バリアフリー 宿泊施設

宿泊施設をバリアフリーにした際に補助金対象となる3つの工事を解説

補助金

2000年代では、乗降者数が多い駅にはエレベーターが普及したり、旅行会社が車椅子旅行ツアーを開催する等バリアフリー化が進んでいます。
車椅子の利用環境はどんどん改善している中、悩まされているのが宿泊施設です。
バリアフリー対応の宿泊施設はコストの問題があり、なかなか対応できていないのです。
ホテル・旅館もバリアフリー化を促進するために、支援する補助金を実施しています。

宿泊施設バリアフリー化促進事業とは?

バリアフリー 宿泊施設

ホテル・旅館等の宿泊施設がインバウンド受入環境整備の取り組みを応援するのが「宿泊施設バリアフリー化促進事業」です。
新型コロナウイルス感染拡大防止期間中ですが、将来の観光地を以前よりも快適な環境に整備する取り組みに支援します。
バリアフリー化で誰もが満足するホテル・旅館にすることが大切ですね。

補助対象

バリアフリー 宿泊施設

補助金を支給してもらうには次の項目で解説するものに当てはまっている必要があります。
宿泊施設バリアフリー化促進事業の対象になるホテル・旅館と対象者を順に解説していきます。

対象の事業者

「旅行業法の営業許可を得た宿泊事業者」です。
つまり、営業の許可を得ているホテル・旅館を経営する事業者のことです。
営業するには必ず許可を得る必要があるため、宿泊施設の事業者は気にする点ではないでしょう。

宿泊施設の規模に制限はあるの?

宿泊施設の規模に制限はありません。
小さな宿泊施設であろうと関係なく補助金を支給してもらえます。

簡易宿所

簡易宿所も対象になります。
ただし、応募申請書類として旅館業法営業許可証のコピーが必要になるため用意しておきましょう。

補助対象外の宿泊施設は?

宿泊施設を経営する事業者なら補助金を支給してもらえますが、全てのホテル・旅館が対象になるわけではないためそちらも見ていきましょう。
補助対象外は以下になります。

①これから新しく建てる宿泊施設
②住宅宿泊事業に係る住宅
③特区民泊・イベント民泊に係る施設
④店舗型性風俗特殊営業を形成する事業者

補助金の募集が始まっている時点で旅館業法の営業許可を取得してる必要があるため、以上は補助対象外になってしまいます。
また、店舗型性風俗特殊営業を経営する事業者も対象外なので注意してください。

対象事業と補助金額

バリアフリー 宿泊施設

ホテル・旅館の宿泊者が車椅子でも安全・快適な環境に整備する補助対象事業は、以下の3つに分かれます。

①客室の必要最低限の改修等
②共用部の改修等
③客室の大きぼ改修等

それぞれ3つの実施によって補助金額が異なります。
続いては、各3つの実施は具体的に何か?と補助金額がいくらか?を解説します。

①客室の必要最低限の改修等

手すりを設置したり、車椅子用に段差をなくすなど、一般客室をレベルアップした環境にすることです。
まだバリアフリー化を一切実施していない施設ならば①は行うのが良いでしょう。
実施すると、定額補助で最大100万円まで補助してもらえます。
100万円の補助金で活用できる改修は、

①出入り口の段差解消
②開口幅の拡大・引き戸の設置
③車椅子使用者が利用可能な洗面台の設置
④手すりの設置
⑤視覚障害者対応
⑥車椅子が利用できるように床を工事する

等があります。
他にもあるため、ご自分が経営しているホテル・旅館で改修すべき部分を探してみてください。

②共用部の改修等

段差の解消でスロープを設置したり、大きい宿泊施設ならばエレベーターを設置する等といった共用スペースの環境改善です。
補助金額は、実際にかかった費用の2分の1を補助率として最大500万円まで支給してもらえます。

③客室の大規模改修等

新しく車椅子使用者専用の客室を作るといった大規模な改修のことです。
3つの中では1番大きな環境改善ですね。
補助金額は実際にかかった費用の2分の1で、最大500万円まで支援してくれます。
②と③どちらかを実施、または②と③両方を実施、どちらでも構いません。
ただし、両方を実施したとしても最大500万円の補助金額になります。

バリアフリー化を取り組んだ施設の例

設置・床を工事・段差をなくす等が補助対象ですが、他の宿泊施設ではどの部分を工事したのだろう?と気になるところだと思います。
続いては、補助金を活用した宿泊施設のバリアフリー化の例を解説します。
実際にバリアフリー化する際の参考にしてください。

ホテルのバリアフリー化の事例

ホテルでは、「③客室の大規模改修等」を活用してすると以下の改修がおすすめです。

①外観にスロープを設置
②客室・和室・寝室は車椅子でもそのまま利用可能
③部屋だけでなく、トイレ・洗面台・浴室も車椅子利用できるようにスペースを確保し、手すりを設置
④車椅子から移乗しやすいセミダブルベッドを設置
④客室通路は段差がないスペースを確保

以上の5点です。
バリアフリーの客室では車椅子・一般の方、どちらでも利用できるようにします。
車椅子でも快適に移動できるようにスペースを広くしたり、段差をなくすのが重要ですね。

旅館のバリアフリー化の事例

バリアフリー 宿泊施設

旅館のバリアフリー化は以下がおすすめです。

①客室にスロープを設置
②車椅子対応の畳とベッドに変える
③車椅子使用者に配慮された高さのテーブル・椅子に変える
④段差がない広いスペースを確保
⑤オストメイト完備にした、車椅子でも利用できる多目的トイレ

以上の5点です。
トイレは車椅子でも入れるように広くし、オストメイトを備えることで誰でも安心して利用できるようになります。
食堂を車椅子対応可能なテーブルタイプの個室型食堂に改修するのもおすすめです。

露天風呂付き客室の事例

バリアフリー 宿泊施設

宿泊施設の中には客室内に半露天風呂がある所もあります。
そんな施設もバリアフリー半露天風呂付き客室へ改修することもできます。

①車椅子の高さに合わせた露天風呂に改修
②車椅子の方が利用できるベッド・床に変える
といった2点の改修もありです。

事業はいつから開始して良い?

バリアフリー 宿泊施設

申請して補助金の交付決定をいただいた後に工事を開始できます。
もし交付決定する前に開始してしまった場合は、補助金を支払うことができなくなってしまうため十分に注意してください。
申請から工事開始して良い時までの流れは以下になります。

①事業計画認定申請をする
②国土交通大臣から計画認定通知がくる
③補助金交付申請をする
④補助金交付決定の通知がくる
⑤工事開始

事業計画認定を申請してから補助金交付決定の通知が送られてくるまで、約2ヶ月かかります。

その他のバリアフリー補助金を紹介

バリアフリー 宿泊施設

一般家庭の中には高齢者が住みやすい家に変えるバリアフリー化を考えている人もいると思います。
バリアフリーにリフォームする際に補助金制度も知っておくことをおすすめします。
補助金を活用すれば費用が一部還ってくるため、お得にリフォームできます。
次は、宿泊施設を経営する事業者だけでなく、バリアフリーに活用できる補助金を紹介します。

高齢者住宅改修費用助成制度

自宅に手すり設置等のバリアフリー化で住宅改修をした時、実際にかかる住宅改修費の9割を補助してもらえます。
支給限度基準額20万円の9割、18万円が最大金額です。
要支援・要介護の認定を受けている人が対象です。
支給してもらうには、工事前に申請手続きを必ずしましょう。
まずはケアマネージャーに相談するか、市町村の介護保険担当課へ相談します。

住宅改修の事例

バリアフリー 宿泊施設

①手すりの設置
②段差をなくす
③滑り防止・移動の円滑化等のために床を変える
④引き戸等への扉を取り替える
⑤様式便器等を取り替える

以上の5点以外にも、バリアフリーのために必要となる住宅改修も支給してもらえます。

バリアフリー工事で減税制度も可能

平成21年度から新たに導入され、バリアフリー工事をした時に所得税を還付できるようになる減税制度も制度です。
例えば住宅ローンの場合、確定申告をすることで工事費用の年末ローン残高の2%、または1%の所得税額が5年間控除されます。
そうすることで、最大62万5,000円のバリアフリー減税を受けることができるのです。
素晴らしい減税ですが、築年数や住宅ローンによって支給条件が異なるのがややこしい所です。

どんなリフォームが減税対象になるの?

以下のことに当てはまっていて条件が揃っていれば、工事費用の最大9割を支給してもらうこともできます。
工事前によく確認しておくことを強くおすすめします。

①通路・出入口のスペースを広くする
②介護しやすいように浴室の床面積を広くする
③トイレを洋式便器にする
④転倒防止で床を変える
⑤廊下・トイレ・浴室等の段差をなくす

①通路・出入口のスペースを広くする

車椅子でも通行できるようにするために、廊下・通路・出入口のスペースを広くします。
車椅子使用者には使いにくい開き戸を引き戸・折り戸・アコーディオンカーテン等に取り替えたり、移動や移乗動作の工事です。

②介護しやすいように浴室の床面積を広くする

介護が必要な場合、浴室のスペースを広くすることも大切です。
その他、出入口を工事したり浴槽を低くしたり、固定式の移乗台・踏み台を設置する工事も対象になります。

③トイレを洋式便器にする

和式便器から洋式便器に変える工事が対象です。
古い洋式便器を新しい洋式便器に変える工事は対象外です。

④転倒防止で床を変える

玄関・畳・浴室・トイレ・脱衣所等の床材を滑りにくいものに変える工事です。
滑りやすい床・車椅子が使いづらい床をフローリングや固い素材の床に取り換える工事が対象です。

⑤廊下・トイレ・浴室等の段差をなくす

敷居を低くしたり、つまずきやすい引き戸のレールをなくしたり、段差をスロープにする等の工事です。
ただし、昇降機・リフト等の動力を使用する機器の設置は対象外です。

まとめ

以上、宿泊施設バリアフリー化と住宅のバリアフリーに関する補助金を紹介しました。
宿泊施設バリアフリー化促進事業を活用すれば、

①工事費用を一部、最大100万~500万円支援してもらえる
②車椅子使用者も安心して宿泊できるようになる
③環境改善することで以前より好評になる

住宅でバリアフリー化をすれば介護しやすくなり、介護される側も快適な生活ができるようになります。
ホテル・旅館のバリアフリー化はまだあまり進んでいませんが、補助金をきっかけにバリアフリーの取り組みを実施してみてはいかがでしょうか?

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