ビジネスローンの返済期間ってどれ位?
ビジネスローンを返済する方法ってどんなものがあるの?
中小企業や個人事業主の方は審査が厳しい銀行から融資を受けられない事が多く、円滑に事業を展開していく資金繰りに困窮するケースが多いです。
そんな時に役立つのがビジネスローン。
ビジネスローンは審査が緩く、かつスピーディーなので早急な資金繰りや繋ぎ資金として容易に利用できます。しかし、ここで気になってくるのがビジネスローンの返済期間や返済方法ですよね。
ビジネスローンは利用先の金融業者によって様々な返済方法が用意されており、返済方法と同様に返済期間も利用する業者により形態は様々です。
この記事ではビジネスローンの返済期間や返済方法について紹介していきたいと思います。ビジネスローンならではの返済方法もありますので、自社に最も合った返済期間や返済方法を利用し、うまくビジネスローンを活用していきましょう。
ビジネスローンの返済期間について
ビジネスローンの返済期間は自分で自由に設定できるようになっています。利用する金融機関により最長期間は異なりますが、基本的には1年~10年での完済が必須となっています。
返済期間を長く設定できるのは毎月の返済負担を抑える事が出来るという利点がある一方、ビジネスローンは金利が高いので返済期間を長く設定しすぎてしまうと余分な金利を支払う事にも繋がります。
毎月の返済負担を抑える為に長めに設定可能
返済期間を長く設定すると毎月の返済額を抑える事が出来ますので、月々の負担を軽減する事が可能です。ゆったりと負担なく自分のペースで返済が出来ますので、ビジネスローンの返済に追われることなく、事業を拡大しながら返済を行う事が可能です。
ビジネスローンの一般的な金利である15%で500万円を借入した場合の返済額シミュレーションを以下で1年、5年、10年と見てみましょう。
- 1年(12ヶ月)⇒月々451,291円
- 5年(60ヶ月)⇒月々118,949円
- 10年(120ヶ月)⇒80,667円
金利15%で500万円のビジネスローンを12ヶ月で返済しようとした場合は月々の支払いが45万円を越える額になりますが、それを10年で返済しようとすると月々の支払いを8万円まで下げる事が可能です。
自社の財務状況に合わせて支払い期間を設定する事が可能であるというのは、ビジネスローンの大きな利点の一つであると言えます。
返済総額の膨らみには要注意
ビジネスローンは通常の融資とは異なり、かなり金利相場が高い事で知られています。銀行融資や公的機関からの資金調達が出来ない会社の受け皿である場合が多いので、ビジネスローンも貸し倒れリスクを防止する為に高い金利設定にしている場合が多いんです。
つまり、高い金利で返済期間まで長く設定してしまうと、返済総額がかなり膨らみます。ビジネスローンの金利相場15%で500万円を借入した場合の返済総額を以下で見てみましょう。
- 1年(12ヶ月)⇒総額5,415,492円(利息分415,492円)
- 5年(60ヶ月)⇒総額7,136,940円(利息分2,136,940円)
- 10年(120ヶ月)⇒総額9,680,040円(利息分4,680,040円)
12ヶ月で支払いが完了する場合は利息分は約40万円ですが、10年の完済を目指す場合は利息分が450万円を超えてきます。月々の支払いは1年の場合は45万円で10年の場合は8万円とかなりの差がありますが、利息分を考えると10倍以上の差があります。
月々の返済額を考えつつ、あまり長すぎる期間を設定してしまうと利息分でかなりの支払いをしなければならなくなるというのは覚えておきましょうね。返済シミュレーションを使って実際に計算してみるのが一番良いと思います。
ビジネスローンの代表的な3つの返済方法を紹介
各種金融機関によってビジネスローンの最長返済方法期間が異なるように、返済方法も金融機関によって取り扱っているものが違います。
その中でも、多くの金融機関が採用している代表的なビジネスローンの返済方法は以下の3つです。
- 元利均等返済
- 残高スライドリボルビング返済
- 元本一括返済方式
それぞれの特徴とメリットデメリットを以下の項目で一つずつ解説していきます。
元利均等返済
元利均等返済とは、借りた元本の返済と利息の合計額が毎回同じ返済額になるように設定された返済方法です。最初の方の返済は利息部分が多くなるように設計されており、返済が進むにつれて返済額の内枠では元本部分が多くなるようになります。
この返済方法は住宅ローンの返済方法でも採用されているものなので、聞き馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
メリット
・月々の返済額が一定なので完済までの計画が立てやすい
・月々の返済額を無理のない額に設定しやすい
何と言ってもメリットは月々の返済額が一定であるという点です。その為、返済までのプランを計画しやすくなっており、毎月の返済額をある程度はこちらで設定できるのも嬉しい所。
デメリット
・元本がなかなか減っていかない
・長期で組むと支払い総額が増える
月々の返済額を固定にしたい場合は向いている返済方法ではありますが、上記でも紹介したように最初の方の支払い内訳はほとんどが利息になりますので、返済期間を長く設定してしまうと元本が中々減らずに返済総額がかなり膨らんでいきます。
利息額を抑えたいと考えている方は、返済期間を短く設定するようにしましょう。
残高スライドリボルビング返済
一般消費者向けのカードローンなどで採用されている返済方法ですが、ビジネスローンでもオリックスなどが採用しているのが残高スライドリボルビング返済という返済方法です。
これは、利用時点の借入残高に応じて毎月の返済額が決まる返済方法の事を指します。
利用直後の残高 | 返済額 |
---|---|
~50万円 | 15000円 |
50万円~100万円 | 25000円 |
100万円~200万円 | 40000円 |
200万円~300万円 | 60000円 |
300万円~400万円 | 70000円 |
400万円~500万円 | 80000円 |
上記は一例ですが、このように利用直後の残高により返済額が少しずつ減少していくというのが残高スライドリボルビング返済の特徴です。
メリット
・残高が減ると毎月の負担が軽減される
・月々の返済負担額が少ない
最大の特徴は何と言っても月々の返済額を抑える事が出来るという点です。返済が進んでいけば最終的には月々の返済はかなり抑える事が出来ますので、月々の支払いに追われるケースが少ないです。
デメリット
・返済額が一定ではないので計画が立てにくい
・元本の減りが遅く利息が膨らむ
元利均等返済とは違い毎月の支払い額が常に一定ではないので完済計画が立てにくく、月々の返済額が少ない変わりに返済は長期に渡るケースが多いので、返済総額が大きく膨らみ多額の利息を支払う事になるというのは大きなデメリットと言えます。
元本一括返済方式
月々の支払いを最大限まで抑えたいという方には元本一括返済方式がオススメ。これは、借入期間の満了日に元本を一括返済するというもので、満了日までの間は利息を支払うのみとなります。
例えば100万円のお金を利息15%で1年間の期限を設けて借りた場合、1年間は利息の15万円を月々返済するだけで大丈夫です。元本の100万円は1年後の期間満了日に一括で支払います。
メリット
・返済に余裕がうまれる
・月々の支払い額を抑える事ができる
満了日まで元本を支払わなくても大丈夫という仕組みになっていますので、満了日まで月々の支払い額を抑える事が出来るというのが最大のメリットです。
デメリット
・期間によっては支払い総額が膨れる
・一括返済しなければならないので用意しておく必要がある
月々の返済を最小限に抑えられる変わりに一括で元本を返済しなければなりませんので、完済までの準備をきちんと整えておかなければなりません。月々支払っていれば完済できる上記2つの方法とは異なり、一括で支払う準備をしておかなければならないというのはデメリットと言えるでしょう。
返済方法から見るビジネスローンの選び方
上記のように多種多様な返済方法があるビジネスローンですが、一体どの返済方法を選ぶのが最も効率的なのかって少し悩んでしまいますよね。ここからはビジネスローンを返済方法の観点から見て、どの方法を選べば良いのかを解説していきたいと思います。
重視すべき点を決める
ビジネスローンの返済方法を選ぶ時に最も重要なのが、自分がどのニーズに重点を置くかを決めるという事です。
- 毎月の返済額を減らしたい
- 完済までの期間を短くしたい
- 返済総額を減らしたい
どのニーズを取るかで返済方法は大きく変わります。毎月の返済額を減らしたいと考えているのであれば月々の返済額を固定にする事が出来る元利均等返済や、残高スライドリボルビング返済を利用し、返済期間を長くする事で大幅に月々の返済額を減らす事が出来ます。
月々の返済額は高くても良いから利息を減らしたいと考えているのであれば、元利均等返済や元本一括返済方式を活用し、返済期間を短く設定する事で利息を大幅に減らす事ができます。その変わりに月々の返済額が高額になっていきます。
どちらを取ってもメリットとデメリットがありますので、まずは自分がどのニーズに重点を置くかを考えて返済方法と返済期間を選択するようにしましょう。
繰り上げ返済がついているかどうかをチェック
上記でも説明したようにビジネスローンの金利は高く設定されています。銀行や公的融資の金利に比べると破格なので、出来ればビジネスローンで借りたお金は銀行融資で返済し、銀行に返済していくという形をとるのが最もベストです。
という訳で、ビジネスローンを借りる場合は繰り上げ返済がついているかどうかを必ずチェックしておくようにしましょう。
ビジネスローンの中には『一部繰り上げ返済』『全額繰り上げ返済』がNGの会社もあります。ビジネスローンからしても金利で儲けたいと考えている訳ですから、まとめて支払いを完了されてしまうともうそこからは金利を得る事が出来ません。
しかし借りる側からすれば金利の安い所へ返済したいですよね。銀行融資が通過しなかったからビジネスローンを借りるという方は多いと思いますが、もしかしたら後で銀行融資が通過するかもしれません。その時に繰り上げ返済不可のビジネスローンを利用していると、銀行融資を受けられるのに高い金利を支払い続けなければなりません。
ビジネスローンを利用する場合は必ず繰り上げ返済がついている返済方法なのかどうかをチェックするようにして下さい。後で損をするか得をするかはここで決まってくるといっても過言ではありません。
返済計画の精度を上げられる元利均等返済
ビジネスローンで最も利用者数が多く、最もオススメしたい返済方法は利息と元本を毎月定額で支払っていく元利均等返済です。
経理管理の中で損益計算や資金繰り計算をしているのであれば、毎月の返済額が一定の方が計画の精度は上がりますし、完済までの綿密なスケジューリングを行う事が可能です。毎月の返済額変動してしまう返済方法を選択してしまうと計画値がズレ、完済までのスケジューリングを立てることが出来ないというデメリットがあります。
中小企業や個人事業主にとって、ビジネスローンから借りた資金を返済していく為の返済計画を立てておく事はとても重要です。元本と利息を同時に定額で返済できる元利均等返済は、多くのビジネスローンで採用していますので使い勝手が良いです。
長期返済を考えている場合は銀行系ビジネスローンがおすすめ
月々の返済額を抑える手っ取り早い方法は返済期間を長くする事です。しかしビジネスローンは金利が高いので、返済期間を長くすると利息が膨れ上がります。
そんな時に考えたいのが銀行系ビジネスローン。少しでも金利を抑える事が出来れば、長いスパンで返済計画を立てていても、かなりの額の利息を抑える事が可能になります。
金利は1%でも大きな差が出る
例えば1000万円の融資であれば、たった1%の金利の差であっても年間10万円もの利息の差が出ます。これは利息であり元本は減りませんので、10年間の長期間で返済しようと考えている場合はトータルで100万円の利息の差が出るという訳です。
たった1%であれば気にしない!と思うのではなく、金利は1%の差を気にしましょう。特に5年や10年などの長期スパンでの返済になると、利息は思っている以上に大きな差が出ます。長期返済を考えてビジネスローンを利用しようと思っている方は、何よりも利息に重点を置いて利用金融機関を選ぶべきです。
銀行系はノンバンクよりも金利が低い
銀行系ビジネスローンとは、銀行の子会社が運営するローン会社の事を指します。例えば、SMBCグループが運営するモビット、SMBCグループが運営するプロミス、三菱UFJフィナンシャルグループのアコムなどが有名です。
これらの銀行系ビジネスローンは、ノンバンク系ビジネスローンと比較して金利相場が安いです。
- 銀行系ビジネスローン⇒5%~10%
- ノンバンク系ビジネスローン⇒10%~18%
このように、銀行系とノンバンク系では全く金利相場が違います。それは母体となっている会社の資産力が違いますので、金利を安く設定できるという特徴があります。
上記でも説明したように、長期スパンで返済を考えている時に最も重要視すべき点は金利です。銀行系ビジネスローンは金利相場が圧倒的に安いので、ビジネスローンを利用する場合は銀行系がオススメという訳です。
銀行系は審査が厳しい
銀行系ビジネスローンの方がノンバンク系よりも金利が安いなら銀行系を皆使えば良いのに…そう思いますよね。しかし、簡単にそうならないのが現状です。
最大の理由は、銀行系ビジネスローンは審査が厳しいという点。
ビジネスローンは審査が甘く気軽に借入する事が出来るものですが、それはノンバンク系に限った話で、銀行系の場合は金利を安く設定している変わりに厳しい審査があります。
しかし、それでも通常の銀行融資と比較すれば圧倒的に審査は甘いですし、賃借対照表で債務超過をしていない場合であれば審査を通過する可能性は高いです。
まとめ
ビジネスローンの選択できる返済期限と、代表的な3つの返済方法や選択方法などを紹介してきましたが参考になりましたか?
個人事業主や中小企業の資金繰りに非常に効果的なビジネスローンは、事業を展開していく上で非常に重要なもので、月々の返済額を抑える事が出来るので便利な一方、金利が高く返済総額が膨れ上がってしまうという注意点もあります。
月々支払い可能な返済額や利息などを計算し、ベストな支払い期間と支払い方法を選択する事で、より効果的にビジネスローンを利用する事が出来ます。
長期返済を考えている場合は銀行系ビジネスローンを使い、銀行融資が通った時の為に繰り上げ返済可のビジネスローンを利用するという事はしっかりと覚えておくようにしましょうね。