地域 雇用 開発 助成 金

事業者の人材雇用問題を解決出来る地域雇用開発助成金の要点5つ

助成金

今回は、地域雇用開発助成金という事業者の方にとっては非常に良い情報になります。

事業を大きくしていくと、一度は従業員の雇入れを考えるのではないでしょうか?

今回はそのような事業者が知っておくと得をする地域雇用開発助成金について紹介します。

地域や要件など限定されていますが、活用できれば雇入れ時の人件費に関する問題をしばらく解決できるかもしれません。

地域雇用開発助成金の目的

地域 雇用 開発 助成 金
地域雇用開発助成金は、首都圏への一極化を抑制し、地域における雇用状況の改善を目的としています。

少子高齢化により国内の人口が減少の一途をたどる中、労働者は仕事を求めて地方から都市部へと流出していきます。

地元で働く気持ちがあっても、求人が少ない地域では求職者の希望は叶いません。一方で資金力のない中小企業では、人手不足であっても雇用が思い通りに進まず、地方の経済は沈下するばかりです。

地域雇用開発助成金を活用することにより、事業主は雇用にかかる費用を軽減しながら人手不足を補い、地域雇用に貢献できます。

求職者は地元で生活しながら、新しい仕事に就くことが可能となり、双方にとって大きなメリットがあります。

地域雇用開発助成金の対象者の条件

地域 雇用 開発 助成 金
■雇入れ(移転求職者の場合は完了日)時点で、地域に居住する求職者である
■ハローワーク、地方運輸局などの紹介である
■雇入れ当初から、雇用保険の一般被保険者となる
■本助成金受給後も継続して雇用される見込みがある
■雇入れ後、設置・整備を行った事業所で就労する
■過去3年間に、事業主の事業所で就労したり職場適応訓練を受けたりしたことがない
■過去1年間に、資本金や組織的に関連のある事業所に雇用されていたことがない
■事業主と3親等以内の親族でない
■公の施設の管理を行うために雇い入れられた求職者でない
■就労支援A型事業所の暫定支給決定を受けた利用者でない

なお、最後の項目にある就労継続支援A型事業所とは、障害者の雇用を専門的に行う事業所を指します。

地域雇用開発助成金とは何?

地域 雇用 開発 助成 金
地域雇用開発助成金とは、求人の少ない地域において雇用の場を増やした事業主に対して支給する助成金のことです。

求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域(同意雇用開発促進地域)または、若年層・壮年層の流出が著しい地域(過疎等雇用改善地域)において、雇用保険の適用事業所を設置・整備し、それに伴いその地域に居住する求職者を一定の条件で雇い入れた場合、設置・整備に要した費用と増加した人数に応じて、最大3回(3年)一定の金額を助成するものです。

*対象地域は厚生労働省のホームページまたは事業所の所在地を管轄する労働局に確認することが必要です。

例えば東京都は、「同意雇用開発促進地域」には当てはまっていませんが、「過疎地域雇用改善地域」には西多摩郡のいくつかの村や町が当てはまっています。

この助成金は、地域における求職者の雇用環境の改善を目的としたものであり、事業者の開業支援を目的としたものではないので、労働者の定着率が悪いなど、労働者の雇用環境の改善に役立っていないと判断された場合には、支給の対象となりません。

また、支給には厳格な支給要件があるので、かかった費用が全てもらえるわけではないようです。

当初の資金計画には注意が必要であり、実際に検討する際は税理士などの専門家に相談してみると良いでしょう。

支給の流れ

助成金の支給を受けるためには、大きく分けて6つの段階が必要となります。

①「地域雇用開発助成金計画書」を管轄労働局に提出する
創業の場合、「創業計画認定申請書」も併せて提出する
↓計画期間(最長18か月)

②地域の雇用拡大のために必要な事業所の設置・整備を300万円以上行う

③要件を満たす労働者を雇い入れ、3人(創業の場合は2人)以上増加させる

④「地域雇用開発助成金完了届(第1回支給申請書)」を管轄労働局に提
出する
↓1年間(*)

⑤「地域雇用開発助成金第2回支給申請書」を管轄労働局に提出する
↓1年間(*)

⑥「地域雇用開発助成金第3回支給申請書」を管轄労働局に提出する

(*)支給申請書が受理されるためには、1年間「被保険者数の維持」「対象労働者の維持」「対象労働者の定着」が必須条件です。

支給申請書提出後、書類審査に加え、原則として事業所の実地調査が行われます。

受給の要件

地域 雇用 開発 助成 金
助成金を受給するには、以下の要件をすべて満たしていることが必要です。

【事業主の要件】

●設置・整備した施設の雇用保険適用事業主であること

●各判定期間に、事業所で雇用する被保険者を解雇等事業者の都合により離職させられていないこと
*「判定期間」とは、第1回は【支給の流れ】の①~④、第2回は④の翌日~④の1年後の日、第3回は④の1年後の日の翌日~④の2年後の日を指す

●各判定期間に、特定受給資格者であると認められた離職者の数が3人を超え、かつ①における当該事業所の被保険者の数の6%を超えていないこと
*「特定受給資格者」とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者

●各支給申請日(⑤⑥)の1年前の日から支給申請日の前日までに、労働関係法令の違反を行っていないこと

●不正行為により各種助成金の支給を受け、または受けようとして、3年間にわたり助成金の不支給措置がとられている事業所でないこと

●労働保険料を滞納していないこと

●「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」に規定する風俗営業であるなど、設置する事業所の内容が不適切でないこと

●高年齢者雇用確保措置の勧告を受け、是正措置を講じていない事業主でないこと

●労働基準法に規定された労働関係帳簿類および会計関係帳簿類を備え、適正に管理・記帳された帳簿類を、審査や実地調査の際に労働局の求めに応じ、速やかに提出する事業主であること
*「労働関係帳簿」とは、出勤簿・タイムカード・賃金台帳・労働協約・労働者名簿・雇用契約書など
*「会計関係帳簿」とは、総勘定元帳・現金出納簿・小切手帳・事業所の預金通帳など

●暴力団関係事業所の事業主でないこと

●地域の雇用構造の改善に資する事業主であること
*近年大量の離職者や解雇者を出している、社会保険加入の要件を満たしているのに未加入であるなど、労働者の雇用環境が良好であるといえない事業所は不支給となる可能性があります。

設置・整備費用として認められる経費

地域 雇用 開発 助成 金
助成金を受けるには、申請事業所において、雇用拡大のために設置・整備に要した費用が300万円以上(消費税込)であることが必要です。

対象となる経費には、工事費・購入費・賃借費があり、それぞれの1つの契約支払額が20万円以上であることも必要条件です。

また、経費と認められるものと認められないものがあり、商品や賃貸用施設として収入が得られるものや、事業主の自宅などは対象とならないので注意してください。

対象労働者の雇い入れ

計画期間中(計画書の提出日~完了届の提出日)に、要件を満たす人を雇い入れる必要があります。

具体的な要件については厚生労働省のホームページをご確認ください。

中小企業事業主の範囲

この助成金を申請した事業主が中小企業事業主に当たる場合には、特別の措置を受けることができます。

以下のA、Bどちらかに該当していれば中小企業事業主として認められます。

地域 雇用 開発 助成 金

特例措置が存在する

・同意雇用開発促進地域における大規模雇用開発を行う事業主に対する特例

・戦略産業雇用創造プロジェクト及び、地域活性化雇用創造プロジェクト参加事業主に対する特例

・平成28年熊本地震の発生に伴う特例
以上の3つの特例措置も設けられています。こちらも、詳しくは厚生労働省のHPをご確認ください。

この助成金を受けるには、かなり厳格な要件があります。自分の事業所が当てはまっているのか、どういう計画・雇い入れをすれば良いのかなど、わからない方、自信のない方は税理士などの専門家に助けてもらうのが良いかもしれません。

「自分ではきちんと準備、実行したはずなのに、要件から外れてしまっていて支給されない!」なんてことがあったら資金繰りを圧迫しかねません。そのようなことがないよう、チェックを受けるのも一つの手です。

受給額はどのくらい?

地域 雇用 開発 助成 金
完了届の内容を審査した後、設置・整備に要した費用および雇い入れた労働者の増加人数に応じて、下の表の額を受給できます(1回目)。

その後、2回目、3回目の要件を満たす場合、1回目と同額を1年ごとに支給されます。支給は最大3回です。

1回目の支給に限り、中小企業事業主の場合は、1回目支給額の1/2の金額を上乗せして支給されます。また、創業の場合は、さらに1回目の支給額の1/2の金額を上乗せして支給されます。

地域 雇用 開発 助成 金

★2回目、3回目の支給要件

・前回、支給決定を受けていること
・申請期間内に支給申請書が提出されていること
・事業所において労働者数の維持が図られていること
・対象労働者の定着が図られていること

提出する計画書の書き方と注意点

計画書を作成するにあたり、下記の内容を正確に記載する必要があります。

■申請事業主の全ての事業所数
■資本の額または出資の総額
■常時雇用する労働者の数

助成金に関わる設置・整備を行う主な施設・設備の具体的内容やそれぞれに要する費用を記入する欄がありますが、対象となる経費には、工事費・購入費・賃借費などがあります。

それぞれの契約については支払額が、20万円以上であることが必要です。

商品や賃貸用施設など、収入に関わるものは経費として認められません。また、事業主の自宅は対象外となります。

計画書の内容に変更などがあった場合は、変更届または取下げ届の提出が必要です、実施内容と計画に相違があった場合には、受給できなくなる可能性があります。

まとめ

地域 雇用 開発 助成 金
今回は地域雇用開発助成金について、条件や詳細を説明させていただきました。
今回の助成金について要点を下記にまとめます。

●地域雇用開発助成金とは、求人の少ない地域において雇用の場を増やした事業主に対して支給する助成金のこと。最大3年間受給できる。

●設置・整備に300万円以上の費用をかけなければならない。

●事業主や労働者の雇い入れに関しては厳しい要件があるので要チェック

●その他特別な措置や、特例措置もあるのでそちらも要チェック

●受給額は、設置・整備に要した費用および雇い入れた労働者の増加人数に応じて、50万円から800万円の範囲内で支給される。

要件については難しいことが多く、抜け漏れなく把握することは難しいかもしれません。

しかし地方の企業にとっては是非活用したい制度でもあるので、詳細部分はプロにお願いして受給を検討してみてはいかがでしょうか。

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