日本政策金融公庫 資金繰り

資金繰りが苦しい時に頼りにセーフティネットの5つのメリットを紹介

日本政策金融公庫

経営が思うようにいかなくなり、資金繰りに困ったときはどんな対策を考えていますか?そんなとき中小企業者の方々が頼りにできるセーフティネットは2つあります。
ひとつは、日本政策金融公庫が独自に行っている「セーフティネット貸付」、もうひとつは信用保証協会の行っている「緊急保証制度(セーフティネット)」です。そんな資金繰りの助けとなる制度についてまとめてみましたので、ぜひご覧になってみてください。

状況に応じて使いたい!日本政策金融公庫の3つの「セーフティネット貸付」

日本政策金融公庫 資金繰り

日本政策金融公庫が設けている「セーフティネット貸付」は、経済環境の状況などによって、「経営環境変化対応資金」、「金融環境変化対応資金」、「取引企業倒産対応資金」(令和元年8月現在)となる3つの貸付に分けられています。
中小企業の資金繰りの悪化救済を目的としている「セーフティネット貸付」を詳しくみていきましょう

外的要因なら経営環境変化対応資金

社会的または経済的環境が原因となり、売上が減少したり悪化したりしている場合で、一時的な売上減少があり、業況が回復および発展すると(中長期的に見た場合)見込まれている企業が対象となります。
【貸付限度額】
・国民生活事業の場合 4,800万円
・中小企業事業の場合 7億2,000万円
【返済期間】
・運転資金:8年以内(内据置期間3年以内)
・設備資金:15年以内(内据置期間3年以内)
【資金の使いみち】
運転資金や設備資金に限ります

【保証人・担保】
保証人や担保は相談によって応じています
【利率】
基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)
金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表|日本政策金融公庫

金融機関の問題なら金融環境変化対応資金

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金融機関との取引の変化や状況によって、一時的に資金繰りが上手くいかなくなった場合。中長期的な期間のなかで、資金繰りが改善して経営状態が落ち着いてると見込まれている企業が対象になります。条件として、取引金融機関から停止命令を受けた、経営破綻状態などがあります。
【貸付限度額】
・国民生活事業の場合 別枠4,000万円
・中小企業事業の場合 別枠3億円
【返済期間】
・運転資金:8年以内(内据置期間3年以内)
・設備資金:15年以内(内据置期間3年以内)
【資金の使いみち】
設備資金及び金融機関との取引状況の変化に伴い必要となる運転資金
【保証人・担保】
保証人や担保は相談によって応じています
【利率】
基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)

取引先が倒産したのなら取引企業倒産対応資金

自社ではなく、取引企業または関連企業によって経営が苦しくなってきた場合。
要件として「倒産した企業に対して50万円以上の売掛金がある」、「取引依存度が10%以上」を満たしている企業に限ります。
【貸付限度額】
・国民生活事業の場合 別枠3,000万円
・中小企業事業の場合 別枠1億5,000万円

【返済期間】
・運転資金:8年以内(内据置期間3年以内)
【資金の使いみち】
運転資金
【保証人・担保】
保証人や担保は相談によって応じています
【利率】
基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)

日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」の使い方

日本政策金融公庫 資金繰り

「セーフティネット貸付」の特徴は、「保証料がかからない」、「信用保証協会」の融資枠がいっぱいであっても、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」は別枠で貸し付けを行ってくれます。
ですから、順番としては「信用保証協会」の緊急保証制度の枠がいっぱいになってしまったときに、最後の命綱として「セーフティネット貸付」を使うと良いでしょう。

日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」のデメリット

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日本政策金融公庫では、独自の裁量で行っているため、他の金融機関との兼ね合いを考慮に入れてくれません。ですから返済条件を変更することは難しくなるでしょう。
「規定通りの返済を求めてくる」、「10年以内に返済するプランを作る」などと、業績によっての見直しがしにくいというのが、デメリットとなります。

信用保証協会の「緊急保証制度(セーフティーネット)」

信用保証協会の「緊急保証制度(セーフティーネット)」は、取引先等による再生手続などの申請、事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻、大規模な経済危機などにより、経営が安定できなく支障を生じてしまった中小企業に対して、保証限度額の別枠化を行ってくれる制度です。
悪化した資金繰りを助け、中小企業救済の目的となっているので、通常よりも審査基準が低く借りやすくなっています。不況のときなどには、利用する企業が多くなる制度です。
では、どんな状況が緊急な経営状況として扱われるのかを具体的に見ていきましょう。

1号~8号まである「緊急保証制度(セーフティーネット)」

1号:連鎖倒産防止(平成31年3月25日更新)
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限(平成31年1月4日更新)
3号:突発的災害(事故等)
4号:突発的災害(自然災害等)(令和元年)8月1日更新)
5号:業況の悪化している業種(全国的)(令和元年6月20日更新)
6号:取引金融機関の破綻
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号:金融機関の整理改修機構に対する貸付債権の譲渡

「緊急保証制度(セーフティーネット)」のメリット

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資金繰りの悪化を支援してくれる「緊急保証制度(セーフティーネット)」には、どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

保証額

信用保証協会が扱っている「緊急保証制度(セーフティーネット)」では、別枠として最大8,000万円(無担保の場合)用意されています。
通常枠の限度額がいっぱいまで借りてしまっていても、この制度を利用すれば別枠として、さらに最大8,000万円まで借りられるという、とても助かる制度なのです。

10年の保証期間

保証してくれる期間は10年以内、さらに据え置き期間が1年というゆとりのある保証期間です。最大で運転資金が10年間も借りられるということもできるということです。

安い保証料金

気になるのは保証料金ですが、「緊急保証制度(セーフティーネット)」の保証料は、おおむね1%以内の保証料率となっています。ただし、全てではなく各種保証協会と保証制度ごとに保証率は異なります。

信用保証協会の100%保証

「緊急保証制度(セーフティーネット)」は信用保証協会の責任共有制度対象外※となるので、金融機関は貸倒れによるリスクを追う必要がありません。
これによって、融資が通りやすくなっています。

※責任共有制度とは、信用保証協会と銀行とが責任共有を図ることによって、銀行が貸手として責任ある融資を行い、両者が連携して中小企業を支援していくことを目的とした制度です。これによって原則100%保証で取り扱っていたものが、平成19年10月以降は一部を除いて20%相当のリスクを銀行が負担することになりました。

さらに借換制度との併用もOK

複数の借り入れをお持ちの方なら、既存の借り換えを緊急保証制度で返済し、一本化することも可能となっています。
一本化することによって、月々の返済を軽減することも可能ですが、一定の条件を満たさなければ利用できません。

「緊急保証制度(セーフティーネット)」保証限度枠はいくら?

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「緊急保証制度(セーフティーネット)」の限度額となる「一般保証限度額」、「別枠保証限度額」を具体的にみていきましょう。

一般保証限度額

普通保証2億円以内
無担保保証8,000万円以内
無担保無保証人無保証1,250万円以内

別枠保証限度額

普通保証2億円以内
無担保保証8,000万円以内
無担保無保証人無保証1,250万円以内

通常枠、別枠、企業の業績や実績に応じて実際の補償限度額は変わってきます。

5号の場合:対象となっている中小企業の検索方法

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5号の場合では、全国の業況の悪くなっている業種に属している中小企業を支援するために設けられています。
「緊急保証制度(セーフティーネット)」を利用するためには、行っている業種が対象となっている指定業種になっているかを確認しなければなりません。調べるには、次の手順で調べることができます。

①下記のベージより、日本標準産業分類のなかで、該当する業種を特定してください。業種は4桁の業種番号にあわせて表示されます。
②次に該当業種が属する細分類番号(4桁の番号)を特定してください。
③続いて、指定業種リストにセーフティ保証5号の指定業種がない確認し、指定業種リスト場に記載があればセーフティ保証5号の指定業種となります。
指定業種リスト上になければ、業種に指定されていないこととなります。

総務省|統計基準・統計分類|日本産産業標準分類|(平成25年改定)(平成26年4月1日施行)

まとめ

日本政策金融公庫 資金繰り

経営状態が良好なうちはさほど気になりませんが、いざ資金繰りが悪化してしまったときのために、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」と信用保証協会の「緊急保証制度(セーフティネット)」をまとめてみました
両者の中でも、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」は、保証料がなく保証協会の限度枠いっぱいでも借りられる可能性がある心強い制度です。
ただし、経営破綻に陥ってしまった場合には、日本政策金融公庫の場合には、全額回収されるかもしれないというデメリットを持っていますので、まずは信用保証協会の緊急保証制度の枠いっぱい利用してから、最後の手段として日本保証協会の「セーフティネット貸付」をおこなうとよいでしょう。
資金繰りが悪化してしまったときのためにも、日本保証協会の「セーフティネット貸付」と、信用保証協会の「緊急保証制度(セーフティーネット)」は、中小企業の方にとって覚えておいて欲しい制度となっています。

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