国産乳製品等競争力強化対策事業

チーズの生産向上の資金調達になる国産乳製品等競争力強化対策事業4つの取組を紹介

補助金

国内の食生活が多様化すること伴い、乳製品の中でも特にチーズの1人当たりの消費量は拡大し続けています。

「チーズが身近な食品」となり、テーブルに並ぶ回数も増えてきているのではないでしょうか?

ただし、国内の生産においては横ばいを続けており、輸入量の増加によってのチーズ消費量の拡大が伺えられます。

農林水産省では、このような国産チーズの伸び悩みを踏まえて「国産乳製品等競争力強化対策事業」を設けています。

国産チーズ生産者に対して、原料面での原料乳の高品質化の取組の強化、製造面でのコスト低減と品質向上・ブランド化等の推進に対しての支援となっていますので、どうぞご活用ください。

こちらの記事では、「国産乳製品等競争力強化対策事業」について、詳しく解説していきます。

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業

農林水産省が実施している国産乳製品等競争力強化対策事業は、国産チーズの需要拡大に向けた取組等を支援している事業です。

国産ナチュラルチーズ等の競争力強化、酪農家によるチーズ向け原料乳の高品質化・コスト低減、チーズ工房等による生産性向上と技術研修、国際コンテストへの参加等の品質向上・ブランド化など、国産チーズの需要拡大に向けた取組に対して、補助金を交付しています。

国産乳製品等競争力強化対策事業の4つの事業

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業の補助対象となる事業や支援は、次の4つの事業が支援が対象となっていますので、よくご確認ください。

1.国産チーズ生産奨励事業

チーズの味や歩留まりに影響する原料乳について、酪農家が、実需者が求める高い品質を確保するため、更なる飼養管理の高度化や乳質管理に取り組む費用の一部を支援するとともに、国産チーズ増産に向けた取組を支援します。

◆事業イメージ
・乳質向上等に資する取組を実施した上で、要件となる乳質基準を満たした生乳に対して奨励金を交付します。

・支援対象者:チーズ向け生乳の品質向上を図る生産者

・ 補助率:定額
① 基本となる取組:11円/生乳1kg
② 上乗せとなる取組:
ⅰ)特色あるチーズ生産のための取組+2円/生乳1kg
ⅱ)輸出に関する取組:+1円/生乳1kg
③国産チーズを増産させた場合:20円/生乳1kg

2.チーズ工房等の生産性向上支援

チーズ工房等のチーズを製造する者が取り組む、高品質なチーズや輸出向けチーズの製造に係る規模拡大や生産性向上に必要な施設整備を支援します。

◆事業イメージ
・国内コンテストで入賞したが、より品質を高めたり、コスト削減をしたい。
・より高品質なチーズを生産するための熟成庫を整備。規模拡大により生産コストも削減。国内販売の強化や輸出に取り組む。

・事業実施主体:チーズを製造する又はしようとしている者

・補助率:1/2以内
・支援対象となる施設:チーズ製造に関する施設・機械(製造室、熟成庫、製品検査室、冷蔵室、チーズ製造に必要な設備等)

3.国産チーズの品質向上・ブランド化、消費拡大支援

国産チーズの国内技術研修会の開催や海外研修への参加、国内コンテストの開催、国際コンテストへの参加等を支援します。また、国産チーズの消費拡大を図るため、チーズを日本の食文化に取り入れるための活動や、国内又は海外でのチーズの価値のPR、展示によるチーズの普及活動の強化を支援します。

◆事業イメージ
・国内研修会の開催、国内コンテストの開催、食文化普及イベントなど

4.畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(国産チーズ振興分)

チーズ製造を行う乳業メーカーやチーズ工房が参画し、原料乳のコスト低減や高品質化に取り組む畜産クラスター協議会に対して、取組に必要な施設の整備や機械の導入を支援します。

国産乳製品等競争力強化対策事業の要件

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業の支援を受けるためには、補助対象事業者、事業要件等を満たす必要があり、また施設や設備も補助対象となる条件があります。

次に、事業対象者、事業要件、補助対象となる施設および設備について、紹介していきます。

事業対象者

国産乳製品等競争力強化対策事業の事業対象となる者は、下記の通りとなります。

◆現在チーズを製造されている方又はこれからチーズを製造しようとしている方(高品質なチーズの製造が見込まれる方)です。

・ただし、いわゆる大企業や大企業の子会社(出資を受けている方)は対象外となります。

事業要件

国産乳製品等競争力強化対策事業の事業要件は、下記の通りとなります。

◆事業実施から3年以内のチーズの生産コストの10%以上の低減か販売額の10%以上の増加が必要となります。

補助対象となる施設および設備

国産乳製品等競争力強化対策事業の補助対象となる施設や設備は、下記の通りとなります。

◆チーズ製造施設(原料乳取扱室、製造室、器具取扱室、熟成室、冷蔵室、包装室、排水・汚水処理施設、製品検査室、その他)、チーズ製造に必要な設備(施設に備え付けが必要なもの(移動や持ち運びができないもの)に限り、汎用性が高い物は対象外です。)が対象です。

・ただし、用地費用等や設備の単純更新は事業の対象になりませんので、お気をつけください。

補助額と補助対象経費

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業の補助率と、補助対象となる経費は次の通りとなります。

補助額

国産乳製品等競争力強化対策事業の補助率は下記の通りとなります。

◆補助率 2分の1以内

・ただし、生産局長等が別に定める額とする。

補助対象経費

国産乳製品等競争力強化対策事業の補助対象となる経費は、「チーズ製造施設・設備の整備」と「廃棄設備の残余財産相当額の補填」となります。

【1.チーズ製造施設・設備の整備】
チーズの製造コストの低減又は販売額の増加に必要な下記に掲げるチーズ製造施設及び設備の整備並びに、これらと一体的に実施する設備の廃棄に要する経費となります。

・また、廃棄に係るチーズ製造設備等を売却して得た対価(当該売却に係る経費を控除した額をいい、事業実施計画が作成されている場合にあっては、作成された日から本事業に係る補助金の交付決定を受けた日までに売却して得た額を含む。)については、これを補助対象経費より排除されます。

◆チーズ製造施設
原料乳取扱室、製造室、器具取扱室、熟成室、冷蔵室、包装室、排水・汚水処理施設、製品検査室、その他チーズの製造に必要な施設・設備

◆設計費等
機械器具設備等の廃棄・整備に係る設計費及び諸経費

【2.廃棄設備の残余財産相当額の補填】
①チーズの製造に必要な設備等(取得年月が明らかであって、その取得価額が単価20万円以上のものに限る。)を廃棄する際に、当該設備等について、耐用年数に応じて旧定率法又は定率法により減価償却を行った場合の当該施設等の未償却分の残余財産相当額(以下「残余財産相当額」という。)となります。

・ただし、耐用年数を超えている設備等は補助対象とはなりません。

②個人において使用され、又は法人において事業の用に供された中古資産については、当該チーズ製造施設等において①の耐用年数以上に設定されている設備等のうち、①に定める要件を満たすものに限り補助対象とすることができる。

③補助対象経費の算出に当たっては、次の点に留意するものとする。

ア:①又は②の設備等を取得した営業年度(対象廃棄設備の営業年度又は事業年度等をいう。以下同じ。)における当該対象設備等の減価償却額は、当該対象設備等を取得した月にかかわらず、当該営業年度の期首にこれを取得したものとみなして算出するものとする。

イ:本事業により廃棄する設備において、対象設備等と当該対象設備等に関する資本的支出に係る部分とをそれぞれ別個の減価償却資産として財産管理台帳等に掲載し、それぞれについて別個に減価償却を行っている場合にあっては、本体である当該対象設備等が耐用年数を超えているときは、当該資本的支出に係る部分の残余財産相当額については、補助対象とはしない。

ウ:対象設備等について、資本的支出がなされ、当該対象設備等が耐用年数の期間内である場合には、当該対象設備等とその資本的支出に係る部分とをそれぞれ別個の減価償却資産として区分し、それぞれについて①、②並びに③のア及びイの規定に留意して補助対象経費を算出するものとする。

事業の流れと必要書類

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業の流れと、必要書類は下記の通りとなりますので、事前に確認し準備しておきましょう。

公募開始から事業着工までの流れ

国産乳製品等競争力強化対策事業は、下記のような順序で進められていきます。

◆ステップ1:公募開始
・必要書類の準備、Q&Aや様式記載例を確認しておく。

◆ステップ2:応募する(地方農政局等へ)
・北海道の方は、北海道農政事務所生産支援課
・沖縄県を除く都府県の方は、お近くの地方農政局畜産課
・沖縄県の方は、内閣府沖縄総合事務局農林水産部生産振興課に応募書類を提出する。

◆ステップ3:審査会の開催
・農林水産省において設置する選定審査委員会で審査を行い、採択する事業が決定されます。

◆ステップ4:採択された場合には事業実施計画書を提出
・地方農政局等へ事業の事務手続きを行ってください。
・事業実施計画書の承認

◆ステップ5:交付申請書の提出
・地方農政局等へ交付申請書を提出します。

◆ステップ6:事業着工
・交付決定となりましたら、事業着工となります。

応募書類

国産乳製品等競争力強化対策事業の応募書類は、下記の通りとなります。

・申請書類チェックシート
・応募申請書(様式1)
・確認項目チェックシート(様式2)
・事業実施計画書(様式3)
・事業実施計画書の添付書類

まとめ

国産乳製品等競争力強化対策事業

国産乳製品等競争力強化対策事業の4つの事業を始めとして、国産乳製品等競争力強化対策事業の要件、補助額と補助対象経費、事業の流れと必要書類について詳しく解説してきました。

国産チーズの競争力を強めていくために、原料面での原料乳の高品質化の取組の強化、製造面でのコスト低減と品質向上・ブランド化等の推進を図り、国産乳製品等競争力強化対策事業を設けて支援を行っています。

飼育管理や乳質管理、チーズ工房等の生産性の向上に取組んでいるのであれば、これらの補助金を資金調達の一部としてお役立てください。

国産チーズの品質向上やブランド化を図り、国産チーズの需要を推し進めていきましょう。

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