住宅ローンを借りる場合、返済期間に応じて毎月同じ金額を返済するのが基本的な返済方法ですが、ボーナス払いという支払い方法は聞いたことがあるかと思います。
会社勤めをしているとボーナスが支給される職場があり、夏と冬で年に2回ボーナスが貰える所が多いです。
ボーナス払いは、仕事のボーナスが貰える月だけ返済金額を増やして返済する方法です。
そんなボーナス払いを実際に活用する前に、メリットとデメリットは何かを一緒に見ていきましょう。
ボーナス払いのメリット
ボーナスを貰った際に、ローンの返済額を増やして返済するボーナス払いですが、ボーナス払いには以下2つのメリットが考えられます。
・毎月返済する金額を減らすこと
・返済期間が短くなること
それぞれのメリットを具体的に解説していくので、ボーナス払いのメリットを理解しましょう。
メリット①月の返済額を安くできる
上記でも説明した通り、ボーナス払いは仕事でボーナスが手に入った月には金額を増やして返済する方法です。
ボーナスがある月には他の月の返済金額よりも多く支払うことで、毎月の返済金額を減らすことができるのがメリットです。
もちろんですが、ボーナスがある会社に勤めている人向けの返済方法ですね。
毎月の出費を抑えたい人や、他にもローンがあるため毎月それなりの出費が重なる人には、毎月の返済金額を軽減することもできます。
「ローンの返済を毎月給料のみで返済するか?」
「夏と冬の年2回には金額を増やしてまとめて返済するか?」
自分が勤めている会社や給料、家庭の事情等によってどちらが良いかが変わりますね。
メリット②返済期間が短くなる
年に2回のボーナスには大きい金額にして返済するため、残りの返済金額を少なくすることができます。
できるだけローンを早く返済したい方にとってはメリットとなるでしょう。
ボーナス払いはデメリットが多い?
ボーナス払いのメリットを解説しましたが、必ずしもメリットになるとは言えません。
具体的なことは次の項目から解説しますが、ボーナス払いを選ぶと総返済額が増えてしまい、デメリットの方が多いのです。
デメリット①利子の負担が増加
ボーナス払いは月々の返済金額が少なくなる分、元金が減らないため利子が増えてしまいます。
ボーナス払いを選ぶと返済期間が短くなりますが、ボーナス払いは12ヶ月中、2ヶ月しか返済できません。
残り10ヶ月分の支払いをしない分、利子がどんどん大きくなり、実は毎月払いよりボーナス払いの方が総返済額が増大になってしまいます。
毎月の返済金額を抑えることができますが、金利の負担が大きくなってしまうことも忘れないようにしましょう。
なぜ利子が増えるの?
ボーナス払いを選んだ方が毎月払いよりも、毎月返済金額を数万円くらい減らすことができます。
ただし、上記でもお話しましたが、ボーナスは12ヶ月のうち2ヶ月のみ返済し、残りの10ヶ月分の利子が溜まり結果的に利子が高額になってしまいます。
入りし額は毎月、元本の残債額に利率をかけて計算します。
毎月払いにすれば元本が減っていき、利子も毎月減ります。
一方ボーナス払いは、年2回の支払いで返済回数が少ないため、返済がない長期間の間に余計な利子も発生してしまうのです。
ボーナス払いを選んでも毎月返済をしていきますが、ボーナス月以外の毎月返済金額は、ボーナス返済無しよりも少額になるため、ボーナス返済無しよりも利子額が増えてしまいます。
デメリット②返済できなくなるケースも
ボーナス払いを選ぶ際、勤務先の就業規則・給与規定を確認しておきましょう。
会社の業績が悪くなってボーナスが貰えなくなる可能性もゼロではありません。
実際に、ボーナスが大幅にカットされてしまってボーナス払いができなくなった人もいます。
住宅ローンは家計の費用の中でも高額な出費になるため、返済計画が変わってしまうと家計が悪い方向へ急変してしまい、最悪マイホームを手放すことになりかねません。
公務員・大企業の正社員に勤めている人は安定してボーナスが貰えるため、ボーナス払いの選択もありです。
返済を続けることができなくなるリスクが高い点が大きなデメリットでしょう。
毎月払いとボーナス払いの違いは何?
借入額・固定金利が同じで、毎月払いとボーナス払いと比較してみましょう。
まず、ボーナス払いには以下の2つの方法があります。
①ボーナス月の返済時に返済金額を増やす方法
②予めボーナス払いで返済する金額を決めておく方法
例えば、
・借入額が3,000万円
・金利は1.0%の固定金利
・返済期間35年間の元利均等返済方式
の住宅ローンを組んだとして、毎月払いとボーナス払いを比較していきます。
①ボーナス月の返済時に返済金額を増やす方法
①のボーナス払いにすると、ボーナス月約15万円の返済、他の月は月々約60,000円を返済するということになります。
利子総額は約558万5,900円です。
②予めボーナス払いで返済する金額を決めておく方法
②のボーナス払いにすると、融資額3,000万円のうち1,000万円を年2回のボーナス払いで返済します。
残りの2,000円は毎月払いで返済していきます。
すると、ボーナス月は約17万円の返済、他の月では月々約56,000円返済することになります。
利子総額は約558万8,300円です。
ボーナス払い無しで毎月払い
毎月払いでボーナス払い無しにすると、毎月約84,000円返済することになります。
利子総額は約556万7,800円になり、ボーナス払い①と②と比べると利子を数万円抑えることができます。
毎月払いのメリット
毎月払いのメリットはやはり、ボーナス払いよりも利子を安くできる点で、結果的に支払総額が安いです。
ボーナス払いのように、金額増大する月にボーナスが出なかったとしてもリスクは低めです。
失業や収入減少等がない限り、安定して毎月返済することができるでしょう。
毎月払いのデメリット
毎月払いはボーナス払いのように、ある月に大きい金額をまとめて返済する方法ではないため、融資額が多ければ多いほど返済期間が長いです。
さらに、ボーナス払いと比べると毎月の返済金額が多く、毎月の出費が大幅に増えてしまうのもデメリットですね。
月々の返済額を抑えるならボーナス払いがおすすめ
ボーナス払いは毎月均等払いの負債総額を減らすことができるため、毎月返済金額も少なくなります。
そのため、毎月の出費を抑えるならボーナス払いがおすすめです。
住宅ローンのボーナス払いの罠
ここまで解説してきたデメリットの他にも、気を付けてほしい点があります。
もし、今後住宅ローンを組む予定がある人は業界の罠にかからないために、次のことも覚えておいてください。
なぜ広告は変動金利でボーナス払いが多い?
ボーナス払いはデメリットが多いですが、アパート等の広告では「変動金利でボーナス払い」が前提になっている所が多いです。
その理由は、少しでも支払いを安く見せるためだと思います。
こう言った広告ではよく「毎月、家賃並みの返済金額で購入できる」とセールスポイントにしています。
実際に毎月の返済金額も記載されていることもあり、見てみると確かに毎月の返済金額は家賃並みで、一見お得で良さそうに見えます。
ですが、実際はボーナス払いで、ボーナス月には大きい金額を返済しなければならないことが多いです。
そんな重要なことは大きく書かれていなかったりします。
「家賃並みの返済金額で購入できる」は、相手にお得感を示して関心を引かせるためだと思います。
軽い気持ちでボーナス払いをしてはいけない
ボーナス払いにする理由が「月々の返済金額を抑えて、ボーナス月に多く返済する方法しか住宅ローンを支払えないから」なら、ハッキリ言ってやめた方が良いでしょう。
銀行側は借りられる金額の限界まで貸してくれますが、実際に家計に負担をかけることなく返済していけるローンの金額はそれよりかなり少なくなります。
ボーナス払いしか返済できない状況は、返済できる金額を超えていて、借りられる金額ギリギリまで銀行からお金を借りているということでしょう。
そんな状況では、もしもケガや病気で病院に行くことになった等になれば、返済金額・生活費等が大ピンチになってしまいます。
実際に住宅ローンを滞納する人や破綻してしまった人がたくさんいます。
破綻して競売にまでなってしまった件数は、年間20,000件近くになったことも。
「大丈夫」と軽い気持ちでローンを組むと大変なことになってしまう可能性が高いため、決して他人事ではないということを理解してほしいです。
ボーナス払いが困難になったらどうすればいい?
もしもボーナス払いを続けることができなくなってしまった場合、できるだけ早くローンを契約している金融機関に相談しましょう。
返済方法を変更してもらったり、おすすめの方法等サポートしてくれます。
返済方法を変更する時、金融機関によっては手数料が必要になったり、審査によっては受け入れてもらえないケースもあります。
返済方法を変更できない場合
多くの金融機関は返済方法の変更手続きを対応してくれますが、必ずしも返済方法を変更してもらえるわけではありません。
変更ができない場合、毎月の給与の中からボーナス払い分を貯蓄して返済するようにする必要があります。
ボーナス払いをやめて毎月払いのみに変更できるか、契約前に確認してみることをおすすめします。
まとめ
以上、ボーナス払いのメリットとデメリットについて解説してきました。
以下の2つに当てはまる人はボーナス払いにするのもおすすめです。
①安定したボーナスが出る会社に勤めている
②他にもローンを組んでいて、毎月の出費がかさむ
ただし、ボーナス払いにする際に以下のことをよく注意し、計画を立てて契約しましょう。
①毎月払いと比べて利子額が増える
②広告等にある「毎月、家賃並みの返済金額で購入できる」と言った甘言につられないようにする。実際はボーナス払いになる可能性が高い。
③業績悪化等でボーナスが出ず返済できなくなるリスクがある
ボーナス払いは、会社のボーナスが非常に重要になってきます。
ボーナス払いはメリット・デメリットがあり、危険な支払い方法になることもあるということを忘れないようにしましょう。