
都心に企業や人口が集中する中で、地方にとって移住や定住の確保、地方と都市の交流促進などは大きな課題となっています。
これからは地方創生に向けて、移住や交流の取組を活発化させ、人口減少に歯止めをかける対策が必要と同時に、消費者のくらしやまちづくり、地域福祉や地球環境の研究などの調査も大切となってくるでしょう。
そこで、こちらの記事では、まちづくりや地域福祉、協同組合事業や活動などの調査研究費を助成してくれる地域生活研究所一般研究助成事業、ふるさとを元気にする地域創生プロジェクトを支援する助成事業、地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業など5つの助成事業をご紹介いたします。
まちづくりや協同組合事業活動の調査や研究をしている方や地域産業の創出や人材育成等に取組んでいる方は、資金調達の一つとしてこれらの補助金や助成金を積極的にお役立てください。
地域生活研究所一般研究助成事業
地域生活研究所一般研究助成事業は地域生活研究所が実施している助成事業です。
消費生活やまちづくりなどの地域生活研究所が実施する調査・研究事業の研究テーマに関連する研究に対して助成を行い、研究の発展によって東京都やその周辺の地域の生活を向上させることを目的として設けられています。
応募資格
地域生活研究所一般研究助成事業に応募する資格となる者は下記の通りとなります。
資格一般研究助成事業が対象とする研究プロジェクトを実施する者は、広く一般の研究者および社会活動を行う者とします。
・若手の研究者の方からの応募や、生協をはじめとした協同組合の事業・活動や様々な市民活動に資する内容の応募を歓迎
対象となる研究分野
地域生活研究所一般研究助成事業の対象となる研究の分野は下記の通りとなります。
◆対象とする研究プロジェクトは、消費者の暮らしに関する研究、まちづくり、地域福祉、地球環境などに関する研究、市民社会や市民運動、社会運動、消費者運動などに関する研究、協同組合の事業や活動に関する研究
・研究所が実施する調査・研究事業の研究テーマの基本的方向にそったもの
助成額
地域生活研究所一般研究助成事業の助成額は、研究目的を達成するための必要となる経費の一部を助成します。
◆研究助成費は総額100万円とし、1件50万円を限度
・当該研究プロジェクトが1事業年度を超えて実施することが必要と認められるときは、この限りではありません。
ふるさとものづくり支援事業
ふるさとものづくり支援事業は、企業等の地域資源を活用した新商品開発等に対し市町村が補助を行う場合に、ふるさと財団が当該市町村に対し補助金を交付する事業です。
地方創生につながる地域産業の育成・振興を支援すると同時に、地域における投資や雇用の創出を促進することを目的としています。
事業内容
ふるさとものづくり支援事業の事業内容は下記の2つのタイプとなります。
1.新商品開発に取り組む企業等に対して市町村が必要な経費の補助を行うときは、経費の規模に応じて、補助金を交付します。(A~Cタイプ)
2. これまでに新商品開発に取り組み、試作品が完成したものの商品化に至っていないものについて、商品化に向けた事業化、市場調査、販路開拓等を実施しようとする事業に対して、補助金を交付します。(Dタイプ)
補助対象者
ふるさとものづくり支援事業の補助対象となる者は下記の通りとなります。
◆市町村
・特別区を含み、政令指定都市を除きます。
・企業等に対する補助金は市町村からの交付となります。
補助対象経費
ふるさとものづくり支援事業のA~CタイプとDタイプのそれぞれの補助対象経費は、下記の通りとなります。
◆A~Cタイプ
・補助対象事業に必要な謝金、旅費、原材料費、機械装置費、工具器具費、委託費、技術指導費、産業財産権導入費、会議事務費、人件費、広報費等
◆D タイプ
・上記に加え、パッケージデザイン・ネーミング委託経費など、試作品を商品化の軌道にのせるために必要な委託に要する経費
補助額
ふるさとものづくり支援事業の補助率と補助限度額は、下記の通りとなります。
◆補助率
・補助対象経費の2/3以内
・過疎地域、みなし過疎地域、離島地域、特別豪雪地帯においては9/10以内)
◆補助上限額
・Aタイプ :1,000万円
・Bタイプ :500万円
・Cタイプ :100万円
・Dタイプ :200万円
まちなか再生支援事業
まちなか再生支援事業は、市町村がまちなか再生に取り組もうとする際に、具体的・実務的ノウハウを有する専門家に業務の委託費用の一部を助成しています。
費用の一部を助成することによって、民間能力を活用してまちなかの都市機能等の維持や拡大を総合的な側面から促進し、地方創生につながるような活力と魅力ある地域づくりに寄与することを目的としています。
助成対象者
まちなか再生支援事業の助成対象となる者は下記の通りとなります。
◆市町村
・特別区も含まれます
助成対象業務
まちなか再生支援事業の助成対象となる業務は、下記の通りとなります。
① 市町村が、まちなか再生事業の推進を目的として、まちなか再生プロデューサー等と業
務の委託契約を締結するものであること。
②まちなか再生の観点から、事業実施に係る実質的成果が期待できるものであること。
③市町村とまちなか再生専門家チームとの連携を円滑に行う体制の整備等効果的に事業が
実施される仕組みを有するものであること。
④市町村が、継続的なまちなか再生を推進するために行うものであること。
⑤ 他の市町村におけるまちなか再生のモデルとなり得るものであること。
⑥ 助成対象業務に係る助成金等を国、独立行政法人、他の公益法人等から受けないもので
あること。
⑦ 助成対象業務の目的や内容が「地方創生」に資するものであること。
助成対象経費
まちなか再生支援事業の助成対象となる経費は下記の通りとなります。
◆まちなか再生プロデューサー又はまちなか再生プロデューサーが所属(委嘱される場合を含む)する法人との契約金額に係る経費のうち、助成対象期間内の人件費、旅費、社会保険料、一般管理費、物件費、事務所賃借料その他助成対象業務を履行するために必要となる経費・消費税及び地方消費税を含む。)
助成額
まちなか再生支援事業の助成額と助成率、助成対象期間は、下記の通りとなります。
◆助成金 1事業当たり700万円以内
◆助成率 助成対象経費の2/3以内
◆助成対象期間 令和3年4月1日から令和4年2月18日までの間
地域再生マネージャー事業
地域再生マネージャー事業は、市町村等が地方創生に向けて、地域再生の取組を行う際に課題解決に必要な知識やノウハウ等を、地域再生マネージャーなどの専門的人材を活用できるように支援を行っています。
戦略・ビジョンの策定の段階となったとき、住民主体の持続可能な体制に整備、ビジネスを創出と雇用に結び付け、地域が自立的に行動できる仕組みを構築するために、市町村等が外部専門家を活用する時に必要となる経費の一部を助成しています。
助成対象事業
地域再生マネージャー事業の助成対象となる事業は、下記の①と②の事業となります。
①外部専門家活用助成
・地域再生に向けた地域の課題が明確になっており、その課題解決に市町村等が戦略・ビジョンの策定を行っている段階において、住民主体の持続可能な体制に整備するとともに、ビジネスを創出して雇用に結び付け、地域が自立的に行動できる仕組みを構築するために、市町村等が外部専門家を活用する費用の一部を助成する
②外部専門家派遣(短期診断)
・地域課題や課題解決に向けた方向性が明確になっていないケースにおいて、当財団から外部専門家を2名派遣し、2泊3日の視察により必要な助言を行うものです。
助成額
地域再生マネージャー事業のそれぞれの事業の助成率と助成上限額は、下記の通りとなります。
①外部専門家活用助成
◆市町村が単独で取り組む事業
・助成率2/3以内
・助成上限額700万円
◆複数の市町村が共同で取り組む事業
・助成率2/3以内
・助成上限額1,000万円
②外部専門家派遣(短期診断)
◆外部専門家の派遣にかかる費用(旅費・謝金)について、原則として当財団が負担
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業は、自治体・地域・集落「地方創生」関連施策の取組を支援している助成事業です。
地方への移住・交流を一層推進するためには、地域の雇用の場や次世代の地域を担う若者や女性が活躍する地域づくりなどの環境整備は、受け入れる地域にとって必要な整備です。
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業では「地方創生」に向けて、市町村または地域団体等が自主的・主体的に実施する自治体・地域・集落の消滅可能性の危機打開等に向けた事業に対して助成金を交付しています。
助成対象団体
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業の助成対象の補助対象となる団体は下記の通りとなります。
①市町村
・特別区を含み、指定都市(地方自治法第 252 条の 19 第 1 項)を除く。
②広域連合、一部事務組合及び地方自治法の規定に基づき設置された協議会
・地域づくり団体(地域づくり団体全国協議会に登録しているもの)
・NPO・ボランティア団体
・各種協議会、地域の自治組織
・商工会議所、商工会、農業協同組合、観光協会、森林組合又は漁業協同組合
助成対象事業
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業の助成対象となる事業は、下記の事業となります。
1.助成対象事業は、将来的な地域の消滅可能性危機を回避することを目的に、自治体や地域団体等が住民と共に実施する別表に掲げる事業とし、次の基準に適合するものとする。
①助成対象団体、または地域団体等が自主的・主体的に実施するものであること。
②事業展望が明確であり、助成終了後も継続・発展して実施されると認められるものであること。
・ただし、イ 地域経済循環分析事業にあっては、助成終了後に地域経済の活性化への取組が実施されると認められるものであること。
③他に国の補助金の交付を受けていないこと。
2.助成対象事業は、令和3年4月1日から令和4年2月末日までに実施する事業とする
助成対象経費
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業の助成対象経費は、助成対象団体が実施する事業費、または事業を実施する地域団体等に対して助成対象団体が行う補助に要する、下記の表の経費となります。
経費区分 | 内容 |
報 償 費 | 講師、コーディネーター等に係る謝金 |
旅 費 | 事業実施に係る費用、講師等への費用弁償 |
需 用 費 | 消耗品費、印刷製本費、光熱水費、修繕費、図書購入費、燃料費、食糧費 (会議の飲料等) ※ イベント実施時の講師・スタッフに係る弁当代等は食糧費として認 めます。懇親会や親睦会に係る費用は対象外。 |
役 務 費 | 通信運搬費、損害保険料、広告料 |
委 託 料 | 事業実施に係る費用(内容及び費用の内訳を明示すること。) |
使用料及び賃借料 | 会場借上料、物品等の賃貸・リース・レンタルに係る費用 |
工事請負費 | 当該事業に関連して継続して使用するものに係る費用 |
備品購入費 | 当該事業に継続して使用するものに係る費用 |
助成額
地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業の助成上限額は、下記の表の通りに事業区分別に決められています。
◆ 助成金の額は、助成対象経費の 100%以下とする。
◆ 助成金の額に 1,000 円未満の端数があるときには、助成金の額は、当該端数の金額
を切り捨てた額とする。
事業区分 | 助成金の上限 |
ア:地方創生人材育成伴走型支援事業 | 1件につき 1,500 千円 |
イ: 地域経済循環分析事業 | 1件につき 2,000 千円 |
ウ :一般事業 | 1件につき 1,500 千円 |
まとめ
地方創生に向けての取組や、まちづくりや協同組合事業や活動の調査研究費を支援している、地域生活研究所一般研究助成事業、ふるさとものづくり支援事業、まちなか再生支援事業、地域再生マネージャー事業、地方創生に向けて“がんばる地域”応援事業の5つの補助金や助成金について紹介してきました。
地方創生に向けての移住や交流などを活発させていくには、調査や研究に加えて、多くの費用が必要となってしまいますが、これらの補助金や助成金を資金調達の一つとしてご活用ください。
なお、補助金や助成金は期限が限定されていますので、見逃すことのないように準備をしておきましょう。