
通信や放送のサービスは誰もが平等に利用できることが望ましいですが、身体障害者の方が既存のサービスを利用するには困難な部分が残されているのではないでしょうか?
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、「誰もが等しく通信や放送のサービスを利用できる環境を整備」するための令和3年度情報バリアフリー事業助成金が設けられています。
身体障害者がスムーズに利用できるようになるための、機器の開発やサービス提供等を行う事業に対しての支援となる助成金となっていますので、これらの事業を行っているのなら、令和3年度情報バリアフリー事業助成金をご活用ください。
こちらの記事では、令和3年度情報バリアフリー事業助成金を詳しく解説していきます。
令和3年度情報バリアフリー事業助成金
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)で実施している令和3年度情報バリアフリー事業助成金は、身体障害者向けの情報通信利用の利便増進を図るために設けられた助成金です。
身体障害者向け通信・放送サービスの充実を図ることで、身体障害者が安心して暮らせると同時に、社会参加を果たすことができる環境の整備に資することを目的とし設けられました。
身体障害者向け通信・放送役務の提供、又は開発を行う対象事業者に対して、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がその資金の一部を助成しています。
◆公募期間
令和3年2月5日(金)~令和3年4月2日(金)17:00まで
助成交付対象となる要件
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の助成対象となるには、下記の1~5を満たす必要があります。
・他の研究開発助成金と違い、身体障害者向けのサービスを提供することが前提ですが、サービス提供主体が民間企業である場合には、原則として中小企業が対象となります。
1.助成対象事業を的確に遂行するに足る能力を有すること。
2.助成対象事業の内容が次の各要件に合致すること。
①有益性: 提供又は開発される通信・放送役務が、身体障害者の利便の増進に著しく寄与するものであること。
②波及性: 提供又は開発される通信・放送役務に関する身体障害者のニーズが高く(注1)、事業実施の効果が全国的に広く及ぶものであること。
③技術の適格性: 提供される通信・放送役務の内容に照らし、また技術の進展状況・普及状況から、効率的・効果的な技術が使用されていること。
3.助成対象事業に係る資金調達が自己のみによっては困難であること。
4.助成対象事業を的確に遂行するのに必要な経費のうち、自己負担分の調達に関して十分な能力を有すること。
5.助成対象事業に係る経理その他の事務について的確な管理体制及び処理能力を有すること。
「 ニーズの高さについて」
・具体的、客観的に説明されており、また、その根拠を示す資料の添付が必要です。
「自己のみによる資金調達について」
・当面は困難であっても、3年目程度を目途(最長5年)とした事業拡大等による自立化に向けての取組内容を示す資料の添付が必要です。
・前年度から継続して申請する事業については、自立化に向けた取組実績を併せて記載してください。
助成対象
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の助成の対象となるものは、下記の通りとなります。
◆身体上の障害のために利用に支障が生じている通信・放送役務について、身体障害者がこれを円滑に利用できるようにするための通信・放送役務の提供又は開発
・ただし、開発だけを目的とするものは対象外となり、身体障害者の利便の増進に著しく寄与するものが対象となります。
・字幕番組、解説番組などの放送番組の制作に係るものも別の助成金で対応しているため、助成金の対象外となっています。
補助対象経費
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の補助対象となる経費は、助成対象期間(助成金の交付決定の日から当該年度の末日まで)において発生かつ支出された経費です。
経費の詳細は、下記の表の通りとなりますので、ご確認ください。
費目 | 助成対象経費の範囲 | |
Ⅰ 機械装置等購入費 | 助成対象事業に必要な機械装置(電子計算機を含む。)及び工具器具備品(耐用年数1年以内のものを除く。)の購入、製造、改造、借用、修繕又は裾付けに必要な経費。 | |
Ⅱ 外注費・委託費 | 助成対象事業に必要な機械装置の設計、試作品の試験若しくは評価又はソフトウェアの制作等の外注又は委託に必要な経費。 | |
Ⅲ 労務費 | 助成対象事業に直接従事する職員等に対する人件費。各々の人件費は基本給のほか、賞与、家族手当、住宅手当及び法定福利費を含むが退職金は除く。 | |
Ⅳ その他の経費 | 1.消耗品費 | 助成事業を行うために直接必要な材料及び消耗品費。 試作品の製造に必要な経費を含む。 |
2.諸経費 | 助成事業を行うために直接必要な旅費、文献購入、コンピュータ使用料、運送費、賃貸料その他事業に必要な経費として機構が認めた経費。 |
助成額
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の助成限度額は、下記の通りとなります。
◆助成限度額 助成対象経費の2分の1
・助成金は、助成対象経費として妥当であると判断された経費の全額に対して支払われるものでありません。
助成対象経費の額の2分の1の額が限度額となっています。
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の応募方法
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の応募方法は、メールによる申請と、補助金申請システム(Jグランツ)による方法があります。
メールによる申請方法
メールによる申請方法は、応募案内の記載要領に従い、所定の書式に必要事項を記入し、作成された申請書類は、下記の 提出先の送付先に電子ファイルで送付します。
電子ファイルでの送付が困難な場合は、郵送で受付を行っています。
・郵送の場合は、送付用の封筒等の表面に「情報バリアフリー事業助成金申請書在中」と朱書きしてください。
応募案内、申請書類及び交付要綱は、下記のWebページからダウンロードしてください。
情報バリアフリー事業助成金(情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金
◆提出先
令和3年度情報バリアフリー事業助成金
【送付先】kakusaアットマークml.nict.go.jp
【窓口】 〒184-8795 東京都小金井市貫井北町4-2-1
国立研究開発法人情報通信研究機構
デプロイメント推進部門 情報バリアフリー推進室 宛
補助金申請システム(Jグランツ)による申請方法
補助金申請システム(Jグランツ)による申請は、下記の補助金申請システム(Jグランツ)での申請が可能となっています。
なお、申請にはGビズIDのgBizIDプライムが必要ですので、事前にGビズIDのgBizIDプライムを取得しておきましょう。
申請に必要な書類
令和3年度情報バリアフリー事業助成金に必要となる書類(申請書類)は、下記の通りとなっています。
①情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金交付申請書(様式第1)
②上記の申請書の添付書類
・ 添付書類1(助成対象事業総括表)
・添付書類2-1(申請者概要説明書)
・添付書類2-2(株主等一覧表)
・添付書類2-3(経営状況表)
・添付書類3(提供又は開発する通信・放送役務の内容等説明書。)
なお、添付書類とは別に次の資料を添付します。
◆「利用者のニーズが高いことの具体的、客観的な説明」及び、「その根拠を示す資料 」
◆年度内の役務提供についての具体的な実施計画(具体的な作業項目とスケジュール、役
務提供開始時期等が判る具体的な計画表)、及び、成果内容を記載した資料
◆自立化に向けた具体的な取り組み内容を示す資料
・添付書類4(説明図)
・添付書類5(助成対象経費等説明書)
・添付書類とは別に、積算表の各品名ごとに更にその内訳(発注単位等の具体的な品目)毎の単価、数量、合計額等、費用算出の根拠となる詳細資料を添付します。
・単価については見積書を添付し、無いものについては単価の根拠を示し、労務費単価の根拠資料(想定している体制表、各担当者ごとの費用見込(単価、時間、合計額)の資料)も添付します。
◆添付書類として必要な財務諸表(貸借対照表、損益計算書、一般管理費及び利益金処分
(損失金処理)計算書(注)(ある場合))を3期分
・ 平成18年5月期決算以降の会社法適用分は、対応の計算書類及び附属明細書の写し
◆ 添付資料として必要なパンフレット
なお、サイズは原則として日本工業規格A判(A4判)を使用し、パンフレット、財務諸表等で大きさが異なる場合は、A4判のサイズにして提出します。
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の注意事項
令和3年度情報バリアフリー事業助成金の注意事項は、下記の通りとなりますので、申請する前に確認しておいてください。
◆受理した申請書類は原則として返却しません。情報通信研究機構からの問い合わせに際
して必要となりますので、必ず手元に原本を保存しておいて下さい。
◆申請された助成対象事業について、情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助
成金交付申請書(様式第1)に記載の申請者名、所在地(都道府県名)及び助成対象事業の
名称を公表することがあります。
◆郵送で応募される場合は、送付途上での紛失、事故等による未着、到着の遅れ等も予想
されるため、書留郵便を利用してください。
◆申請書類に不備があった場合、応募期間中(締切りまで)であれば、書類の差し替え、
修正等に応じます。お気づきの場合は、まず速やかに下記の連絡先にご一報下さい。
また、情報通信研究機構において申請書の不備を見つけた場合、担当から連絡がきますので、速やかに差し替え、修正を行ってください。
◆審査の途中経過に関するお問い合わせには、一切応じていません。
まとめ
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が実施している令和3年度情報バリアフリー事業助成金について、助成対象となる要件、補助対象経費、助成額、応募方法、注意事項について、まとめてご紹介してきました。
「誰もが等しく通信や放送のサービスを利用できる環境を整備」する令和3年度情報バリアフリー事業助成金は、身体障害者のための通信、放送役務の提供、開発を目的とした大切な事業です。
これらの事業を行っているのなら、資金調達として活用できる令和3年度情報バリアフリー事業助成金をぜひご活用ください。