国内観測史上最大の地震となった東日本大震災、熊本での地震、最近では台風19号による水害など、日本は島国という土地柄、頻繁に災害に見舞われてしまします。
そのたびに私たち日本人は復興に尽力してきました。そういった背景もあり、日本は災害に関する様々な復興支援や、防災設備・避難経路の確保、または防災街区整備など補助金が多く用意されています。
今回は、個人や自治体が、国から受け取れる防災に関する補助金の以下7つを一覧として紹介して行きます。
①防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金
②緊急消防援助隊設備整備費補助金
③消防防災施設整備費補助金
④消防防災設備整備費補助金
⑤消防防災施設災害復旧費補助金
⑥消防防災設備災害復旧費補助金
⑦原子力災害避難指示区域消防活動費交付金
INDEX
①防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金
防災・省エネまちづくり緊急促進事業は、防災性能や省エネルギー性能の向上といった緊急的な政策課題に対応した質の高い施設建築物等の整備に関する事業に補助金を支給するというものです。
補助対象事業
補助対象事業は、防災性能や省エネルギー性能の向上などの緊急的な政策課題に対応した建築物等の整備に関する事業で、関係地方公共団体が促進を図る必要があると認めるものとなります。
次のいずれかに該当する事業であることが条件です。
⑴市街地再開発事業
⑵優良建築物等整備事業
⑶ 地域優良賃貸住宅整備事業
⑷ 住宅市街地総合整備事業
⑸防災街区整備事業
⑹ 都市再生整備計画事業の交付対象事業
⑺ 地域住宅計画に基づく事業の交付対象事業
⑻認定集約都市開発事業
必須要件
防災・省エネまちづくり緊急促進事業の採択に当たっては、次の各号に掲げる要件に該当する事業が対象となります。
〇次に掲げる高齢者等配慮対策が講じられていること。
⑴住宅部分については、高齢者等配慮対策等級(専用部分)について等級3以上、高齢者等配慮対策等級(共用部分)について等級4以上の基準を満たすこと。
⑵齢者等配慮対策等級(共用部分)の等級4に相当する対策、又は高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき主務省令で定める建築物特定施設の構造及び配置に関する基準に適合すること。
〇次に掲げる子育て対策が講じられていること。
⑴非住宅部分について、託児スペース、授乳スペース、子育てに配慮したトイレ等、子育て支援機能を設置すること。
⑵足がかりの生じない壁仕上げ等、転落事故の防止に配慮した対策が講じられていること。
⑶出入口におけるスロープの設置、階段における子供が使用可能な高さ(概ね 75cm 以下)への手すりの設置等、共用通行部分において子育てに配慮した対策が講じられていること。
選択要件
防災・省エネまちづくり緊急促進事業の採択に当たっては、次の各号に掲げる選択要件に該当する事業を対象となります。
〇防災対策
⑴災害時における帰宅困難者等の一時滞在時の用に供する集会所 50 ㎡以上、防災備蓄倉庫(屋内5㎡以上)の設置等により、災害時における帰宅困難者等の支援拠点として機能すること。
⑵非常時に発生する火災に対して有効に機能する延焼遮断帯の形成に寄与すること。
⑶津波に対して安全な構造であること。
補助金の額
補助対象事業の補助金の額は下記の通りです。
・建設工事費の100 分の3を乗じて得た額
②緊急消防援助隊設備整備費補助金
緊援隊補助金は、消防組織法に定める緊急消防援助隊の設備の整備を促進することを目的とします。
補助対象設備及び基準額等
緊援隊補助金の交付の対象となる緊援隊の設備の基準額は、国が行う補助の対象となる緊急消防援助隊の施設の基準額に定めるところによります。
・補助限度額:9,500万円
特定被災地方公共団体にあっては、補助金の交付申請額の合計額が950万円に満たない場合には、交付決定は行われません。
補助事業の対象者
緊援隊補助金の交付を受けることができる地方公共団体は、市町村(救助消防ヘリコプター、ヘリコプター高度化資機材、ヘリコプター消火用タンク、ヘリコプター用衛星電話、消防救急デジタル無線設備及びヘリコプターテレビ電送システム等にあっては都道府県を含む。)とします。
補助率
緊援隊補助金の補助率は、以下の通りです。
・緊援隊基準額告示に定める基準額の2分の1
③消防防災施設整備費補助金
消防防災施設整備費補助金は、地方公共団体の消防防災施設の整備を促進することを目的とします。
補助対象施設及び基準額等
施設補助金の交付の対象となる消防防災施設及び次条に規定する規格に応ずる種類ごとの基準額は、以下の表の通りです。
補助対象施設及び型(級) | 基準額(千円) | |
耐震性貯水槽 | 40㎥型~300㎥型以上 | 5,486~27,561 |
地上設置40㎥~100㎥型 | 3,641~9,020 | |
飲料水兼用40㎥型~1,500㎥型 | 31,555~253,415 | |
飲料水兼用地上設置40㎥型~100㎥型 | 44,733~51,753 | |
備蓄倉庫(地域防災拠点施設) | 166(1㎡当たりの基準額) | |
防火水槽(林野分) | 3,505 | |
救助活動等拠点施設等 | ヘリコプター離着陸場 | 55,077 |
資機材保管等施設 | 22,759 | |
空中消火等資機材 | 11,550 | |
自家給油施設 | 51,150 | |
画像伝送システム(施設分) | 消防本部地球局施設 | 272,381 |
消防用高所監視施設 | 86,504 | |
広域訓練拠点施設 | 305,556 | |
救急安心センター等整備事業 | 救急安心センター整備事業 | 10,476 |
④消防防災設備整備費補助金
の補助金は、地方公共団体の消防防災設備の整備を促進することを目的とします。
補助対象設備及び基準額等
この補助金の交付の対象となる消防防災設備は、別表第1及び別表第2に掲げるもの又は別表第3に掲げるものとします。
補助対象設備の規格
消防防災設備及び市町村消防設備の規格は、援助隊基準額告示、別表第4に定めるとおりとします。
補助事業の対象者
の補助金の交付を受けることができる地方公共団体は、おおむね市町村が対象となっています。
補助率
補助金の補助率は、予算の範囲内で別表第1及び別表第3に定める基準額の3分の1以内又は別表第2に掲げる設備にあっては補助の対象となる事業費の3分の1以内となります。
別表第1
補助対象設備及び型(級) | 基準額(千円) | |
自主防災組織活性化事業 | 7,698 | |
災害対応特殊消防ポンプ自動車 | 15,969 | |
災害対応特殊水槽付消防ポンプ自動車 | 17,793 | |
災害対応特殊化学消防ポンプ自動車 | 58,590 | |
災害対応特殊はしご付消防ポンプ自動車 | 15m級~38m級 | 64,386~125,292 |
特殊災害対応自動車 | 99,699 | |
救助消防ヘリコプター | 480,000 | |
ヘリコプター高度化資機材 | 105,000 | |
救助消防ヘリコプターテレビ電送システム | 機上設備 | 70,172 |
地上設備 | 150,328 | |
救助工作車 | 37,602 | |
救助用資機材 | 26,130 | |
テロ対策用特殊救助資機材 | 25,407 | |
高度探査装置 | 70,544 |
別表第2
補助対象設備の補助金限度額
別表第3
補助対象設備(市町村消防設備)の基準額
補助対象設備 | 準額(千円 |
消防団総合整備事業 | 52,191 |
⑤消防防災施設災害復旧費補助金
施設復旧補助金は消防の用に供する施設の復旧に要する経費について補助することにより、消防防災施設の整備を促進することを目的とします。
補助対象施設
施設復旧補助金の交付の対象となる消防防災施設は以下の表を参照してください。
補助対象施設 | |
1 | 消防庁(訓練施設及び仮設の消防庁舎を含む。) |
2 | 消防団拠点施設等整備事業(仮設の消防団拠点施設を含む。) |
3 | 耐震性貯水塔 |
4 | 備蓄倉庫(仮設の備蓄倉庫を含む。) |
5 | 防水水槽 |
6 | 林野火災用活動拠点広場 |
7 | 画像伝送システム(施設分) |
8 | 消防救急無線施設 |
9 | 防災行政無線施設 |
10 | 消防指令センター整備事業 |
11 | ヘリコプター離着陸場 |
12 | その他の消防の用に供する施設 |
補助事業の対象者
施設復旧補助金の交付を受けることができる地方公共団体は、特定被災地方公共団体並びに特定被災地方公共団体である市町村の加入する一部事務組合及び広域連合となります。
補助対象経費
消防防災施設災害復旧費補助金の補助対象経費は概ね以下の通りです。
(1)本工事費
(2)附帯工事費
(3)設備費
(4)事務雑費
補助率
消防防災施設災害復旧費補助金の補助率は以下の通りです。
・復興庁から配分された予算の範囲内が補助対象で、補助率は経費の3分の2以内となります。
⑥消防防災設備災害復旧費補助金
設備復旧補助金は、災害後の施設の復旧に要する経費について補助することにより、消防防災設備の整備を促進することを目的とします。
補助対象設備
設備復旧補助金の補助対象設備は概ね以下の通りです。
・救助工作車
・はしご付消防ポンプ自動車
・大型高所放水車
・海水利用型消防水利システム
・自然水利活用遠距離送水システム
・林野火災工作車
・消防艇
・救助用資機材
・高度探査装置
・テロ対策用特殊救助資機材
・震災初動対応資機材
・震度情報ネットワークシステム
補助事業の対象者
設備復旧補助金の交付を受けることができる地方公共団体は、特定被災地方公共団体並びに特定被災地方公共団体である市町村の加入する一部事務組合及び広域連合となります。
補助対象経費
設備復旧補助金の補助対象経費は以下の通りです。
・補助対象設備にかかる経費
補助率
設備復旧補助金の補助率は下記の通りです。
・復興庁から配分された予算の範囲内で補助対象経費の3分の2以内
⑦原子力災害避難指示区域消防活動費交付金
原子力災害避難指示区域消防活動費交付金は、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所事故の発生に伴い設定された避難指示区域を管轄する消防本部の的確かつ迅速な消防活動を確保します。
それに伴い、緊急消防援助隊、福島県内の市町村の区域を管轄する消防本部又は都道府県による適切な消防活動の応援・補助金等により被害の軽減を図ることを目的とします。
交付金の対象経費
交付金の交付の対象となる経費は、以下の通りです。
⑴消防活動のために必要な消防用自動車及び資機材の購入費、賃借料、消耗品費並びに委託料
⑵福島県内の消防本部の人員及び施設により構成される部隊が、避難指示区域において行う消防活動の応援等に要する費用のうち、次に掲げるものが対象経費となります。
〇手当
・特殊勤務手当
・時間外勤務手当
・管理職員特別勤務手当
・夜間勤務手当
・休日勤務手当
〇旅費
・鉄道賃
・航空賃
・船賃
・日当
・宿泊費、食卓料
〇特殊車両など
・消防用自動車、ヘリコプター、消防艇又は資機材その他の消防の用に供する施設の修繕費
・役務費(点検費、運搬費又は除染に要する経費等。)
・燃料費
・消耗品費キ使用料及び賃借料
・食糧費(日当、宿泊費又は食卓料が支給されている場合を除く。)
・物件費
交付金の額
原子力災害避難指示区域消防活動費交付金の交付金の額は以下の通りです。
・交付対象経費の全部に相当する額
まとめ
ここまで個人や自治体が国から受け取れる防災に関する補助金の7つを一覧として紹介していきました。
災害に備えて、または災害後の施設の復旧などの補助金があることが分かりました。
国は、特殊車両・ヘリコプターなどを駆使して被災者の救援に全力であたります。
しかし、それでも被災者を全員助けられるか、というと残念ながらそうもいきません。
事実、阪神淡路大震災の時は、つぶされた家屋からの救助は、国や自治体からのつぶされた家屋からの救助の割合は1.7%で、とても低いのが現状でした。
その教訓から、国ではいざというときのために消防援助隊設備整備を行っており、要救助者を一早く助けるための制度を拡充させています。
しかし、やはり自分の身は自分で守る、という「自助」がとても大切ですので、個人でも常日頃から防災対策をしておくことが大切です。