時代が進化するとともに移り変わり、現代ではSociety5.0時代等に向けて、幅広い分野の学術や新たな社会の変化に対応する能力が必要となってきました。
以前では、狭い範囲の専門分野の学修に留まっていましたが、これからは専門知識の他にも普遍的な見方のできる柔軟な能力を持つ人材が欠かせなくなるでしょう。
文部科学省では「知識集約型社会を支える人材育成事業」を設け、人材育成の支援となる令和2年度の公募を実施しています。
幅広い教養と専門性を身に付けた人材を育成することは容易いことではありませんが、これらの人材を育成している大学は、「知識集約型社会を支える人材育成事業」を資金調達のひとつとしてお役立てください。
知識集約型社会を支える人材育成事業の目的
知識集約型社会を支える人材育成事業は、AI、ロボティックス、ビッグデータなどを先進的に利活用していくSociety5.0時代等の支援を行っています。
全学横断的な改善の循環を生み出すシステムとなる全学的な教学マネジメントの確立、管理運営体制の強化や社会とのインタラクションの強化等を学内で実現されることを掲げています。
今後の社会や学術の新たな環境の変化などに対して、柔軟に対応することができる能力を兼ね備えた人材を育成することを目的として設けられた事業です。
Society5.0時代とは?
今まで人類が経験してきた4つの社会に続く、新たな社会の姿をSociety5.0時代と呼んでいます。
第5期科学技術基本計画において提唱され、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合するとともに、経済発展と社会的課題に出てくる問題を両立させ、人間中心の社会(Society)が実現となることです。
- Society 1.0 狩猟社会
- Society 2.0 農耕社会
- Society 3.0 工業社会
- Society 4.0 情報社会
知識集約型社会を支える人材育成事業の概要
知識集約型社会を支える人材育成事業は、上記の目的を持って今後の社会や学術の新たな変化や展開に柔軟に対応することができる人材を育成しています。
大学等が行う対象事業に対して、最大5年間にわたって補助金が支給されます。
「知識集約型社会を支える人材育成事業」の令和2年度の日程は下記の通りとなります。
- 申請受付期間 令和2年8月17日(月)~21日(金)
- 選定結果公表 令和2年11月(予定)
- 事業期間 最大5年間(令和2年度~令和6年度)
対象期間・申請単位など
知識集約型社会を支える人材育成事業の対象機関、事業者・申請者、申請単位、事業責任者は下記の通りとなります。
◆対象機関
・国立市立大学(短期大学を含む)が対象となります。
◆事業者および申請者
・事業者は設置者、申請者は学長となり、事業への申請は文部科学大臣宛に行われます。
◆申請単位
・申請は、大学(短期大学を含む)を単位とし、それ以外の単位である学部、学科、研究科、専攻、専攻課程、専攻科、別科での申請はできません。
◆事業責任者
・知識集約型社会を支える人材育成事業プログラムの実現に中心的な役割を果たすとともに、責任を持つ責任者を選任します。
事業責任者は、大学に所属する常勤の役員または教員です。
申請要件
知識集約型社会を支える人材育成事業の申請を希望する大学は、下記に上げる要件を申請時に達成しているか、もしくは令和5年3月(中間評価実施年度末)までに確実に達成することが申請の要件となります。
◆教育改革関係
- ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーが各学部学科等のカリキュラム編成等に反映されているとともに、それらに基づき教育研究活動等の改善を継続的に行う仕組みを構築していること
- 全授業科目において授業計画(シラバス)が作成され、かつその内容として科目の到達目標、授業形態、事前・事後学修の内容、成績評価の方法・基準が示されていること
- CAP制の採用など、全学生を対象として単位の過剰登録を防ぐための取り組みが行われていること。(ただし、短期大学を除く)
- 教育を担当する全教員を対象として、教育技術向上や認識共有のためのファカルティ・ディベロップメント(FD)が実施されていること(各年度中に教育を担当する専任教員の4分の3以上が参加していること)
- 成績評価において、GPA制度などの客観的な指標を設け、個別の学修指導などに活用していること(ただし、短期大学を除く)
- 文部科学省が通知する「大学入学者選抜実施要項」に規定する試験期日等や募集人員の適切な設定(推薦入試における募集人員の割合設定、以上の入試方法により入学者選抜を実施する場合における入試方法の区分ごとの募集人員の明記等)を守っていること
◆設置関係
- 設置計画履行状況等調査の対象となっている大学において、「是正意見」(平成30年度まで)又は「指摘事項(是正)」(令和元年度から)が付されている場合には、該当意見が付されていない状況となっていること
対象事業
知識集約型社会を支える人材育成事業の対象となる事業は、上記の目的を踏まえた下記の2つのメニューにあげている取り組みをしている事業となります。
各大学において検討される各大学の特色・強みを活かした独自の構想づくりが、本事業の目的等を踏まえ、それぞれが自由な発想を活かした提案が期待されます。
◆メニューⅠ:文理横断・学修の幅を広げる教育プログラム
・広さと深さを両立する新しいタイプの教育プログラム
◆メニューⅡ:出る杭を引き出す教育プログラム
補助額
知識集約型社会を支える人材育成事業のメニューⅠとメニューⅡのそれぞれの補助金額は、下記の通りとなります。
◆メニューⅠ
補助金基準額:50,000千円(初年度・年間)
補助事業上限額:100,000千円(初年度・年間)
◆メニューⅡ
補助金基準額:34,000千円(初年度・年間)
補助事業上限額:68,000千円(初年度・年間)
事業内容を詳しく解説
知識集約型社会を支える人材育成事業の事業内容は、Society5.0時代に向けた、今後の社会や学術の新たな変化や展開に対応と同時に、幅広い教育と深い専門性を持った人材育成です。
そのためのプログラムとして、全学的な数学マネジメントの確立を図りつつ、新たな教育プログラムを構築し実施する事業となります。
対象となる事業には、メニューⅠとメニューⅡの2つのメニューが掲げている取り組みを行わなければなりません。
- メニューⅠ:文理横断・学修の幅を広げる教育プログラム
- メニューⅡ:出る杭を引き出す教育プログラム
次に、2つのメニューを詳しく解説していきます。
メニューⅠ:文理横断・学修の幅を広げる教育プログラム
レイトスペシャ来ゼーションプログラム、ダブル・メジャープログラム、分野融合の学位プログラムなどの教育プログラムのことをさします。
◆複数のディシプリンを理解・修得できる教育プログラム
・充分な量と質、順次性を有しているカリキュラムとなる必修科目や卒業要件として設定するなど、週複数回授業の実施など、学修の高い質と密度を担保するための取り組み等
◆理解・修得した複数のディシプリンを、融合・統合する学びのプロセス
・講義から卒業論文・研究などまで
メニューⅡ:出る杭を引き出す教育プログラム
出る杭を引き出す教育プログラムとは、非凡な才能をもった学生に、魅力ある先端研究を見据えた「個別最適化した学び」を実現するプログラムです。
審査方法
知識集約型社会を支える人材育成事業の審査は、外部有識者・専門家からなる「知識集約型社会を支える人材育成事業委員会」が設置して行われます。
審査方法は、委員会による書面審査を実施し、書面審査の結果を基にして面接審査対象の事業計画を決定することになります。
委員会により事業計画の木業の妥当性や実現可能等を確認することを目的とした面接審査が行われます。
続いて、委員会は書面審査および面接審査の結果等を基にして、審議を尽くし総合評価を行い選定候補事業計画を決定されます。
審査の流れ
知識集約型社会を支える人材育成事業の審査の流れは、下記の通りとなります。
- 公募要領・審査要項の決定(委員会)
- 書面審査(委員会)
- 面接審査(委員会)
- 書面審査および面接審査の結果に基づいて、選定候補事業計画が決定(委員会)
- 選定事業計画を決定(文部科学省)
申請書等の提出方法
知識集約型社会を支える人材育成事業を申請する場合には、定められた申請書などを「独立行政法人日本学術振興会」へ下記の手順で申請します。
申請書類の提出は電子データで行いますので、紙媒体の提出は不要となります。
①令和2年8月3日(月)10時~令和2年8月7日(金)17時まで
・申請書等のアップロードを希望する旨の申請を行う
②令和2年8月17日(月)10時~令和2年8月21日(金)17時の提出期間内に申請書のアップロードを行う。
作業は時間に余裕を持って行い、提出期間内に必ず全ての申請書のアップロードを終えるようにします。
なお、アップロードによる提出が困難な場合には問い合わせ先にご相談ください。
問い合わせ先
知識集約型社会を支える人材育成事業の「公募要領その他の問い合わせ先」と、「申請等や審査評価に関する問い合わせ先」は、下記の通りとなります。
◆公募要領その他の問い合わせ先
・高等教育局 大学振興課 大学改革推進室
改革支援係「知識集約型社会を支える人材育成事業担当」・電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3319)
◆申請等、審査評価に関する問い合わせ先
・独立行政法人 日本学術振興会人材育成事業部大学連携課
(知識集約型社会を支える人材育成事業委員会事務局)・電話番号:03-3263-1757
まとめ
知識集約型社会を支える人材育成事業の概要を始めとして、事業内容、審査方法、申請書の提出方法を詳しく紹介してきました。
Society5.0時代等に向けて、幅広い分野の学術や新たな社会の変化に対応する能力が必要となってきた現在では、社会や学術の新たな環境の変化などに対して柔軟に対応することができる能力を兼ね備えた、人材を育成することが必要です。
知識集約型社会を支える人材育成事業は、このような人材育成を支援するにあたっての心強い資金調達となりますので、大学関係の方は積極的にご活用ください。