ビジネスローン トラブル

ビジネスローン活用の際に起こるトラブル回避策6つを徹底解説

ローン

企業経営においては、日々の定常的な資金繰り以外にも、新たな事業立ち上げなどの突発的な理由により資金が必要になるケースがあります。
資金調達には、銀行からの融資や出資、自己資金、援助など様々な方法がありますが、審査や手続きに時間がかかるなど、急な資金繰りに対応できない場合もあります。
そのような場合、ビジネスローンを活用することで、容易に資金調達を行うことができます。
しかしながら、ビジネスローンは利便性が高い代わりに、利便性の高さにより、借り入れが超過したり借入金利が融資よりも格段に高いなどのデメリットがあります。
そのようなデメリットを把握しておかないと、借入時に想定しなかった返済負担により、日々の資金繰りが厳しくなる場合があります。
さらに返済が滞ることで、取り立てを受けたり資産整理をせざるを得ない状況に陥る可能性もあります。
そのようなトラブルに陥らないためには、ビジネスローンのメリットと共に、デメリットや他の資金調手段などを把握しておく必要があります。
以下では、(1)~(5)構成で、ビジネスローンの活用によるトラブル回避策につて解説していきます。

(1)ビジネスローンとは
(2)ビジネスローンのメリット
(3)ビジネスローンのデメリット
(4)ビジネスローン活用のトラブル回避策
(5)ビジネスローン以外の資金調達手段

ビジネスローンとは

ビジネスローン トラブル

ビジネスローンとは「事業資金」としての利用に特化した資金調達手段です。
事業資金とは、下記のような資金用途です。

  • 次の入金までの運転資金
  • 設備投資資金
  • 取引先への支払い資金

つまり、ビジネスローンとは「事業に関わる資金に利用できるローン」のことです。

ビジネスローンの対象者・審査基準

ビジネスローンの対象者は、法人経営者、個人事業主(フリーランス)です。
細かな審査基準はビジネスローンの種類ごとによって異なるものの、基本的には事業をご自身で営んでいる人であれば、申込対象者になります。
ただし、ローンの種類ごとに申込可能年齢が設定されているため、下記の2つの条件を満たすことが必要です。

①事業を営んでいる
②申込可能年齢に該当している

ビジネスローンの種類

ビジネスローンは、これまで消費者金融などのノンバンク系企業によるものが一般的でしたが、現在では銀行系や政府系のローンも登場しています。

○ノンバンク系のビジネスローン
クレジットカードを発行している企業や消費者金融が提供するビジネスローンは、ノンバンク系として分類されます。
銀行よりも審査が易しく入金タイミングが早いので、すぐに資金が必要になる場合には役立ちます。

○銀行系ビジネスローン
銀行が提供しているビジネスローンです。
ノンバンク系ローンと比較して審査が厳しいというデメリットがありますが、銀行ブランドは事業者にとって安心材料となります。

○政府系のビジネスローン
国による政府系ビジネスローンは、最も信頼度が高いと言えます。
審査が厳しく審査期間も長期になりますが、信頼度の高さを考えると妥当と考えられます。

ビジネスローンのメリット

ビジネスローン トラブル

ビジネスローンの概要を理解したところで、ビジネスローンのメリットについて説明していきます。

銀行融資よりも審査が厳しくない

まず、銀行からの融資などにくらべて審査が厳しくないことが挙げられます。
銀行融資は、審査基準が厳しく煩雑な準備が必要になります。
事業計画書を提出し、その事業計画が審査基準を満たさなければ不合格となります。
一方で、ビジネスローンの審査にはスコアリングシステムによって融資対象を判断します。銀行融資のような細かい審査が行われないため、事業者にとっては大きな安心材料となります。

審査から借り入れまでの期間が短い

ビジネスローンでは最長で数日、最短で即日と、短い期間で資金調達が可能になります。
急な出費が必要になったときにすぐに資金を調達できることは、事業者にとって大きなメリットです。

用途が比較的自由

銀行からの融資は資金の使い道が決められており、違反をすると罰せられるケースがあります。
それに対しビジネスローンは「事業に必要となる用途の範囲内」と、比較的使い道が自由であるため、借り入れの返済や従業員への賞与、事業資金など、事業者の用途に合った資金運用ができます。

ビジネスローンのデメリット

ビジネスローン トラブル

上記のように、ビジネスローンには銀行融資に比べて利便性が高いというメリットがありますが、同時にデメリットを抑えておく必要があります。

返済金利が高い

銀行による融資が、金利2パーセント程度であるのに対し、ビジネスローンでは3~10パーセントと非常に高金利となります。
特に無担保ローンでは金利が高めとなります。
このような高金利は、事業者にとって大きな負担となります。

借り入れ過多による返済の長期化

上述のようなビジネスローンの利便性は、メリットとともにデメリットにもなります。
利便性の良さから借り入れが癖になってしまい、気づかぬうちに融資金額が過多になり返済が長期化してしまうこともありえます。

ビジネスローンのトラブル回避策

ビジネスローン トラブル

これまで見たように、ビジネスローンは利便性が高い一方で、借り入れ過多や返済金利の高さにより返済が長期化し、却って資金繰りが厳しくなる可能性があります。
またローンの返済が滞ると、ローン会社から「取り立て」を受けます。
現在では法規制が進み、以前よりは厳しい取り立ては受けませんが、不動産や財産を競売にかけられたり、破産をせざるを得ないケースもありえます。
そうしたトラブルを回避するための手段を、以下で説明していきます。

返済が滞った時の回避策

ビジネスローンの返済が滞ると、財産の差し押さえや競売などの処分を受けることになりますが、「債務整理」を行うことでそれらを回避することができます。
債務整理により、過払い金の請求をはじめ任意整理や民事再生、自己破産の取引などができます。
加えて、下記のようなメリットもありますので、返済が滞った際には活用できるか必ず調べるようにしましょう。

○債務整理後でも事業を続けられる
資金ショートの状態にあっても、金融機関との話し合い次第で債務免除や減額が可能となり、事業を継続できます。
事業を諦めたくない事象者にとっては、心強い味方となります。

○取引先に知られない
債務整理は、弁護士や司法書士を通じておこなわれます。
弁護士や司法書士には守秘義務が課せられているため、事業者の債務整理を口外することは禁じられています。
そのため、取引先との信頼関係を崩さずに債務整理を進めることができます。
今後も事業を続けたい方にとっては嬉しいポイントです。

○取り立てをストップできる
債務整理が始まると、弁護士や司法書士は「受任通知」を発行します。
これを機にローン会社は事業者に対して一切の取り立てができなくなります。
それでも取り立てをおこなった場合、ローン会社は業務停止処分を受けます。

○無料相談を受けられる
債務処理には弁護士や司法書士への依頼が必要となりますが、相談自体は無料です。
またインターネット上で事業者と弁護士・司法書士のマッチングサイトも公開されていますので、事業者の得意分野を扱うことができる業者を選ぶこともできます。

未然のトラブル回避策

債務整理は、過剰な取り立てを回避することができますが、社会的な信用を失い将来の資金調達が難しくなることは事実です。
そのため、まずは過剰債務による返済不能に陥らないようにする必要があります。

○ローン金利の下限を信用しない
ビジネスローンを検討している個人事業主は、下限金利を参考にして商品を選んではいけません。
ビジネスローンの下限金利が適応されるのは、経営に問題がなく信用の高い大企業の経営者などに限られます。
中小企業や個人事業主は、大企業の経営者に比べると貸倒れ率が高く算出されるため、下限金利は適用されません。
さらに、初回利用者は審査担当者からの信用がないため、上限に近い金利が適用される傾向があります。

○少額かつ短期間の利用を心掛ける
ビジネスローンを検討するにあたっては、少額かつ短期間の用途を心掛けましょう。
借入金額と借入期間を最小限にすることで、利息負担を極力抑えることが必要です。

ビジネスローン以外の資金調達手段

ビジネスローン トラブル

最後に、ビジネスローン以外の資金調達手段を紹介しておきます。
色々な資金調達手段を抑えておくと、用途に合った最適な手段を選択することができ、資金返済の負担を減らすことができます。

手形裏書譲渡

手形の裏書譲渡とは、手形の裏面に必要な項目を記載することによって、手形の額面金額を決済に利用できるというものです。
実際の運用では、手形を銀行や手形割引業者に買い取ってもらい資金化します。

ファクタリング

ファクタリングとは、事業者が保有している売掛金や手形といった売掛債権をファクタリング会社に売却することによって、資金調達を行う方法です。
ファクタリングは、手形の裏書譲渡よりにくらべてメリットがあります。
まず、手形裏書譲渡では手形分しか資金化できませんが、ファクタリングでは売掛債権全体を資金化できます。
また、手形割引では不渡りの際に弁済を求められますが、ファクタリングでは売却した売掛債権が回収不能となった場合にも、弁済を求められません。

創業融資

事業者向けの融資として活用されている「創業融資」も、これから資金が必要となる事業者に役立ちます。
金利が1パーセントと低負担であることに加え、自治体や信用保証協会からのバックアップを受けられます。
加えて、返済が難しくなったときに自治体や信用保証協会からのサポートも得られるため、返済が滞った際にも事業を継続することができます。
創業融資は全国の都道府県や市区町村で受けることができます。
自治体ごとに方針や審査基準が異なるため、申し込み前に確認するようにしましょう。

助成金・補助金

一定の基準を満たすことで、厚生労働省や経済産業省などが管轄する組織から、助成金・補助金による資金援助を受けることができます。
銀行融資やビジネスローンのように返済の義務が発生しないため、安心して経営に専念することができます。
事業のプランが魅力的であれば事業経験の有無にかかわらず融資を受けられることもメリットです。

クラウドファンディング

インターネット上で事業資金のサポートを募る「クラウドファンディング」も、最近では資金調達手段として注目されています。
事業に興味を持つ不特定多数から資金を集め、社会に還元する形でビジネスを推進していきます。
手軽かつ便利な方法なため、事業が世の中の役に立つ有意義なものである場合、前向きに検討するのも一案です。

まとめ

ビジネスローン トラブル

これまで見てきたように、ビジネスローンは銀行融資にくらべて資金調達が容易で利便性が高いという魅力があります。
一方で、利便性の容易さや借入金利が高いことで、返済の負担が多くなるデメリットがあります。
加えて返済が滞ることや、「取り立て」を受けるなどのトラブルを受けるリスクもあります。
仮に「債務整理」を行い過剰な債務支払いを回避することができたとしても、社会的な信用を失うことで、将来の資金調達が難しくなります。
その意味で、ビジネスローンを活用する場合には、売掛金が回収されるまでの一時的な資金繰りなど、資金用途を明確にしておく必要があります。
また、支払金利を甘く見積もらないことや、現実的な返済計画に基づいた節度ある借り入れが必要です。
加えて、返済負担を少しでも減らすよう、必ずしもビジネスローンに限らない資金調達手段が可能かどうかも併せ検討しましょう。

この記事をシェアする