ファクタリング 注意点

ファクタリングでの資金調達に覚えておくべき3つの注意点を解説

ファクタリング

ファクタリングで資金調達を行うにあたっては、契約の不備からトラブルへ発展することなどの心配があります。と言っても、少しでも早いタイミングで現金が得られるという点ではありがたいしくみです。

事業者が提供しているサービスを利用する上で、注意すべき点はしっかり踏まえてできるだけリスクが少ない契約を結ばなければなりません。

そこで、絶対にチェックを漏らしてはいけない3つの注意点を解説します。

・事業者を見極める
・審査に通りやすい売掛債権で申し込む
・契約に万全を期する

次項から、それぞれの注意点をくわしく解説します。

事業者を見極める

ファクタリング 注意点

ファクタリングがサービスとして提供されるようになってから、まだそれほどの時間は経過していません。そのため、サービスを提供する事業者には質の良くない会社もあることが実状となっています。

資金調達でのトラブルを避けるためには、まず相手となる事業者について見極めることが必要です。

相談時の様子

ファクタリングによって、上限なく資金調達をすることができるわけではありません。利用者の側で利用することのできる金額について把握することができるよう、各事業者では最初に大まかな相談を受け付けています。

これはあくまで、正式なサービスの利用契約を結ぶ前にあたるプロセスです。

利用した場合の見込みを容易に知ることができるため、条件面の不一致で話が終わってもなんら問題はありません。契約を結んでいない状態ですから、より良い条件を求めて数社へ相談することもひとつの手です。

インターネット上で手続きを完結させることのできる事業者も増えてきていますが、相談時の様子を確認するという観点からは利用をおすすめしません。

対応の丁寧さや誠実さといった様子が、事業者を見極める材料にもなるのです。

提示される条件

事業者が異なれば、提示される条件も違って当然です。ただ、あまりにも極端に良い条件提示が用意されているとなると警戒しなければなりません。

たとえばキャンペーン期間中でお得になるからとして急いで申し込むよう即決を勧めてくる事業者には、考える時間を与えず契約させようとする意図が隠れている場合もあります。

また、標準的な水準をはるかに上回る好条件が示されるケースにも注意が必要です。

要求される書類

サービスを申し込むにあたっては、書類を提出することが必要とされます。

サービス事業者によって求められる書類は異なりますが本人確認書類のほか売掛取引に関する契約書や発注書、請求書などは非常に重要です。

また信用を示すために会社謄本や決算書、回収の実績を示すために入金先となる預金口座の通帳といったものも要求されることが多くあります。

ファクタリングは信用にもとづいて成立するものですから、利用者のことを判断する上で一定量の書類を欠かすことはできません。

むしろ書類を要求されることなく簡単に資格を満たしているとされれば、しっかりした審査が行われていない可能性もあります。

審査に通りやすい売掛債権で申し込む

ファクタリング 注意点

ファクタリングのサービスが提供されるためには、利用する側も所定の資格を満たしている必要があることに注意しなければなりません。

事業内容のほか資金調達が必要な理由、対象となる売掛金が発生している取引先の状況などが利用資格の審査においては考慮されます。

最低限のルールを守る

実際にある話としてファクタリングを申し込む側ではどうにかして資金調達をすべく、存在していない架空の売掛金を計上するといったケースがあります。

あるいは、すでにファクタリング事業者へ売却している売掛債権をまた別の事業者へ二重譲渡しようとする例もあるのです。

調査が行われれば真実はすぐに判明しますから、申し込みに虚偽があることは許されません。

売掛債権の「質」に注意する

債務者の業績が悪化するなどして貸し倒れになった場合のリスクは事業者が負うことになりますから、売掛債権の「質」について事業者は慎重にならざるを得ません。

たとえば継続的な取引で毎月発生し確実に回収されている売掛債権は、双方に相応の取引実績があり安定した関係にあることを示しています。

単発の取引で発生した売掛債権と比較すれば、リスクの面で信用度が高いことは明白です。

それもある程度の短いサイクルで支払いが行われる約束になっていれば、より良質の売掛債権であるということになります。

また、事業規模に対してあまりにも高額の売掛債権をファクタリングへ供することも好ましくありません。

債務者としては掛けによる取引とすることで支払いを遅らせるなどのメリットがあり、その金額が大きいことで同時に回収のリスクも大きくなるのです。

そのほか調査を行いにくい個人債務者に対する売掛債権も、ファクタリングの対象とするには難しいところがあります。

やはり、個人よりも法人により高い社会的な信用度があるものです。

サービスの性質上、利用者だけでなく売掛債権が発生している取引相手への信用が重視されることに注意しなければなりません。

契約に万全を期する

ファクタリング 注意点

まずは契約がしっかりしたものとなっていなければ、万が一のトラブルがあった際に被害を被ることとなりかねません。

サービスを提供する事業者の側と利用する側との間で、それぞれが負うべき責任を書面というかたちにして示しておく必要があります。

状況の正確な伝達

契約に先立ち、ファクタリングを利用する側からはサービス事業者に対して状況説明をする必要があります。

この説明は、正確に行うよう注意しなければなりません。

提出した書類に関する説明もまたしかりであり、用意した書類に対する質問への返答がおぼつかないようであると信用が得られにくくなります。

特に売掛債権と関連する内容についてはファクタリングの肝となる部分ですから、十二分に把握することができていなければ問題があるわけです。

契約書の確認

ファクタリングのサービスに関するすべてが記載されている契約書の内容は、不利益へつながることがないようしっかり確認しなければなりません。

契約の締結にあたっては、事業者の側からすべての項目について漏らさず説明されるべきものです。

まず契約期間や解除について表記されていなければなりませんし手数料について、万が一のことがあった場合の損害賠償や違約金の扱いも明確になっている必要があります。

取り扱われるものが債権ですから債権譲渡登記や債券譲渡通知、償還請求権に関する項目は不可欠です。

償還請求権の有無を理解する

ファクタリングに償還請求権が設定されている場合、売掛債権の回収が不能となった際に事業者はサービスの利用者へ償還を請求することができます。

つまり資金調達どころか、利用者は売掛金の金額までも事業者へ支払わなければならなくなるのです。

契約にあたり、この項目を見落とすようなことがあってはなりません。

債権譲渡登記と債権譲渡通知

ファクタリングによって、売掛債権は事業者へ譲渡されることになります。

債権譲渡登記がなされるとその旨について広く知られることになりますし、登記の事務にともなって発生する費用は一般的に利用者が支払わなければなりません。

そういった面はありますが、譲渡という事実を明確にするためには登記がうってつけの手段でもあります。

また資金調達を受けた金額について利用者への入金があってから事業者へその金額を渡す契約であれば、特に第三者へ影響を及ぼしません。

しかしながら債務者から事業者へ直接の入金がなされるかたちとなると、債務者へ債権譲渡通知がなされていなければ話が成り立たないわけです。

売掛相手との関係性に支障をきたさないためにも、このあたりはトラブルへ発展しないための注意点となります。

必須ではない契約項目に注意する

ファクタリングは資金調達の手段ではあるものの、融資とは性質が異なるものです。

つまり、金融機関などからまとまった金額を借り入れる場合のように担保を設定することは必須とされていません。

ただ必須でないから設定してはいけないというものでもないため、契約の項目として盛り込まれている場合にはその真意についてしっかり確認する必要があります。

また売掛債権自体を担保とする「売掛債権担保融資」というものもありますが、これも別物です。

ファクタリングは売掛債権を売却するものですから、契約に融資の項目が含まれているようであればこれもその必要性について説明をもとめるべきです。

まとめ

以上、ファクタリングでの資金調達に覚えておくべき3つの注意点を解説しました。

・事業者を見極める
・審査に通りやすい売掛債権で申し込む
・契約に万全を期する

確実な資金調達をリスクの少ないかたちで実現するためには、いずれも大切なポイントです。悪質な事業者と取引することで大きな損害が残る結果とならないよう、サービスを提供する事業者には注意しなければなりません。

相談時の様子や提示される条件、要求される書類の内容といったところからも事業者の質が見えてくるところはあります。

またスムーズな資金調達を実現させるためにも、申し込みに用いる売掛債権にも注意することが必要です。架空に計上した売掛金を用意することなどは言語道断であり、取引が長く信用性も高い債務者との定期的かつ回収スパンも短い売掛債権がベストとなります。

そして、成立によってさまざまな権利や義務が発生することになる契約にも細心の注意を払わなければなりません。

契約書を確認し償還請求権の有無や債権譲渡登記、債権譲渡通知さらには必須でない契約項目についてもすべて明らかにする必要があります。

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