コールセンター誘致助成制度を活用することの3つのメリットを徹底解説

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コールセンター 助成 金

多くの地方自治体では、コールセンター誘致のための助成制度を施行しています。
東京圏への一極集中が進んでいる日本においては、地方自治体は税収の減少による行政サービスの質の低下など、深刻な問題を抱えています。
そのため、地方自治体にとっては、コールセンターができることで雇用が創出されるメリットがあります。
加えて、コールセンターの集積が進むことで、人口が流入し地域経済の活性化や税収の増加などのメリットも得ることもできます。
また、コールセンターは、通信設備と人材がそろえば運営可能です。
そのため、汚染物質を排出する工場と違い地域住民の合意が得やすい面もあります。
こうした地方自治体側のメリットだけでなく、コ
ールセンターを地方都市で運営することで、企業の側もメリットを得ることができます。直接的には、補助金や助成金により、人件費の抑制や要員の育成費用の補填などができます。

加えて、地方でコールセンターを運営することで、①人件費や設備費用の抑制、②質の高い労働者の確保、③災害時の事業継続の確保、という3つのメリットを享受することができます。

本記事では、以下の3構成で、企業にとってコールセンターを地方都市で運営することで企業が得る3つのメリットを詳しく解説します。

コールセンター誘致助成制度の概要

コールセンター 助成 金

コールセンター業務は、電話を通してお客さまとやり取りをする業務です。

商品やサービスへの問い合わせ対応、商品の売り込みなどを行います。
1990年代後半以降、大都市圏に本社機能を持つ主要企業は、安価な労働力を求めて、地方の広域中心都市やそれに準ずる都市へコールセンター開設を進めてきました。
月刊コールセンタージャパン編集部が2019年10月に出版した「コールセンター立地状況調査」によると、地方都市におけるコールセンターの拠点数は、札幌市(96拠点)が最も多く、次いで、那覇市(65拠点)、福岡市(46拠点)、仙台市(42拠点)の順になっています。
こうした地方都市におけるコールセンターの拠点数増加には、各地方自治体による助成制度も寄与しています。
一般社団法人コールセンター協会が2019年9月に出版した「地方自治体のコールセンター誘致助成制度一覧」によると、182の地方自治体がコールセンター誘致の為の助成制度を施行しています。

助成制度の中身は、設備投資やオフィス賃料に対する補助金や、雇用促進補助金(例:雇用者1人に対する数十万円の補助金)、オペレーターのスキルアップ研修などの教育支援、地方税(事業税、不動産取得税、固定資産税等)の免除などがあります。
一言でいうと、コールセンターの設立を通じて雇用を創出した企業に対して助成を行うものです。

札幌市の補助金制度

コールセンター 助成 金

以下では、一例として札幌市が行っている助成制度の概要を紹介します。

詳細は、札幌市のホームページをご確認ください。
「コールセンター・バックオフィス立地促進補助金」

(1)補助金名
 コールセンター・バックオフィス立地促進補助金

(2)対象者
 ・コールセンター事業に参入を計画している人。
 ・東京、大阪、名古屋などの大都市圏を拠点としている企業で、賃料や人件費を抑えようとする人。

(3)対象となるコールセンターの種類
 ①コールセンター
  受信業務を行うインバウンド・コールセンター
 ②バックオフィス
  本社、本社機能の一部を行うものや事務管理業務などの内部事務などを行う事業所
 ③特例子会社
  障害者の雇用促進(法律第44条第1項に規定する)などの認定を受けた、特例子会社の本社および支社その他の事業所

(4)補助要件
 主に北海道外の企業・顧客に対してサービスを行う企業が対象です。
 また、補助金支給後は交付初年度から起算して、6年間は札幌市内で事業を継続させなければいけません。
 以下コールセンターの新設・増設でそれぞれ要件が異なります。
 ①新設
  ・20人以上の新規常用雇用者で構成すること。
  ※雇用形態は正社員、契約者員、派遣社員(他社から派遣されている方)、パートなど、いずれも可。
 ②増設
  ・2年間で常用雇用者数を20人以上増加させること、増床又は市内に新たな事業所を設置すること。
  ・2年間で新規雇用、または社内登用による正社員数を20人以上増加させること。
  ・今までに増設補助を受けていないこと。

(5)補助内容
 ①新設
  補助上限額:1,000万円×3ヵ年度
  ・新規雇用の正社員:1人あたり50万円/年度
  ・新規雇用の正社員以外の常用雇用者:1人あたり10万円/年度(障がい者50万円)
 ②増設
  補助限度額:1,000万円
  ・正社員の増加:1人あたり25万円
  ・正社員以外の常用雇用者の障がい者の増加:1人あたり25万円

多くの地方自治体が助成制度を施行する背景

最初に、多くの地方自治体がコールセンター誘致のための助成制度を施行している背景を説明します。

地方都市の人口減少

コールセンター 助成 金

現在の日本では、総人口の減少と大都市圏への人口流入により、地方都市では人口が減少しています。
一例として、国土交通省が2019年12月に公開した「企業等の東京一極集中に関する懇談会」の配布資料をもとに、現在の日本の都市部への一極集中の度合いを説明します。
日本の人口は、2008年をピークに徐々に減少傾向にあります。
一方で、東京圏への人口流入は、第二次世界大戦後に一貫して進んでおり、2018年度には約3,650万人(約3割)となっています。
名古屋圏、大阪圏の人口と合わせると、日本の総人口の約6割を占めます。
こうした都市部への人口流入は、日本企業の都市部への集中からも読み取ることができます。
2015年時点で、日本の上場企業は約3,600社あります。

そのうち、東京都に本社機能を持つ企業の数は約1,800社と約半分強のシェアを占めています。
さらに、大阪、愛知、神奈川を加えると、約7割強にまで達します。
また、全国の労働者数に占める東京都の労働者数のシェアは約15%(東京圏では約30%)となっています。
産業別では、「情報通信」業では約5割(東京圏では約6割)を占めています。

人口減少が地方自治体へ与える影響

コールセンター 助成 金

人口の減少は、地方自治体に次のような影響を与えます。

①税収減による行政サービスの質の低下
人口減少により、地域の経済・産業活動が縮小すると、地方自治体の税収入は減少します。
一方で、高齢化の進行から社会保障費は増加するため、地方財政はますます厳しくなります。
その結果、それまで無料で受けられていた行政サービスが廃止又は有料化されるなど、行政サービスの質が低下します。

②地域の公共交通手段の縮小
人口が減少すると、鉄道や路線バスなどの公共交通機関の利用者が減少し、民間事業者は輸送サービスの採算が困難となります。
その結果、不採算路線からの撤退や運行回数を減少せざるを得なくなります。
一方で、高齢化により自家用車を運転できない高齢者層にとって、公共交通機関の重要性は増大しており、公共交通機関の衰退は、地域の生活に大きな影響を与えます。

③地域コミュニティの機能低下
人口減少によって、地域のコミュニティ機能も低下します。
例えば、町内会や自治会などの住民組織の担い手が不足しコミュニティの共助機能が低下すると、地域住民によって構成されていた消防や防災機能が低下します。
その結果、大規模地震や水害等への対策がおろそかになります。
すると、これまで地域コミュニティ機能でまかなっていた自衛機能を保持するため、地方自治体の負担増加が増加します。
また、若年層が減少すると、地域の歴史や伝統文化の継承が困難になり、地域の特色のある伝統が失われていきます。

地方自治体の狙い

地方自治体によるコールセンター誘致の助成は、人口減少による地域経済の衰退を防止することを狙いとしています。
① 地域の産業振興
第1の狙いは、地域の産業振興です。
コールセンターが集積すると、その地域に多くの雇用が生まれます。
前述の通り、工場と異なり、コールセンター設備は環境に与える負荷がほとんどありません。
そのため、地元住民の理解が得られやすいメリットがあります。
例えば「沖縄マルチメディアランド構想」を掲げた沖縄県では、コールセンターのオペレーターとして就職した県民は1万人を超えました。
そのうち9割は主婦やフリーターなど、これまで就職機会が無かった人々です。
沖縄県の求人倍率は、1.2倍程度と全国平均の1.6倍を下回っているため、コールセンターは、沖縄にとって雇用創出に大きく寄与しています。

② 税収の確保
第2の狙いは、税収の確保です。
地方自治体は人口減少による財政難に直面しているため、コールセンターの集積が進み、外部から人口が流入することで、税収の増加が見込まれます。

地理的に工場誘致に不向きな地方自治体や、公害等により地元住民の反対で工場が撤退した地方自治体、生産拠点の海外移転により工場誘致が期待できなくなった地方自治体にとって、コールセンターは税収の機会として期待されています。

助成制度活用による企業へのメリット

コールセンター 助成 金

このように、地方自治体にとっては、コールセンターの誘致には大きなメリットがありますが、一方で企業にとってもメリットはあります。
直接的には、助成金や補助金によって、オペレーターの人件費や教育費用を補填することができます。
加えて、地方都市ならではの利点もあります。
以下では、3つのメリットを説明します。

人件費や設備費用の抑制

最初のメリットは、人件費の抑制です。
厚生労働省によると、和令元年における最低賃金は、東京都が1,013円、神奈川県が1,011円と1,000円を超えるのに対し、北海道は861円、沖縄は790円と、2割程度も安くなっています。
人件費を大きく削減できることは、企業にとってとても魅力的です。
さらに、地方都市は大都市圏とくらべると地価やオフィス賃料も安く抑えることができます。

質の高い労働力の確保

第2のメリットは、質の高い労働力の確保です。
地方都市のオペレーターは、大都市圏と同じ日本人です。
「オフショア」のように、言語や文化、宗教など、海外拠点で考慮すべきコミュニケーションコストを考慮する必要はありません。
加えて、労働力の質の高さも魅力があります。
日本は世界的に見て、大都市圏と地方の間の教育格差が小さい国です。
本社機能がある大都市圏で普段使用している業務マニュアルを地方でもそのまま適用できるため、オペレーターの教育にかける費用はオフショアよりもはるかに安く済みます。

震災時の事業継続の確保

第3のメリットは、事業継続の確保です。
コスト面とともに、震災発生時のBCP(事業継続計画)を立てる為にも、地方にコールセンターを置くことには、企業にとって大きなメリットがあります。
日本は、地震や台風による大規模水害に見られるように自然災害が多い国土です。
地方にコールセンターが設営されていることで、仮に大都市圏の本社機能が被災した場合も業務継続が可能になります。

まとめ

コールセンター 助成 金

これまで見てきたように、多くの地方都市はコールセンター業務に対する助成金制度を施行しています。
人口減少に悩む地方都市にとっては、コールセンターを誘致できることで、雇用が創出されるメリットがあります。
加えて、コールセンターが集積することで、人口増加による地域経済の活性化、税収増加につなげることも可能になります。
こうした地方自治体側のメリットだけでなく、企業にとっても地方都市にコールセンターを設営することには大きなメリットがあります。
日本は、大都市圏と地方都市との間の賃金格差は大きいものの、教育格差は殆どありません。
そのため、地方都市にコールセンターを設営することで、安価で質の高い労働力を確保することができます。
加えて、自然災害が多い日本においては、BCPの観点からも、地方都市にコールセンター業務を運営するメリットがあります。
ICT化の進展により、質の高いオンライン会議システムが安価に導入できるなど、物理的な距離によるコミュニケーションコストは現在では小さくなっています。
本社機能に近い頭脳集約的な業務も、必ずしも大都市圏である必要性もありません。
新しくコールセンターやバックオフィス業務の立ち上げを計画している企業経営者だけでなく、少しでも運営コストの削減を意図している大都市圏の企業経営者にとって、地方都市の活用は有力な選択肢であると言えます。

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