資金調達として受給した補助金の圧縮記帳の仕訳方法について解説

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補助金 補助金 圧縮記帳 仕訳

国や地方自治体から給付される補助金や助成金は、返済する必要がないお金です。

企業にとって活用したい資金調達方法のひとつとなるのではないでしょうか?

しかし、補助金や助成金を利用するためには、複雑な申請の手続きに加えて、受け取った後の事務処理や税務処理に手間がかかってしまうというデメリットな部分も持ち合わせています。

せっかく受け取った補助金なのですから、事務処理はスムーズにすませたいものです。

そこで、こちらの記事では補助金を受け取った際の仕訳方法について解りやすく解説していきます。

固定資産などを購入した場合の法人税と圧縮記帳のやり方についてしっかりと説明していますので、ぜひご参考になさってください。

補助金と助成金の違い

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

融資を受けても利息を付けて返済しなければいけませんが、補助金や助成金は返済する必要がありません。

また、補助金や助成金は返済不要の給付されるお金という点では同じですが、その目的や条件の細かな点には違いがありますので、確認しておきましょう。

助成金

主に厚生労働省た実施している助成金は、人材育成や雇用増加を目的として交付されています。

助成金の申請期間は比較的長く条件さえ満たせば支給されますが、助成金は補助金よりも低い金額です。

補助金

補助金は、募集回数や期間が短く、さら倍率も高く採択される率は40%前後とも言われているほどです。

条件を満たした上で審査をし、その審査をクリアしなければ受給する事ができません。

ただし、補助金には様々な種類が用意されており、助成金よりも多くの支給額が交付されます。

補助金を受け取った後の仕訳

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

補助金や助成金を交付された時には収入となりますが、事業の売上ではないので「雑収入」という勘定科目を使って仕訳をしていきます。

借方に口座の種類を記載し、貸方は雑収入として処理を行っていきます。

借方 貸方
日付 当座預金(普通預金) 100万円 日付 雑収入 100万円

上記は口座に入金された時の処理方法ですが、補助金や助成金が口座に振り込まれるまでは、長い場合だと1年以上となることもありえます。

そこで、気をつけなければならないことが決算をまたぐ場合です。

決算をまたぐ場合

補助金や助成金は、口座に入る前に国や自治体などから「支給決定通知書」が送られてきます。

その後すぐに口座入金とはなりませんが、決算期をまたいでしまう場合には、「支給決定通知書」が届いた時に仕訳のタイミングが生まれます。

口座入金のときと違いは、下記のように借方に当座預金(普通預金)ではなく未収金として計上する点です。

借方 貸方
日付 未収金 100万円 日付 雑収入 100万円

その後、口座に入金された時には、下記のように借方に当座預金(普通預金)、貸方に未収金の勘定科目で処理を行います。。

借方 貸方
日付 当座預金(普通預金) 100万円 日付 未収金(長期未収金) 100万円

支給決定通知書が届いた時に仕訳をする

上記は決算期をまたいでしまう場合の仕訳ですが、補助金や助成金の仕訳は「支給決定通知書」が届いた時点で仕訳をすることになります。

法人の場合には、「支給決定通知書」が届いた時には、「未収金」で処理を行い、もしも1年以上を超えそうな未収金であれば「長期未収金」の勘定科目をで会計処理を行ってください。

これによって、「長期未収金」であれば固定資産、「未収金」であれば流動資産と区別されることになります。

なお、個人事業主が行う青色決算報告書においては、固定資産と流動資産を区別しなくてもよいこととなっています。

◆「支給決定通知書」が届いた時点で会計処理を行う

◆1年以上の場合には「長期未収金」で処理

◆「長期未収金」であれば固定資産、「未収金」であれば流動資産と区別される

補助金にかかる税金

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

補助金や助成金は課税の対象となり、個人事業主の場合には所得税、法人の場合は法人税が課せられます。

国や地方自治体からの交付ですが、法人税法や所得税法においても非課税とはなっていません。

これは、補助金や助成金に税金がかからず、人件費などにおいても税金の対象とならないために二重に得してしまうからです。

しかしその一方で、補助金や補助金に課税されることになっていても、使い道が経費として認められているので、事業者は余分に税金を収めなくてもすみます。

補助金で固定資産を購入した場合

経費ではなく補助金で固定資産を購入した場合には、上記とは事情が少し違ってきます。

固定資産を購入した時には、減価償却をして毎年少しづつ経費を計上する形をとりますが、補助金の給付年度に固定資産を購入した場合には、一時的に税金が増えてしまい肝心の固定資産が購入できなくなる可能性がでてきてしまうのです。

このような時には、圧縮記帳を行うことで回避することができます。

次に、固定資産を購入したときの圧縮記帳の仕訳方法についてみていきましょう。

圧縮記帳の仕訳方法

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

圧縮記帳は受け取った補助金で固定資産を購入した場合、一度に課税されることを回避できる会計処理のやり方です。

ただし、一度に課税されものを次年度以降に繰り越すことをができますが、課税が無くなるわけではないので、間違わないようにしてください。

下記の(参考例)で、「通常の事務処理」と「圧縮による事務処理」の仕訳方法を具体的にみていきます。

(参考例)
・1,000万円の設備機器(勘定科目:機械装置)を購入
・補助金400万円と現金600万円で支払った場合

通常の会計処理

通常の会計処理では、補助金の給付時と機械装置の購入する時に、下記のように仕訳を行います。

日付 借方 貸方
給付日 当座預金 400万円 雑収入 400万円
購入日 機械装置 1,000万円 当座預金 1,000万円

次に、減価償却費の定率法の償却率0.25で計算を行っていきます。

計算によって減価償却費は250万円となり、そこから法人税を計算していくと下記のように60万円という値が算出されます。

◆減価償却費   250万円

・計算方法  1,000万円×0.25%=250万円

◆法人税(40%)  60万円

・計算方法  (400万円-250万円)×40%=60万円

60万円は法人税として支払わなければならないため、400万円-60万円となり、400万円の補助金を受給しても、340万円しか使えないということになってしまうのです。

圧縮記帳による事務処理

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

圧縮記帳の場合、下記のように購入日の機械装置は雑収入の金額を差し引いて計上します。

残りの補助金額となる400万円は、借方に「固定資産圧縮損」貸方に「機械装置」の勘定科目で処理を行います。

日付 借方 貸方
給付日 当座預金 400万円 雑収入 400万円
購入日 機械装置 600万円 当座預金 600万円
固定資産圧縮損 400万円 機械装置 400万円

この場合、減価償却費は下記のように計算することになります。
◆減価償却費   150万円

・計算方法  (1,000万円-400万円)×0.25%=150万円

このように圧縮記帳を行えば、減価償却費は通常の事務処理よりも減額され、圧縮損を計上しているので補助金の400万円の収入は相殺されて0円となります。

受け取った補助金で固定資産を購入する場合、上記のように圧縮記帳で処理を行えば、まとめて課税されることがなく固定資産の購入に影響されないのです。

圧縮記帳が行える補助金と法人の条件

補助金	補助金 圧縮記帳 仕訳

どのような補助金に対しても、圧縮記帳の対象となるわけでは有りません。

法人税法により圧縮記帳の対象となる補助金、法人の条件は下記のように限定されています。

(圧縮記帳の条件)
◆国または地方公共団体から受け取る補助金、給付金、あるいはこれらに準ずるもので政令に定めるもの(法人税法上は「国庫補助金等」という)の交付を受けること

◆国庫補助金等をもって交付された事業年度に固定資産の取得や改良に充てたこと

◆国庫補助金等が交付された事業年度の末日までに国に返還不要が確定したこと

◆国庫補助金等を受け取った法人が清算中でないこと

◆法人税計算の基礎となる会計処理上も圧縮記帳を行っていること

◆法人税の確定申告書に圧縮記帳に関する明細書を添付していること

補助金に対しての圧縮記帳は、固定資産の取得するときのみとなっていますので、お気をつけください。

圧縮記帳のメリットとデメリット

圧縮記帳で補助金の処理を行えば、補助金分だけの収益が小さくなりますが、その場合どのようなメリットやデメリットが生まれるのでしょうか?

次に、補助金を受給して実際に圧縮記帳を行った場合のメリットとデメリットについてみていきます。

メリット:投資意欲を妨げない

補助金の分を利益を小さくすることで、その分の税金は課税されません。

受け取った補助金が減少することなく、そのまま資金調達として生きています。

「せっかく補助金を受け取ったのに、税金でとられることになる」など、投資に対する意欲を低下させないメリットが得られます。

デメリット:翌年以降の課税が増える

圧縮記帳での処理を行っても、一時的に課税を回避だけで免除になるわけではありません。

また、翌年以降の減価償却費計上時、資産の除去および売却のときには、繰延が表面化することになります。

圧縮記帳をした固定資産の取得価格が減額となれば、将来において、売却益や除去益も大きくなると考えていいでしょう。

また、圧縮記帳は通常の事務処理や経理処理が手間がかかり、翌年度にも処理を行わなくては行けないため、常に注意しておく必要がでてきます。

まとめ

資金調達として利用した補助金について、補助金と助成金の違い、補助金の仕訳方法、補助金にかかる税金を説明してきました。

また、補助金を固定資産に充てた場合の圧縮記帳の仕訳方法、圧縮記帳が行える条件など、知っておきたい圧縮記帳の方法についても詳しく解説しています。

受け取った補助金や助成金には課税され、特に補助金で固定資産を購入した場合には一度に多くの税金を支払うことになってしまいます。

もしも、補助金の効果を妨げるようなことがあるのなら、圧縮記帳を利用して補助金の効果を最大限に生かすようにしてください。

ただし、圧縮記帳は免税ではありませんので、間違うことのないように覚えておきましょう。

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