事業資金の調達方法を考えた場合、下記のように融資を受ける方法は大きく3つあります。
①信用保証協会を利用した「保証付融資」
②日本政策金融公庫からの融資
③金融機関からプロパー融資
上記3つの方法は、それぞれ長短はありますが、創業時や事業を初めて間もない会社の場合は、現実的には①と②の選択肢になるでしょう。
会社の信用度が低い場合にはなかなか連帯保証人を探すのも大変なことです。
そんな場合に保証人なしでも融資を受けられる①を利用することがおすすめになります。
この記事では①について詳しく解説します。
INDEX
信用保証協会の「信用保証付融資」とは?
「信用保証付融資」とは、金融機関が融資をおこなう際に、信用保証協会が保証をしてくれる融資のことをいいます。
このような「信用保証付融資」のときには、金融機関と審査保証協会の審査をクリアしなければなりません。
しかし、信用保証協会からの保証が付くので、プロパー融資と比較すると審査のハードルは大きく下がることになります。
各都道府県を単位として、全国合わせて52の法人として設けられており、国による監督と、地方自治体が財政支援をおこなっています。
日本政策金融公庫と信用保証協会の繋がり
信用保証協会は、中小企業者の金融の円滑化を充実させるために設立した公的機関です。
さらに、政府の金融機関である日本政策金融公庫と再保険契約(中小企業新方保険)が結ばれており、信用保証協会が金融機関に弁済となったときには日本政策金融公庫が資金を補填してくれています。
こんな方におすすめの信用保証協会の融資
事業資金の資金調達をおこなうときには、信用保証協会を利用した「信用保証付融資」を受ける方がとても多く存在しています。
どのような場合に、信用保証協会の融資がおすすめとなるのか見てみましょう。
・保証人が見つからない
・初めての金融機関での融資
・会社の資金繰りに苦労している
上記のような方には、信用保証協会の「信用保証付融資」がおすすめです。
中小企業や小規模企業者が融資を受ける際には、「信用保証付融資」や直接金融機関から借り入れるプロパー融資などがありますが、基本的には「信用保証付融資」となります。
信用保証協会が保証してくれるので、審査のハードルは低くいですが、「信用保証付融資」の審査に通らない場合には、金融機関からの融資はさらに難しくなるでしょう。
つまり、信用保証協会の審査を通すことが、いかに大切だということになるのです。
多くの中小企業・小規模企業者が利用する「信用保証付融資」
全国にある企業の中で、大企業となるのは全体のわずか0.3%、中小企業や小規模企業者は全体の約99.7%と大きな割合をしめています。
信用保証制度を利用して融資を受けた数は229万件(令和元年6月時点)となります。
この件数を日本政策金融公庫と商工組合中央公庫を比べてみましょう。
政策金融の区分 利用する企業の数(平成30年3月末現在)
日本政策金融公庫(中小企業事業) 4.4万企業
日本政策金融公庫(国民生活事業) 88万企業
商工組合中央公庫 7.5万企業
信用保証協会 126万企業
参考:初めての融資と信用保証制度|一般社団法人 全国信用保証協会連合会
上記を見ても、信用保険協会が扱う企業数の多さが分かるのではないでしょうか?
信用保証協会の融資限度額
「信用保証付融資」の限度額は、中小企業信用保険の普通保険の限度額2億円(組合4億円)となります。
さらに、無担保保険の限度額8,000万円(組合も同額)を合わせると合計で2億8,000万円(組合4億8,000万円)が最高限度額です。
ただし、これが全ての限度額となるのではなく、一般保証に係る保限度額とは別に、中小企業信用保険の特例措置に基づいた限度額も設けられています。
それは、国の各種政策目的よって制定された「特別保証に係る限度額」です。
代表者自身が連帯保証人となる
「信用保証付融資」の一番の特徴と呼べるのは、代表者自身が直接保証人となるということです。
法人の場合には、代表者のみが連帯保証人となります。
個人事業主の場合には代表者自身が借入人となるので、連帯保証人をつける必要がなくなります。
「信用保証付融資」は、もしも企業が融資の返済をすることができなくなったら、企業のかわりに信用保証協会が銀行へ全額支払うこととなるのです。
信用保証協会の融資を受け取る3つのポイント
審査のハードルが低いとされている「信用保証付融資」ですが、審査をクリアするためには3つのポイントをおさえておく必要があります。
この章では、この記事のテーマであるおさえておくべき3つのポイントについて解説していきます。
審査を通過するために、次にあげる3つの項目をチェックして、実行していきましょう。
取引先の銀行から信用保証協会へ申し込む
信用保証協会へ「信用保証付融資」を申し込むのなら、すでに取引している銀行を介して申し込みをおこなうようにしましょう。
企業がその銀行と取引をしているのなら、銀行は企業の業績や経営状態を把握しているため、信用保証協会に企業の情報が伝わりやすく円滑な取引が期待できます。
もしも取引があっても担当者がいないのであれば、支店の融資窓口で担当者を紹介してもらってください。
銀行から信用保険協会へ申し込むということは、借入の件数金額が増えて「銀行の利益」につながります。
そして信用保証者協会の保証が受けられることによって、企業は「貸倒れのリスク」から回避できます。銀行にとっても、企業によっても「信用保証付融資」を受けることは大きなメリットとなるのです。
銀行担当者との連携が大切
「信用保証付融資」の審査を銀行経由で申し込む場合には、担当者と連携して質の良い書類作成が鍵となってきます。
書類の内容は、特に審査の良し悪しを左右することとなるので、まずは、銀行の担当者に会社の状況を把握してもらい、続いてこれからの事業計画について話し合ってください。
担当者との良い連携が確保できれば、審査も通りやすくなります。
また、信用保証協会に直接申し込みをおこなう場合には、信用保証協会の担当者との連携を大切にして、審査を通りやすくしていきましょう。
銀行担当者の中には審査に通りやすい書類作成の方法を知っていたり、また信用保証協会にとの交渉が長けている銀行員などがいます。
そのような銀行担当者であれば融資を受けやすくなるように書類作成のアドバイスや金額の交渉をしてくれる場合も出てきます。
また、その反対に「信用保証付融資」においては不得意な銀行員もいるので、良い銀行担当者にあたるためには、3~4つの銀行と付き合いながら担当者の力量を把握しておくと安心となるでしょう。
直接の申し込みは「企業概要欄」を埋めて事業計画書を添付
「信用保証付融資」を直接信用保証協会に申し込む場合には、企業概要欄を埋めて、事業計画書を添付します。
この際に、余白をきちんと埋めること、内容のある文章となることが重要です。
申し込みをする際の「企業概要欄」は「どのような事業なのか?」を審査側にアピールする非常に大事な箇所です。
審査する人たちに「融資したい」と感じられるように、会社の魅力をたくさんアピールしてください。
【融資可決のポイント】
・事業内容を正確に伝える
・会社の業績の推移と、今後の推移をわかりやすく説明する
・業績は将来においてポジティブな面がアピール出来るように工夫する
・間違いのない正しい数字での業績報告
融資担当者だった方からの話では「保証審査を通すかどうかは売り上げアップ等、企業の取り組みを詳しくチェックし可否を決めています。
また、企業概要欄や事業計画書(の内容)がお粗末な企業には、融資をするメリットは無いと考えています」と言われています。
これらが審査のときに見るポイントとなっているようです。
希望が見える文章が◯
「信用保証付融資」の審査に欠かせないのは、添付する書類です。
書類はただ準備すればいいと言うだけではなく、文章の書き方によって審査が通りやすくなることがあります。
どんな文章が審査で通りやすくなるのでしょうか?
審査において、文章の中で今後において事業の希望が見えるような文章を作成することを念頭に入れておいてください。
希望がみえてくる文章となるコツは、前半の部分にマイナス要素を記入し、文章の後半部分ではプラスに転じることをアピールしていきます。
具体的には、文章の後半に差し掛かったら企業の成長、売上アップ、目標達成などを書くことで、発展していく企業を表現することができます。
文章の注意事項
あたり前のようですが書類に記入する際に、嘘を書いてはいけません。
特に数字においては、嘘の数字を決して書くことのないようにしてください。
たとえ、良い数字を書いて改ざんしても、審査を通ることはできないのです。
それよりも融資の審査を通過するためには、正しい数値が必要です。
また、誤った計算や記入間違いのようなケアレスミスひとつで通るはずだった審査が通らなくなる場合も出てきます。
書類は正しい申告となるよう、きちんとチェックしておきましょう。
まとめ
以上、信用保証協会の「信用保証付融資」についてと審査をクリアするためのポイントを解説してきました。
審査を通るためには、①取引先の銀行から信用保証協会へ申し込む、②銀行の担当者と連携が大切、③直接の申し込みは「企業概要欄」を埋め、事業計画書を添付するという3つのポイントをおさえていくことが非常に大切となってきます。
借り入れをお考えであれば、これらのポイントをおさえながら、信用保険協会の「信用保証付融資」を利用して、事業に必要な資金調達をスムーズにおこなうようにしていきましょう。