金の額
産業財産権取得支援事業の補助金額は、下記の通りとなります。
・最大20万円まで補助
・補助対象経費の2分の1
・補助対象経費の2分の1または補助限度額20万円のいずれか低い額を補助
なお、同一年度内(4月~翌年3月の期間)に1回限りです。同一の案件で、以前にこの制度の補助金交付を受けたものは対象外となります。
配偶者出産休暇奨励金
中小企業 仕事と家庭の両立支援のひとつとして設けられている配偶者出産休暇奨励金は、従業員の配偶者が出産した時に活用できる奨励金です。
子育てや介護と仕事を両立し、男女がともに働きやすい職場づくりに取り組む区内中小企業事業主に対して補助を行っています。
補助対象事業
配偶者出産休暇奨励金の補助対象となる事業は、下記の通りとなります。
・千代田区内に本店(個人の場合は主な事業所)および雇用保険適用事業所があり、中小企業基本法第2条第1項に定める中小企業事業主となります。
補助対象者
配偶者出産休暇奨励金の補助対象となる方は、下記の要件を満たすことが必要となります。
・従業員の配偶者が出産した際、有給により2日以上取得できる特別休暇制度を就業規則等に規定し、従業員がこの休暇制度2日以上取得していること。
・注意事項1:配偶者が出産のため入院した日から、産後2週間までの期間に休暇を取得している必要があります。
・注意事項2:配偶者出産休暇の取得に当たり、半日単位または時間単位で取得した分は、取得日数に含めず、累計時間として積算されませんのでお気をつけください。
補助金の額
配偶者出産休暇奨励金の補助金額は、下記の通りとなります。
なお、年度にかかわらず、1事業主につき5回が上限となっており、1従業員につき1回限りとなります。
・1人につき5万円
・1事業主5人分まで
・1事業主につき5回が上限
・1従業員1回限り
引継期間代替要員給与助成金
中小企業 仕事と家庭の両立支援のひとつとして設けられている引継期間代替要員給与助成金は、育児休業または介護休業を1か月以上取得する従業員の業務を代替要員に引き継ぐ際に活用できる助成金です。
従業員の業務を代替要員に引継ぐため、休業前1か月の間に代替要員を新たに雇い入れ、給与を支払っている中小企業に対して補助を行っています。
補助対象事業
引継期間代替要員給与助成金の補助対象となる事業は、下記の通りとなります。
・千代田区内に本店(個人の場合は主な事業所)および雇用保険適用事業所があり、中小企業基本法第2条第1項に定める中小企業事業主となります。
補助対象者
引継期間代替要員給与助成金の補助対象となる方の要件は、下記の通りとなります。
・育児休業または介護休業を1か月以上取得する従業員の業務を代替要員に引継ぐため、休業前1か月の間に代替要員を新たに雇い入れ、給与を支払っていること。
・注意事項1:休業取得者が育児休業または介護休業の開始日(産前産後休業に引き続いて育児休業を取得する場合にあっては当該産前産後休業の開始日)の前日から起算して1か月前の日以後に代替要員を新たに雇い入れていること。
・注意事項2: 休業取得者および代替要員が同時に勤務した日が5日以上あること。
・注意事項3:代替要員を雇用した日から休業取得者が育児休業または介護休業を開始する日の前日までの間について、休業取得者および代替要員に対して給与を支払っていること。
補助金の額
引継期間代替要員給与助成金の補助金額は、下記の通りとなります。
・代替要員の勤務1時間当たり1,000円
・上限15万円
・1事業主5人分まで
・1事業主につき5回が上限
・1従業員1回限り
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)は、区が認定した商工関係団体に所属する中小企業者の販路拡大を支援している助成事業です。
自社の製品、技術またはサービス等を展示会に出展する事業にかかる経費の一部を助成しています。
中小企業者による販路の拡大の促進と、区内商工業の活性化を図ることを目的として設けられました。
補助対象事業
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)の補助対象となる事業は、下記の通りとなります。
・補助対象者の製品、技術またはサービス等を展示会(1小間あたりの出展料が税抜き50,000円を超えるもの)に出展する事業
なお、次のいずれかに該当するものは補助の対象にはなりませんので、お気をつけください。
・広く一般に公開されない展示会に出展する事業
・一般消費者に対するその場での販売を主な目的とした展示会に出展する事業
・中央区が開催または共催する展示会に出展する事業
・自社が開催または共催する展示会に出展する事業
・交付の決定を受けていない他の者と共に出展する事業
・平成32年3月31日までに実施が完了しない展示会に出展する事業
・平成32年3月31日までに補助対象経費の支払いが完了しない展示会に出展する事業
・当該事業にかかる経費について、国、東京都(公益財団法人東京都中小企業振興公社を含む)または他の地方公共団体の交付する補助金等を受ける事業
補助対象者
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)の補助対象となるものは、中央区が認定した商工関係団体(注釈)に所属し、なおかつ区内に登記上の本店所在地(個人事業者の場合は主たる事業所)のある中小企業者となります。
さらに、下記ののいずれかに該当するものとなります。
・申請時において創業の日から10年以内である
・申請時において公益財団法人まちみらい千代田の実施する千代田ビジネス大賞のいずれかの賞を受賞してから1年以内であること
補助対象経費
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)の補助対象となる経費は、下記の通りとなります。
◆出展小間料
なお、経営費、周知費、運送費、人件費は補助対象となりませんのでご注意ください。
補助金の額
中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)の補助金額は、下記の通りとなります。
・補助率 補助対象経費の3分の2(千円未満切り捨て)
・補助限度額 10万円
区内で障害者を雇用する人への援助金
区内で障害者を雇用する事業者への援助金では、千代田区内で身体障害者・知的障害者・精神障害者を雇用している事業者に対して支援を行っています。
体障害者・知的障害者・精神障害者を雇用している事業者に対して援助金が支給されています。
なお、身体障害者については、区内居住者に.限られていますので、ご注意ください。
補助対象者
区内で障害者を雇用する事業者への援助金の補助対象となるものは、下記の通りとなります。
・事業所が千代田区内にあり、特例子会社でないこと。ただし、被雇用者が区内に居住している場合は、事業所所在地が東京23区内であれば対象となります。
・総従業員数が45.5人未満の事業者であること。
・障害者を継続して3か月を超えて雇用していること。
・一日の就労時間が3時間以上であること。
・労働基準関係法令を遵守していること。
・国や都から雇用助成を受けていないこと。
補助金の額
区内で障害者を雇用する事業者への援助金の補助金額は下記の通りとなります。
・1か月の援助金として、13日以上勤務すると20,000円の支給
・1ヶ月の援助金として、8日から12日勤務すると17,000円の支給
・援助金は障害者1名あたりの単価
事業所における備蓄物資購入の費用助成
事業所における備蓄物資購入の費用助成は、地域の防災体制の整備拡充を図るために設けられた助成事業です。
千代田区内の事業者が災害時に必要となる物資を備蓄し、資材を確保するための購入費用の一部を補助しています。
補助対象事業所
事業所における備蓄物資購入の費用助成の補助対象となる事業所は、下記の条件をすべて満たす必要があります。
なお、事業者とは、企業のほか、学校法人や医療法人、特定非営利活動法人などの法人をさしています。
①従業員数がおおむね5人以上300人未満であること。
・区内以外にも事業所を有する場合、区外の従業員も従業員数に含む
・正社員に準じた労働形態で勤務しているパートなどの従業員も含む
・助成の対象となる従業員は、区内に勤務する従業員数のみ
②最近1年間に納付すべき法人事業税および法人都民税を完納していること
③過去3年間にこの助成金を受けていないこと
・同一の法人であって、区内に複数の事業所または営業所等を有するものについては、町会の区域ごとに申請が可能です(当該事業所の物資のみ対象とします。他事業所分は認められません)。
補助対象物資
事業所における備蓄物資購入の費用助成の補助対象となる物資は、下記の通りとなります。
・水(保存期間が納品日から5年以上のもの)
・食料(保存期間が納品日から3年以上のもの)
・毛布、アルミブランケット、寝袋
・携帯トイレ
・ヘルメット
・携帯ラジオ
・懐中電灯、ランタン
原則として、上記の物資のみが助成対象となります。
なお、上記の物資がセットとなっている商品の中で、上記以外の物資が含まれるセットについては、助成対象外となりますのでご注意ください。
補助金の額
事業所における備蓄物資購入の費用助成の補助金額は、下記の通りとなります。
◆町会に加入し、その活動に恒久的に参加しており、かつ、推薦がある事業所
・対象経費の3分の2
・上限は10万円
◆それ以外の事業所
・対象経費の3分の1
・上限は10万円
まとめ
東京都千代田区で活用できる6つの助成金や補助金として、「産業財産権取得支援事業」「配偶者出産休暇奨励金」「引継期間代替要員給与助成金」「中小企業販路拡大事業支援補助(展示会出展に対する補助金)」「区内で障害者を雇用する事業者への援助金」「事業所における備蓄物資購入の費用助成」を一覧として解説してきました。
千代田区では、中小企業に向けて、財産取得や販路拡大に向けての支援と同時に、障害者雇用や配偶者出産の補助など、多岐に渡って助成事業を設けています。
様々なニーズに対応できる助成事業となっていますので、千代田区で事業を営む中小企業の方は、助成金や補助金を積極的に活用してみてください。