あなたは、家を買うには頭金が絶対に必要だと思っていませんか?
ところが、近年では頭金なしでも、家を購入できるようになってきています。
貯金が少ない人や現金を残したい人にとってはありがたい話しですよね。
しかし、頭金を払うか払わないか選べるようになった今、そのデメリット、メリットを知っておかないと損をすることになりかねません。
そこで、当記事では頭金をなしで住宅を購入するメリットやデメリットを解説するので、自分の場合はどちらのほうがいいのか、考えながら当記事を参考にしてください。
そもそも頭金とは何か
まず、頭金とは何かを理解する必要があります。
・頭金とは何を指すのか
・以前は頭金が絶対に必要だったワケ
・頭金ゼロということは初期費用がゼロになるということ?
この3点から頭金についての理解を深めていきましょう。
頭金とは何を指すのか
頭金とは現金で最初に支払うお金です。売買契約をした証しという意味も含まれています。頭金の金額は、一般的に不動産価格の2割と言われています。
例えば不動産価格が3000万の場合、その2割の頭金の部分は600万で、住宅ローンの借入額は2400万になります。
また、後でもでてきますが、購入費用も必要になるので余裕をもって2.5割ほど準備しておくといいでしょう。
頭金=不動産価格×0.2
以前は頭金が絶対に必要だったワケ
15年ほど前までは頭金を払うことが当たり前でした。なぜなら、頭金なしでは銀行は住宅ローンを貸してくれなかったからです。
しかし、今では日銀のマイナス金利政策により、長期金利の利回りが低下。これにより、金融機関の住宅ローン金利も低下し、頭金ゼロでの購入が可能になったのです。
頭金ゼロということは初期費用がゼロになるということ?
頭金ゼロにすると、家を買う初期費用は他に何もかからないのでしょうか。
不動産購入時には、頭金だけではなく、住宅ローン手数料や不動産所得税、登記費用、さらに仲介手数料もかかります。
これらのことを、購入費用や諸費用と呼びます。そして、それ以外にも
・家具を一式新調
・庭のお手入れ
・引っ越し費用
など新しい家に住むにはいろいろな出費がかさみます。
そしてこれらのお金は銀行のお諸費用ローンでは貸してくれません。(一部では貸してくれます。)
頭金や住宅ローンだけをみていては、お金が足りないことになりかねませんので注意してください。
頭金なしで家を買うメリット
頭金について分かったところで、頭金なしで家を購入したときの、メリットをみていきましょう。
現金を手元に残せるなどの様々なメリットがあるので、一つ一つ解説していきます。
メリット① 低金利の今がチャンス
日銀によるゼロ金利政策により、今は空前の低金利時代。現在の都市銀行の定期預金金利は0,01%ほどで、1000万円を50年預けていても、たったの5万円いか入ってきません。
貯金をしても微々たる利息しか入ってきませんが、お金を借りる立場になるとそれが有利に働きます。
例えば、3000万円の住宅ローンを30年で返金していくとします。
金利 | 毎月の支払い | 支払い総額 |
1% | 8.5万円 | 3,557万円 |
2% | 10万円 | 4,174万円 |
このように、たった1%違うだけで、支払総額が617万も違ってくるのです。
家を買うというのは、一生の中でもかなり大きな買い物です。
数円の利子の違いが何年も影響されます。この例金利時代もいつまで続くか分からないので、今はチャンスといえるでしょう。
メリット② 現金を残せる
長い人生なにが起こるか分かりません。
・突然の事故や病気
・突然のリストラ
・不景気によるボーナスの減少
・親の長期にわたる介護
・不妊治療
また、お子さんがいる家庭では
・予定以上にこどもを授かることができた
・こどもの習い事にお金がかかる
・留学や留年
・高い教育や塾が必要になった
など、国の制度や保険もうまく使っていくことも大切ですが、今すぐに必要なときも今後でてくるでしょう。例えば、株式投資や保険にかけていても、それを現金に変えるには時間がかかります。
それに比べて流動性の高い現金を、少しでも手元に残しておくことで、いざという時に使い勝手がいいのです。
サラリーマンで給料の3,4か月、自営業で月収の半年分をもっておくと安心です。
借金をしたくないからといって、手持ち金をすべて使うのもリスクがあるのです。
メリット③ 住宅ローン減税の控除額が多くなる
住宅ローン減税とは「住宅借入金等特別控除」と呼ばれるものです。新築や中古に関係なくほぼすべての住宅が該当し、土地も含まれます。
年末に残っている住宅ローンの残高の1%が、所得税か住民税から13年間控除されます。(10年以上支払い期間がある条件で)
例えば、令和2年の12月の時点で住宅ローンが3000万残っていたとします。その1%の30万分が所得税から控除されます。
所得税が30万以下だった場合は、差額が住民税から引かれます。
住宅ローンの借入額が多ければ多いほど、控除額が多くなり得をします。
メリット④ 賃貸に住んでいる人は、その賃貸料を資金にまわせる
今賃貸に住んでいる人は、賃貸料を払っている分、なかなか貯金にまわせませんよね。
賃貸を払っている分を、家の購入資金にまわせるので、生涯家に使うお金を計算するとお得になります。一般的に頭金を貯めるには3~5年かかるといわれます。
例えば、月7万のマンションに5年間住み続けたら、420万です。
2000万の家だったら十分頭金になる金額です。賃貸料を払っているのがもったいなく感じますよね。
メリット⑤ 気に入った物件がすぐに買える
家を買うのは一生の買い物。立地や価格、内装まで気に入った物件に行きつくまでは時間も労力もかかります。そんな中でやっと気に入った物件が見つかったのに、頭金が用意できなくて、逃してしまったら悔しいですよね。
そして、頭金を貯めるまでにマイホームへのモチベーションもだんだん薄れてきます。
そのような場合には頭金なしという制度をつかって、気に入った物件をすぐに手に入れましょう。
頭金なしで家を買うデメリット
頭金なしで家を買うメリットがわかったところで、次はデメリットについて考えていきます。
メリットがある以上、デメリットも発生してしまいますが頭金なしにする場合下記のデメリットを覚えておく必要があります。
デメリット① 利息が増える
単純に多く借り入れるほど、その分利息は多くなります。頭金がないということは、借入額が多くなるので払っても払ってもなかなか元本が減らず、支払いの大部分が利息になってしまします。
借入利息=借入金額×金利×期間
利息はこの数式で決まります。
もし、利息を少なくしようと思ったら、この3つのいずれか、またはすべてを減らす必要があります。
例えば、3000万円の物件を頭金なしで買った場合と、頭金を600万円支払った場合に、どのくらい支払利息に違いが出るのか検証してみましょう。
頭金 | 借入金額 | 金利 | 期間 | 利息 |
0円 | 3000万円 | 1% | 30年 | 900万円 |
600万円 | 2400万円 | 1% | 30年 | 720万円 |
結果
頭金0円の場合の支払総額・・・3900万円
頭金600万円の場合の支払総額・・・3720万円
住宅価格をすべて借入れしたことで、金利と期間が同じであっても、180万円多く支払う計算になりました。
デメリット② 金利が上がった場合、毎月の支払いが厳しくなる
住宅ローンの支払いでは固定金利と変動金利を選ぶことができます。
固定金利とは・・・
借り入れたときから、金利がある程度決まっています。よって、安心感があり、毎月の収支計画が立てやすいことがメリットです。しかし、変動金利より少し高めに設定されていることが多いです。
変動金利とは・・・
返済中でも金利が見直されます。期間は5年に1度で、どれだけ金利が上昇したとしても125%までですが、はみ出した分は次に繰り越しとなります。リスクもありますが、もともと固定金利よりも低く設定されていることと、金利が上昇しなければ、金利は低いままです。
仮に変動金利を選んだ場合、金利が上がると支払額が大きくなります。子育ての状況や、親の介護など、今度出費が増えた時でも対応できる借入額である必要があります。
最初に予算を組むときに、金利が上がっても問題なく払える余地をつくって計算をしていきましょう。その時の状況でぎりぎりの支払いは避けるべきです。
デメリット③ 家を売るときに、ローンが残っている可能性も
買うときには一生、住むだろうと考えていた我が家。しかし、引っ越しや離婚などライフスタイルの変化で、家を手放す決断をするときがあるかもしれません。ローンが残っていても家を売ることはできますが、手放すときにはローンも一括で払う必要があります。
住宅ローン残高 > 住宅売買額 ・・・残りのローンは実費で一括支払い
頭金なしで買っていた場合は、借入額が多いため、まだローンが残っている可能性も大。もし、地価がそれほど変わっておらず、売ったお金でローンが完済できそうならいいですが、ローン完済まで金額が届かないとなると、実費で支払わなければなりません。
まとめ
以上、当記事では、住宅ローンを頭金なしで買うときのメリットとデメリットを解説しました。
頭金ありかなしかを考えるにあたって、今あなたがどういった生活をしていて、今後どういった生活をしていきたいかをまず考えるといいでしょう。
例えば、お互い一人暮らしをしている新婚カップルの場合だと、2人分の賃料を払うより頭金なしで、はやく二人の住み家を見つけたほうが、生涯の家にかけるお金は少なくなるかもしれません。
また、今は家族と暮らしているけど、将来マンションの一室を買って今後はそこで一人暮らしをしたい場合は、頭金を確実に貯めながらゆっくり物件を探すほうがよさそうですよね。
上記で上げたメリット、デメリットを参考にあなたが思い描くライフプランを考えましょう。