銀行 借り入れ 金利

銀行を始めとした3つの借り入れ方法と金利の違いを徹底比較

融資

事業をスタートさせる際に、大きな壁となってくるのが資金不足です。
起業資金の全てを自己資金で賄うことは難しく、どうしても資金の調達が必要となってきます。

資金不足を解消する方法として、銀行などの金融機関から資金を借り入れることが考えられますが、金利の高さに不安を感じる方も多いのではないでしょうか?

そこで、こちらの記事では借り入れを行う際の金利について、銀行の金利設定、金利決定する4つの要素、借入方法別の金利相場など、詳しく解説していきます。
金利について不安や疑問を感じている方は、ぜひご覧になってみてください。

銀行の借り入れ金利設定

銀行 借り入れ 金利

金利は、どのような会社に対しても同じではなく、会社の信用度や返済期間、借入金額によって大きく変わってきます。
銀行の利益にもかかわるため、会社ごとに合った金利を設定することになるのです。

【金利を決定する方法】
◆銀行の調達金利+銀行の経費+会社の貸し倒れリスク+銀行の利益=金利

このような項目が加算されて、各会社ごとの金利が決まります。
項目の合計が増えるほど金利は高くなり、合計が低くなれば金利も低く抑えることができるということです。

金利決定する4つの要素

銀行 借り入れ 金利

金利を決定するにあたって上記の「銀行の調達金利」「銀行の経費」「会社の貸し倒れリスク」「銀行の利益」の4つの要素がポイントとなります。
それぞれの要素について、ひとつずつ確認していきましょう。

銀行の調達金利

銀行から融資を受けることになりますが、実は銀行から借り入れているお金は、銀行自身が持っている自己資金ではありません。

銀行は預金者などから預かっているお金を、会社の融資などに又貸ししている形となります。
そのため、銀行も借りているお金に対して利息を支払うことになり、「銀行の調達金利」でその利息を補っているのです。

銀行の経費

銀行は金利で得た収入から、人件費や諸経費を払わなければなりません。
融資の利息で、それらの経費を補います。

企業の貸し倒れリスク

「企業の貸し倒れリスク」とは、貸し出す会社に対しての信用度です。
会社の信用度が低いと、倒産の危険が高い見なされて高い金利設定をおこなうことになります。
もしも、会社が貸し倒れしたときに生じるリスクをカバーするために、金利にその分が上乗となるのです。

銀行の利益

「融資の金利」は、銀行にとって最も大きな収益となる部分ですので、銀行は金利を上乗せし純粋な収入につなげようと考えています。
「銀行の利益」は、銀行が慎重に定めている部分です。

融資を受ける3つの方法

銀行 借り入れ 金利

金利を決定するための基本的な原則は上記で記した通りですが、借り入れる先によっても金利の相場は違ってきます。

借り入れる方法としては、預金を取り扱っている「民間の金融機関」、政府系の金融機関である「日本政策金融公庫」、また預金を取り扱わない「預金を取り扱わない金融機関」の3つの方法があげられます。

【融資を受ける3つの方法】

①日本政策金融公庫:政府系の金融機関

②民間の金融機関:都市銀行、地方銀行、信用金庫など

③預金を取り扱わない金融機関:消費者金融、信販会社など

上記の3つの方法に関しても、原則に沿っている点では変わりませんが、審査の難易度、融資のスピード、金利の相場がそれ違ってきますので、融資を受ける際にはよく確認しておくことが大切です。

次に、「日本政策金融公庫」「民間の金融機関」「預金を扱わない金融機関」それぞれの金利相場を詳しく見ていきましょう。

【金利相場】日本政策金融公庫から借り入れた場合

銀行 借り入れ 金利

国が100%出資している日本政策金融公庫は、政府が運営している金融機関です。
数多くの融資制度を設けて、中小企業や小規模事業者に積極的にサポートを行っています。

日本政策金融公庫の融資は、個人企業や小規模企業向けの小口資金(国民生活事業)、中小企業向けの長期融資(中小企業事業)、さらに農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野の長期融資(農林水産事業)と、3つの幅広い分野に渡った融資が用意されています。

3つの分野の中で企業が利用するのは「中小企業事業向けの融資」となりますが、その中にも数多くの融資制度が設けられています。

中小企業事業向け融資制度

中小企業向けの融資制度はたくさん設けられていますが、その中から「新事業育成資金」と「企業活力強化資金」を参考例としてみてみましょう。

【新事業育成資金】

◆新規に事業を始める方、成長性のある事業を始めて5年以内の企業

◆融資限度額 6億円

【企業活力強化資金】

◆卸売業、小売業、飲食サービス、サービス業が対象

◆店舗の新設、増改築、機械設備の導入を行う企業

◆融資限度額 7億2,000万円

日本政策金融公庫の金利

日本政策金融公庫の最大の特徴と言えるのは、他の金融機関と比べて金利が低いというところです。
【中小企業事業(主要利率一覧表)】 令和元年12月2日実施
貸付期間

貸付期間 主な貸付利率 
  基準利率 特別利率 特別利率 特別利率
5年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
5年超~6年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
6年超~7年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
7年超~8年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
8年超~9年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
9年超~10年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
10年超~11年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
11年超~12年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
12年超~13年以内 1.11% 0.71% 0.46% 0.30%
13年超~14年以内 1.12% 0.72% 0.47% 0.30%
14年超~15年以内 1.13% 0.73% 0.48% 0.30%
15年超~16年以内 1.15% 0.75% 0.50% 0.30%
16年超~17年以内 1.16% 0.76% 0.51% 0.30%
17年超~18年以内 1.18% 0.78% 0.53% 0.30%
18年超~19年以内 1.20% 0.80% 0.55% 0.30%
19年超~20年以内 1.30% 0.90% 0.65% 0.40%

日本政策金融公庫の基準となる利率は、1.11%と非常に低く設定されています。
条件によっては「特別利率」という、さらに低い金利が適用となる場合もでてくるのです。

新規事業育成資金の場合

上記で説明した「新規事業育成資金」の場合だと、高い成長性が見込まれる新たな事業を立ち上げたときには、次のイ~ハに該当すれば「特別利率②」もしくは「特別利率③」が適用されます。
イ 公庫の成長新事業育成審査会から事業の新規性・成長性の認定を受けた方
ロ 独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けた方
ハ 他企業に利用されていない知的財産権や中小企業技術革新制度に係る特定補助金などの交付を受けて開発した技術を利用して新事業を行う方
この他にも、会社の信用度や担保の有無によって金利は変わってきます。
ただし、金利が低いと審査が厳しくなり、融資までの時間も長くなってしまうので、すぐに融資を受けたいと思っている方は、気をつけてください。

【金利相場】民間の金融機関から借り入れた場合

銀行 借り入れ 金利

銀行などから融資を行った場合の金利相場をみていきます。
融資というと、民間の金融機関から借り入れるこちらのパターンを検討する方が多いのではないでしょうか?

次はその中でも、メガバンクを例にとって金利の相場を見ていきます。
【三井住友銀行ビジネスセレクトローンの場合】

お使いみち 運転資金、設備資金(決算・賞与資金としてのご利用も可能です)
お借入金額 1億円以内(10万円きざみ)
ご返済方法 元金均等返済
お借入期間 最長7年(据置期間の設定も可能です)
お借入利率 2.125%~(変動金利の場合。固定金利、各種金利優遇制度もあります。)

(注)審査結果に応じた当行所定の金利を適用させていただきます。

担保 不要※
保証人 第三者保証不要

(ただし、代表取締役全員の連帯保証が必要です)

事務手数料 (消費税込)

●はじめて当行からのお借入を行うお客さま:77,000円

(ただし、お借入金額が3,000万円以上の場合:99,000円)

●上記以外のお客さま:33,000円

(ただし、お借入金額が3,000万円以上の場合:55,000円)

※所定の印紙代が必要です。

※固定金利をお選びいただく場合、上記事務手数料に加え、当初手数料として33,000円をお支払いいただきます。

この利率を見てみると、最低の金利が2.125%~の金利となっており、先に紹介した日本政策金融公庫よりも高い金利であることがわかります。
ただし、融資を利用する条件として、「業歴2年以内」「三井住友銀行のお取引窓口(エリア・法人営業部・支店)でお取引が可能な地域に所在すること」「最新決算期において債務超過でないこと」「申し込み時点において、税金の未納がないこと」と、低くおさえられています。

【金利相場】預金を取り扱わない金融機関から借り入れた場合

銀行 借り入れ 金利

預金を取り扱わない金融機関というのは、ノンバンクと呼ばれる、消費者金融や信販会社などのことをいいます。
ノンバンクの特徴は、金利が高いけれど融資までのスピードが早いというのが、最大の特徴です。

次に、ノンバンクで設けられている事業者向けのビジネスローンの金利相場をみてみましょう。

融資対象者 法人または個人事業主※お申し込み時年齢 満20歳~満69歳まで
融資額 1万円~1,000万円 ※新規取引時は上限500万円
契約利率(実質年率) 5.0%~18.0%
遅延損害金(実質年率) 20.0%
担保  不要
保証人 原則不要 ※ただし、法人の場合は代表者様に原則連帯保証をお願いします。
返済方式 元金定率リボルビング返済
返済期間・回数 最長5年(60回以内)
必要書類 ●法人のお客様

代表者ご本人様を確認する書類、登記事項証明書(商業登記簿謄本)、決算書原則2期分 等

●個人事業主のお客様

ご本人様を確認する書類、確定申告書原則2年分 等

契約時締結費用 印紙代 (実費)

ノンバンクの参考例をみてみると、金利は5.0%~18.0%とかなり高く設定されています。
日本政策金融公庫や銀行などと比較しても、圧倒的に高い金利ということが言えるでしょう。

高い金利に設定されていますが、どのような事業者も借り入れることができ、融資までの時間は最短で即日とすぐに融資を受けることが可能です。

早く融資を調達したい方にとっては、利用条件のゆるさと融資までのスピードは魅力的とも言えますが、貸し倒れのリスクがともなってくるのを忘れないようにしてください。

ノンバンクを利用するタイミング

高金利のノンバンクでの融資は、常時利用するのではなく「緊急を要する資金が必要となった時」に行うのが得策です。

「社員の給料が支払えなくなった」「新規事業が急激に業績を伸ばしたが運転資金が不足」「すぐに返せる目処がある」などの場合によります。

ノンバンクの融資は、金利が高く付いていましますので、緊急の手段として利用することをおすすめします。

金利相場の比較結果

銀行 借り入れ 金利

融資の借り入れ先である「銀行などの金融機関」「日本政策政策金融公庫」「ノンバンク」のそれぞれの金利について詳しく見てきました。

その結果、次の3つのことがわかるようになりました。
◆日本政策金融公庫:金利が低い。利用条件・審査が厳しく融資までの時間が長い。
◆金融機関:金利が低い。利用条件が緩く審査が厳しい。
◆預金を取り扱わない金融機関:金利が高い。利用条件・審査は緩く融資まで早い。
融資のそれぞれの特徴を生かして、会社にあった融資を選び出してください。

まとめ

銀行 借り入れ 金利

資金調達の融資を受ける時の金利について、銀行の金利設定や金利相場、さらには借り入れ方法ごとの金利相場を詳しく見てきました。
一番低い金利で借り入れができるのは、国の金融機関となる「日本政策金融公庫」、次に銀行などの「民間の金融機関」となり、最も高い金利となるのは消費者金融や信販会社などの「預金を取り扱わない金融機関」ということになります。

長期的に借り入れるのであれば、低金利の「日本政策金融公庫」での融資が得策ですが、早く融資を受け取りたいのであれば「預金を取り扱わない金融機関」ということになります。

事業を継続し発展させるためにも、自身の状況に合わせて資金調達を使い分けいきましょう。

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