ビジネスローン リスケ

ビジネスローンをリスケして資金調達を円滑にするための3つのポイントを徹底解説

ローン

ビジネスローンは、スコアリングシステムによって審査が行われるため、銀行融資よりも審査が簡易で早く利用できます。一方で、審査が簡易なことで、支払い不能になった場合に不当な取り立てを受けることを心配している方も多いのではないでしょうか。
実際には、支払い不能になった場合に不当な取り立てが行われることは無く、あくまで法的手続きに沿った形で取り立て手続きが行われます。加えてローン返済をリスケすることも可能であり、半年から1年の間、元本支払いを一時的に止め、支払いを利払いだけにすることができます。

本記事では、支払い不能になった際に行われる、法的手段に基づく取り立ての流れ、ビジネスローンにリスケが認められること、またリスケを行う際のメリットとデメリット、リスケを行う際に気を付けるべき3つのポイントを説明します。

ビジネスローンの取り立てについて

ビジネスローンのリスケについて説明をするにあたり、支払い不能になった場合に、どのような措置が講じられるのかを確認しておきましょう。

不当な取り立ては行われない

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ビジネスローンは銀行融資よりも審査が簡易的である分、支払い不能になった場合には、以下のように不当な取り立てを受けるのではと心配される方も多いのではないでしょうか。

 ・理由もなく、事業所や自宅を訪問される。
 ・深夜や早朝も含め、1日に何回も電話で催促を受ける。
 ・事業所に返済要求のポスターを掲載される。
 ・家族や知人に対して返済要求される。

こうした行為は、現在では一切行われません。
実際、日本でも1990年代には、こうした違法な取り立てが行われていました。しかし、2003年に制定されたヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)などによって、違法な取り立ては禁止されました。そして、違反をしたビジネスローン会社は重い罰則を受けることになったのです。

ここで、ヤミ金対策法の概要を説明しておきます。詳細は、金融庁のホームページの[ヤミ金融対策法が成立しました]をご確認ください。

1.貸金業登録制度の強化
貸金業登録の審査について、申請者等の本人確認を義務化するとともに、人的要件(例えば、暴力団員の排除)の強化や財産的要件の追加、各営業店への主任者の設置の義務付けにより、さらに厳格な登録審査を行うこととなりました。

2.罰則の大幅な引上げ
高金利貸付け、無登録営業に関する罰則が大幅に引き上げられました。
また、高金利を要求する行為そのものも罰則の対象となりました。
 ・高金利違反 ⇒ 5年以下の懲役、1千万円(法人の場合3千万円)以下の罰金(注)
 ・無登録営業 ⇒ 5年以下の懲役、1千万円(法人の場合1億円)以下の罰金
 (注)出資法で定める貸金業者の上限金利(年29.2%)を超える利息の貸付契約を行った場合

3.違法な広告、勧誘行為の規制
 無登録業者の広告、勧誘行為について罰則が適用されるようになりました。
 ・罰則の新設 ⇒ 百万円以下の罰金
 
4.違法な取立行為の規制強化
 正当な理由のない夜間の取立て、勤務先等居宅以外への電話や訪問、第三者への弁済の要求など行ってはならない取立行為の具体例について、法律で明確にされるとともに、罰則も引き上げられました(無登録業者の行為も罰則の対象となります)。
 ・罰則の引上げ ⇒ 2年以下の懲役、3百万円以下の罰金
 (注)罰則の引上げについては、9月1日に施行

5.年109.5%を超える利息での貸付契約の無効化
 登録業者・無登録業者を問わず年109.5%を超える利息での貸付契約を行った場合には、当該契約は無効であり、利息については一切支払う必要がありません。

違反を繰り返した場合、ビジネスローン会社は貸金業法の免許をはく奪され、事業運営ができなくなります。

法的な取り立ては行われる

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違法な取り立てが行われない代わりに、支払い不能になった場合、法的手段によって取り立てが行われることになります。

一般的には、以下のような手順で債権回収手続きが行われます。

1. 返済催促の連絡がある
支払い期日に入金が無い(もしくは引落口座に支払い額以上の残高が無く引落されなかった)場合、ビジネスローン会社から電話やメール、郵便物などで連絡があります。
この時、すぐに返済をすれば問題ありません。たまたま支払い期日を忘れていた、などの可能性もあるからです。
しかし、支払いを行わず、ローン会社に対して何の連絡を入れないままでいると、次のステップに進むことになります。

2. 返済催促の内容証明郵便が届く
ビジネスローン会社からの催促の連絡を無視し、2~3週間ほど経過すると、ビジネスローン会社から内容証明郵便の形で催促状が届きます。
内容証明郵便物は、郵便局が第3者として「誰が、どのような内容を、どこに送ったのか」を証明します。そのため、仮に債務者が郵便の受け取りを拒否したとしても、催促状の法的効果は失われません。
それ以上に、内容証明郵便物はビジネスローン会社からの最後通告の意味合いがあります。
この段階になっても無視を続けていると、法的根拠に従って財産差し押さえを受けることになります。

3. 裁判所から催促状があり、債権の差し押さえを受ける
内容証明の郵便を受け取ったにも関わらず無視し続けていると、裁判所から催促状が届きます。そして強制執行により債権の差し押さえを受けることになります。
ここで、ビジネスローンの場合、会社を個人事業主でなく法人として運営していた場合も、個人資産の差し押さえを受けます。これは、ビジネスローンの申し込みにあたっては、必ず契約者(=経営者)を連帯保証人として指定する必要があるためです。
連帯保証人となっている以上、会社を倒産させたとしても借金が法人から個人に移るだけであり、返済義務は免除されません。

ビジネスローンのリスケについて

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それでは、支払い不能になった場合に、上記のような差し押さえを受けないようにするにはどのような対処が必要になるのでしょうか。
支払い困難な状況に陥った場合、ビジネスローン会社にリスケを相談することができます。リスケは、ビジネスローンに限らず銀行や日本政策金融公庫からの融資などでも普通に行われています。

ビジネスローンのリスケの方法について

リスケとは、支払い条件の変更のことです。
具体的には、一定期の期間、毎月の元本返済額を減らし、利息の支払いだけが行われるように返済計画を見直します。リスケの期間は、一般的に半年から1年くらいです。
ビジネスローンは、借入利率が高めに設定されており金利収入が確保されている分、銀行などよりも柔軟にリスケに対応してくれます。
次に、リスケを行うことのメリット、デメリットについて説明していきます。

リスケのメリット

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1.資金繰りが楽になる
リスケを行うと、リスケ期間中は元本の支払いを減らすことができます。
利息の支払いは発生しますが、キャッシュアウトフローが大幅に減少するため、資金繰りが楽になります。

2.経営再建の時間を確保できる
資金繰りが楽になることにより、会社経営に一時的に余裕が生まれます。このタイミングを活かし、キャッシュフローの改善や経営再建に取り組むことができます。
半年から1年という期間は短いようにも感じられますが、不良在庫の整理、遊休設備の償却、未回収の売掛金回収の徹底、安い仕入先の検討など、できることは多くあります。キャッシュフローの改善や経営再建につながる小さな努力の積み重ねが必要です。

リスケのデメリット

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1.新規の借り入れができない
まず、リスケ期間中は新規の借り入れができなくなります。
リスケを行うことで、貸し出し元のビジネスローン会社による格付けが低下するからです。
通常に元利支払いができている状態を「正常先」とすると、リスケを行うことで「要注意先」または「破綻懸念先」と扱いが変更されます。
格付けが低下することで、ビジネスローン会社はリスケした貸出先に対する貸倒引当金を積み増すことになります。その結果、新規の貸し出しが難しくなります。

2.企業の信用が低下する
リスケは、会社経営が厳しい状況であることを表しています。
リスケが取引先に知られた場合、取引を停止される恐れがあります。そのため、リスケは極秘事項にしておかなくてはなりません。
また、取引先だけではなく、従業員に知られないように注意することも必要です。会社の先行き不安から、退職者が出る恐れがあるからです。

3.将来の支払い負担が増える
ビジネスローンは、銀行などに比べると借入金利が高めに設定されています。
リスケによって一時的に元本支払いの猶予を受けたとしても、その期間の利払いは発生します。
また、リスケから通常支払いに戻った後も、割高な利払い負担は引き続き発生しますので、将来的な支払い負担は増加することになります。

リスケを検討する際の3つのポイント

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これまで、ビジネスローンのリスケについて説明してきました。
次に、リスケを行わざるを得ない事態に陥った際に気を付けるべき3つのポイントを紹介します。

ビジネスローン会社に相談する

1つ目は、毎月のローン返済が困難になる兆候が生じた段階で、早めにビジネスローン会社に相談をすることです。
まずは以下を報告しましょう。

 ・返済が遅れる理由
 ・返済できない金額
 ・返済できる日付

ビジネスローン会社は多くの顧客を持っているため、キャッシュフロー改善や経営再建のノウハウが蓄積されています。
初動が早ければ早いほど、多くの打ち手が残されていますので、ビジネスローン会社としても、キャッシュフローの改善や経営再建のための提案を行いやすくなります。
リスケの相談はもちろんのこと、キャッシュフローの改善や経営の立て直しのためにも、早めにビジネスローン会社に相談しましょう。

弁護士に相談する

2つ目は、弁護士に相談することです。
リスケが行われるのは、企業経営に何かしらの問題を抱えている場合がほとんどです。そのため、リスケの決定を行った段階で、弁護士に相談するようにしましょう。
リスケをして支払い猶予を得たとしても、キャッシュフローや経営が改善せず、返済の見通しが立たない場合、倒産手続きに入ります。
具体的には、法人の場合は清算や事業再生、個人事業主の場合は自己破産や民事再生の手続きをとることになります。
倒産しても、事業再生ができれば会社は継続できます。

また、個人事業主で自己破産した場合も、再度会社を立ち上げることができます。
ギリギリまで粘るよりも、従業員や取引先のためにも、早めに弁護士に相談し、しかるべき手続きをとるようにしましょう。

ヤミ金を利用しない

3つ目は、ヤミ金を利用しないことです。
前述のとおり、ビジネスローン会社は不払い時に不当な取り立ては行いませんが、ヤミ金対策法に違反することで、貸金業の免許をはく奪されるからです。
ヤミ金業者は、貸金業の登録をしていないため、支払い不能になった場合に違法な取り立てを行ってきます。
また、ヤミ金業者は違法な取り立てだけでなく、貸金業法で定められている「総量規制」「上限金利」「コンプライアンス」なども遵守しません。
過度な借り入れや不当な高金利支払いによって資金繰りが著しく悪化しますので、切羽詰まって手を出すことが無いようにしましょう。

まとめ

ビジネスローン リスケ

本記事では、リスケを検討する際に抑えておくべき3つのポイントなどを解説しました。

 ・ビジネスローン会社に相談する
 ・弁護士に相談する
 ・ヤミ金を利用しない

リスケが行われるのは、企業経営に何かしらの問題を抱えている場合がほとんどです。
事態を過信せず、できるだけ早い段階でビジネスローン会社や弁護士に相談し、キャッシュフローや経営状態の好転に向け注力することが求められます。

また、ビジネスローンが返済能になった場合、不当な取り立ては行われず、あくまで法的手続きに沿った形で取り立て手続きが行われます。
加えて、ビジネスローン返済のリスケは可能であり、半年から1年の間、元本支払いを減らし、利払いだけにすることができます。
リスケを行うと、一時的に元本支払いキャッシュアウトフローが無くなるため、資金繰りが楽になります。
リスケ期間中にキャッシュフローや経営状態を改善するための取り組みに注力し、支払い可能な状態に戻すことが必要です。
加えて、リスケ期間中にどうしてもキャッシュフローや経営状況が改善しない場合、早めに倒産手続きを視野に入れる必要があります。

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