新たな資金調達法としてクラウドファンディングが注目を浴びています。
全国に支援者を募り、リターンとなる商品等を返すと言う新たな手法は、支援金だけではなく多くの人々にプロジェクトを知るきっかけとなる魅力的な資金調達法です。
しかし、クラウドファンディング事業者に「どのくらいの手数料になるのか?」は、誰もが気になるところではないでしょうか?
そこで、こちらの記事では、クラウドファンディング手数料の比較と同時に、手数料を助成してくれる「CF活用助成金」ついて解説していきます。
クラウドファンディングで資金調達をと考えている方にとって、見逃せない項目となっていますので、ぜひご覧ください。
クラウドファンディングの種類と手数料について
クラウドファンディングには購入型や寄付型、融資型等の種類があり、ビジネスモデルが違うために支払い手数料が異なります。
集まった資金から手数料を支払い、手元に残ったお金でプロジェクトを実施することになりますので、支払い手数料はクラウドファンディング事業者を選ぶ際の重要なポイントとなるでしょう。
次に、購入型、寄付型、融資型のクラウドファンディング事業者の支払い手数料をみていきます。
購入型|クラウドファンディング事業者の手数料
購入型クラウドファンディングの手数料は下記の表を見ると、10%~23%ほどと事業者によって若干手数料に差がでています。
また、購入型クラウドファンディングでは、通常の手数料の他にも決済手数料も必要となるサービスもありますので、サービスを利用する時には決済手数料があることも忘れないようにしてください。
事業所名 | 手数料 |
Kibidango(きびだんご) | 10% |
MotionGallery(モーションギャラリー) | 10% |
CAMPFIRE(キャンプファイヤー) | 12% 決済手数料 5% |
ReadyFor(レディーフォー) | シンプルプラン 12% フルサポートプラン 17% |
Kanatta | 17% |
MAKUAKE(マクアケ) | 20%(決済手数料5%含む) |
未来ショッピング | 22.80% |
寄付型|クラウドファンディング事業者の手数料
寄付型のクラウドファンディング事業者のは、購入型クラウドファンディングと同じ形式のビジネスモデルです。
10%の手数料はほとんどなく、購入型よりも手数料は若干高めと言えるでしょう。
事業者名 | 手数料 |
JAPANGIVING(ジャパンギビング) | 15% |
Readyfor Charity(レディーフォーチャリティ) | 17% |
A―porT寄付型 | 20% |
投資型|クラウドファンディングの手数料
投資型のクラウドファンディングでは、事業者の数か少なく手数料の形式が定かではありません。
株式投資型のクラウドファンディング事業者であるFUNDINNOを例に取ってみると、下記の手数料が必要となります。
事業者名 | 手数料 |
FUNDINNO(ファンディーノ) | 10万+実費 募集成立時に株式の発行価格の総額10%~20% |
手数料を助成してくれるCF活用助成金
クラウドファンディング事業者の手数料は10%~20%ほどではありますが、集まった資金のから引かれてしまうため、目標金額を掲げていても全ての金額が活用できるわけではありません。
また、集まった支援金が多ければ多いほど、手数料の金額が高くなることも忘れないようにしてください。
上記で紹介したMAKUAKE(マクアケ)を例にとってみてみると、100万円の支援金が集まった時には、100万円から20万円の手数料が引かれ、さらに20万に対して2万円の消費税(10%)が発生し引かれることになります。
◆手数料(決済手数料5%含む)の場合
『100万円-20万円(手数料)-2万円(消費税)=78万円』
手数料が20%だった場合には、実際に活用できる資金は78万円です。
このように、大きな額となってしまう手数料ですが、クラウドファンディングで発生する手数料を助成してくれる「CF活用助成金」が東京都で設けられています。
クラウドファンディングを検討しているのなら、見逃さないように助成金を活用しましょう。
次に、「CF活用助成金」の詳細についてみていきます。
CF活用助成金を紹介
東京都が実施している「CF活用助成金」は、クラウドファンディングを活用して行う資金調達に対して支援を行っています。
「CF活用助成金」は、クラウドファンディングの利用に伴う手数料の一部を助成している事業です。
助成金によって、主婦、学生、高齢者などによる創業や営利のみを目的としていないソーシャルビジネスなどへ挑戦することを促す目的として設けられました。
◆助成申請期間
・令和2年6月11日(木)10時~令和3年3月15日(月)24時
助成対象者
CF活用助成金を申請するには、下記①~⑫の条件を全て満たすことが必要となります。
①次のいずれかに該当する者
・創業者(次に掲げるいずれかに該当する者)
A:現在、事業を営んでおらず、新たに事業を開始しようとする具体的な計画がある者
B:創業した日から5年未満である者(個人で創業し法人化した者は、個人で創業した日から5年未満とする)
・新製品・新サービスの創出に挑戦する者
・『未来の東京』戦略ビジョン の戦略に寄与するソーシャルビジネスを行う者
②東京都内に本店若しくは主たる事業所を置き、東京都内で事業を行う事業者であること
・東京都内で事業を行う計画を有する創業希望者・事業者を含みます。
③中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条に規定する中小企業者の範囲に合致していること
・現在、事業を営んでおらず、新たに事業を開始しようとする具体的な計画がある者を含みます。
業種 | 資本金又は従業員等 |
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
④大企業が実質的に経営を支配していないこと。
⑤宗教教育その他いかなる宗教活動に該当する事業でないこと。
⑥政治活動に該当する事業でないこと。
⑦以下の事業に該当しないこと。
違法若しくは適法性に疑義のある事業又は公序良俗に問題のある事業
公的な資金の使途として社会通念上、不適切であると判断される事業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)により定める風俗営業など)
⑧現在かつ将来にわたって、暴力団員等(東京都暴力団排除条例(平成23年東京都条例第54号)第2条第2号に規定する暴力団、同条第3号に規定する暴力団員及び同条第4号に規定する暴力団関係者をいう。以下「暴力団員等」という。)に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的な要求行為等を行わないこと。
⑨法令等で定める租税についての未申告、滞納がないこと。
⑩事業の形態は、個人または法人(特定非営利活動法人、一般社団法人等を含む)であること。
⑪令和2年4月1日以降に、取扱CF事業者のサイトでプロジェクトを掲載し、プロジェクトを成功させた者。
・令和2年4月1日より前に開始したプロジェクトは、助成金の対象になりません。
・プロジェクトで設定した目標調達額を達成しなければ、助成金の対象になりません。
・取扱CF事業者は、東京都が選定したCF事業者です。「取扱CF事業者の紹介」ページに最新の事業者を掲載しています。
・取扱CF事業者の対象サイト以外のサイトに掲載したプロジェクトは助成金申請できません。
・同一プロジェクトで複数のCFサイトを利用する場合は、助成金の利用は1回となります。
⑫令和3年3月15日までに、全てのリターンを提供し、事務局に完了報告及び支給申請をした者。
助成対象経費
CF活用助成金の補助対象となる経費は下記の通りとなります。
◆CFの利用手数料
・利用手数料、決済手数料、早期振込手数料(取扱CF事業者から調達資金を受け取るために必要な手数料)
(助成対象とならない場合の例)
・取扱CF事業者以外のCF事業者への手数料
・対象サイト以外のサイトに掲載したプロジェクトに係る経費
・動画の制作費、専門家指導費など、プロジェクト成功のために支払った経費
・過去に本助成金の支給を受けているプロジェクトと同一のプロジェクトに係る経費
助成額
CF活用助成金の補助率と助成限度額は下記の通りとなります。
◆助成率
ア:1プロジェクトにつき、助成対象経費の2分の1
イ:下記のどちらかにに該当する場合は、助成対象経費の3分の2
・新型コロナウイルス感染症に伴い、発生・顕在化した社会的課題の解決に資するもので、『未来の東京』戦略ビジョン の戦略に寄与するソーシャルビジネスを行う個人又は法人
・新型コロナウイルス感染症により、経営に影響を受けている個人又は法人で、令和2年1月1日以降に創業した者
◆助成限度額
上記のア:CFのプロジェクト1件あたり上限30万円
上記のイ:CFのプロジェクト1件あたり上限40万円
CF活用助成金の申請方法
CF活用助成金の申請を受けるためには、必要な添付書類データを添えて、銀座セカンドライフ株式会社のホームページで交付申請を行います。
クラウドファンディングでの資金調達(下図のオレンジ矢印部分)を終え、手数料支払を完了した後に、助成金交付申請を行ってください。
申請の流れ
CF活用助成金の申請の流れは、下記の手順で行われます。
◆ステップ1:助成金を申請する場合は、最初に「交付申請」を行います。
申請の際、添付書類として提出する書類は次の3つとなります。
・取扱CF事業者に支払った、利用手数料の額の証明書類
・直近の確定申告書の受理印又は電子申告の受信通知のあるページ
・次のいずれかの書類
創業前の方: 免許証(又は住民票)(住民票は発行後3か月以内)
法人: 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)(発行後3か月以内)
個人事業主: 個人事業の開業・廃業等届出書の写し
ただし、上記「直近の確定申告書の受理印又は電子申告の受信通知のあるページ」を提出している場合は不要となります。
◆ステップ2:事務局が交付申請の内容を審査し、交付決定を行います。
・連絡先としてご登録いただいた担当者の方にメールで採択の可否が送付され、交付申請から最長2週間以内を目途に連絡がくる
◆ステップ3:リターン完了後に事務局に完了報告及び支給申請を行う。
・令和3年3月15日までに、リターンの提供を完了し、事務局に対し、本事業公式Webサイトより完了報告及び支給申請を行います。
・期限が過ぎると、助成金は受給できません。
◆ステップ4:完了報告及び支給申請の内容を審査し、助成金の支給を行う。
まとめ
クラウドファンディングを利用する時の手数料の比較と同時に、東京都で実施されているCF活用助成金について、助成対象者、助成額、申請方法や流れなどを詳しく解説してきました。
新たな資金調達として注目を浴びているクラウドファンディングですが、利用する時には10%~20%の手数料を支払わなければなりません。
支援金に応じて支払う手数料は、10%~20%でもかなりの額となってしまい、目標金額の全てをプロジェクトに回すことは難しくなるでしょう。
そのような時には、クラウドファンディング事業所の支払手数料の助成を行っているCF活用助成金を、見逃すことのないようにご活用ください。