エンジェル投資家から起業家が出資を受ける7つのメリット・デメリット

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現在では株式会社だとしても1円で会社を設立することが可能となっていますが、実際に事業を展開していくためには初期段階から多額の資金が必要になるため、起業家にとっては資金調達が課題となります。

そしてそんな起業家たちに今注目されている資金調達先が「エンジェル投資家」です。エンジェル投資家は実績のないベンチャー企業にも出資してくれる、まさに天使のような存在。しかし、エンジェル投資家から出資を受けることにはメリットだけでなくデメリットも存在しています。

この記事ではエンジェル投資家から出資を受けるメリット・デメリット、注意点などについて詳しく解説していきます。これからエンジェル投資家から資金調達を行いたいという方、既にエンジェル投資家から出資を受けたという人も是非参考にしてみてください。

エンジェル投資家とは

エンジェル投資家とは、起業して間もない起業に出資してくれる個人投資家のことを指しています。ヨーロッパではビジネスエンジェルとも呼ばれ、イギリスで演劇事業に資金供給する富裕な個人を表現した「エンジェル」という言葉に由来しています。

同じく起業家の資金調達先として知られるベンチャーキャピタルは複数投資家から集めた資金を出資する投資ファンド(投資会社)であるのに対し、エンジェル投資家は個人が所有している資金を出資します。

家族や友人や知り合いから多額の資金調達を行うということは現実的に難しく、かと言ってベンチャーキャピタルは1億円や2億円以下の少額の投資を行うことは少ない上、審査も厳しくなります。また、実績のない起業して間もない企業に銀行が融資することはないというのはご存知の通りです。

エンジェル投資家の場合は、人にもよりますが500〜2000万円という少額の出資額が大半を占めています。日本ではまだそこまで馴染みのない資金調達方法であるエンジェル投資家による出資ですが、実は海外ではベンチャーキャピタルに並ぶメジャーな方法として知られています。

Apple、Facebook、Twitter、Google、Yahoo!など、現在では知らない人がいない超有名企業も創業当時にはエンジェル投資家からの出資を受けていました。どんなに素晴らしい技術や革新的なアイディアを持っていても、それを事業として展開していくための資金がなければ宝の持ち腐れですよね。

将来有望な企業に対して出資を行い、資金不足を解消してくれるエンジェル投資家は起業家にとって重要な資金調達手段と言えるでしょう。

どのような人がエンジェル投資家になるのか?

気になるのが、一体どのような人がエンジェル投資家をしているのかということではないでしょうか。出資は融資ではないため返済の必要はありません。しかし、数あるベンチャー企業の中でも成功を掴むことができるのはほんの1割にも満たないと言われており、そんなベンチャー企業への出資は大変リスクの高いものです。

大きなリターンを期待しての出資になるとは言え、そのようなリスクのある出資を行ってくれるエンジェル投資家について気になるのは当たり前のことでしょう。

実は、エンジェル投資家の多くは起業家や実業家として活躍していた人たちなのです。既に引退した起業家や実業家たちが今度は自分が支援する側に周り、若い企業たちをサポートしていくという訳です。

起業したばかりの人からすれば、エンジェル投資家は成功者であり大先輩でもあります。今まで数多くの事業を成功させてきたエンジェル投資家は出資だけでなく、その経営ノウハウや人脈を駆使して様々な手助けをしてくれることでしょう。

エンジェル投資家から出資を受けるメリット

まずはエンジェル投資家から出資を受けるメリットについて詳しく解説していきます。

メリット1:返済義務がない

エンジェル投資家から出資を受ける大きなメリットというのが返済義務がないということではないでしょうか。

銀行などからの融資の場合、借り入れなので金利が発生し返済義務があります。融資額を返済出来るのかどうかが審査基準となるため、実績のないベンチャー企業は融資が受けられないことが多いのです。

しかし、エンジェル投資家からの出資の場合は投資のため、返済義務が生じません。もちろん金利も発生しません。

メリット2:人脈が広がる

エンジェル投資家は元起業家や元実業家として活躍してきた実績のある人が多いため、今までに作り上げてきた大きな人脈を持っているのがほとんどです。

この力強いネットワークを活かした人脈を構築することが出来るというのは大きな強みになることでしょう。ビジネスの世界では人脈がもたらすものの大きさは計り知れません。積極的にエンジェル投資家の人脈を活かしていきましょう。

メリット3:経営についてのアドバイスがもらえる

元起業家・元実業家の中でもエンジェル投資家は数々の成功を手にしてきた一流起業家であることが多いです。

起業し会社を運営していくために大切な知識や経営ノウハウ、幅広い人脈、そして豊富な経験があるため、様々なアドバイスや忠告など貴重な意見を聞くことができます。

ただし、エンジェル投資家も人なので「どうしても相性が合わない」ということも考えられるでしょう。どんなに良い条件で出資してくれるという場合でも、相性が合わないエンジェル投資家に出資してもらうのは避けることをおすすめします。経営についての考え方が噛み合わず衝突ばかりになれば企業の成長に悪影響を及ぼします。長く付き合っていくことになるエンジェル投資家だからこそ、自分で尊敬、信頼出来る人を選ぶことが大切です。

エンジェル投資家から出資を受けるデメリット

ベンチャー企業に出資してくれるまさに天使のようなエンジェル投資家ですが、メリットばかりではなくデメリットもあります。エンジェル投資家から出資を受けた場合に考えられるデメリットとはどのようなものでしょうか?

デメリット1:経営に関わってくる

まずは経営にまで関与してくるということです。自分で起業する人の中には自分で経営方針など細部に至るまで全て自分で決定することにこだわりを持って会社を立ち上げたという人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、エンジェル投資家の中には経営に対して深く関与してこようとするタイプも存在しています。このようなタイプの投資家だった場合、自分の思ったような経営が行えずにフラストレーションを溜めてしまうというケースも少なくありません。もちろん、逆に経営に関してほとんど口出ししない投資家もいます。出資を受ける前にどのようなタイプの投資家なのかを見極めておく必要があるでしょう。

デメリット2:出資額が低い

企業は成長段階に合わせた資金調達が必要になります。最初のうちは少額だけで良かったものが成長していくに連れてどんどん必要な資金調達額は増えていくのです。

複数投資家から集めた資金で投資を行うベンチャーキャピタルからの資金調達の場合、その額は大きくなり1億円から2億円以上という大きな額になります。しかし、エンジェル投資家は個人の資産での投資となるため、一般的に出資額は数百万円程度です。

企業が成長し数百万円、数千万円の資金調達が必要になったという時にはエンジェル投資家からではなくベンチャーキャピタルからの出資や銀行などからの融資を検討する必要が出てきます。

デメリット3:企業を成長させる責任が生じる

資金に困っている企業に出資するエンジェル投資家ですが、決して慈善事業ではありません。全ての企業に出資する訳ではなく、出資を行うのはそのエンジェル投資家が認めた将来性のある企業のみです。

エンジェル投資家はその企業の成長に期待して出資を行います。出資した企業が立派に大きくなれば出資額の何十倍、何百倍にもなる利益を手にする可能性もあるからです。つまり、投資家は企業の成長を期待しており、また、成長を要求する権利があります。

エンジェル投資家から出資を受けるということは同時に、その期待に応えて会社を成長させる義務が生じるということでもあるのです。

デメリット4:見つけるのに時間がかかる

エンジェル投資家は見つけたいと思ってすぐに見つけられるものではありません。エンジェル投資家を見つけるのにも時間や手間、労力がかかりますし、見つけたら今度はエンジェル投資家に出資してもらえるよう、自社の事業内容や今後の事業計画についてしっかり説明しなければいけません。

ただし、エンジェル投資家はベンチャーキャピタルとは違い、個人投資家です。そのため、エンジェル投資家と仲良くなって事業について興味を持ってもらうことが出来ればそれだけで出資につなげられるという強みがあります。

エンジェル投資家から出資を受ける時の注意点

資金不足の企業に出資を行ってくれるというエンジェル投資家はとても心強い存在ですが、実際に出資を受ける際に注意しておきたい注意点も存在しています。この注意点について全く考えず出資を受けた場合、「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまう可能性もあるのです。

エンジェル投資家から出資を受ける際にはメリットやデメリット、注意点、ベンチャーキャピタルとの違いなど様々なことに気をつける必要があります。これから注意点について1つ1つご説明していきます。

注意点1:経営権を握られる可能性がある

デメリットの1つと似た内容になりますが、エンジェル投資家の中には出資した企業の経営権を自分のものにし、まるで自分の会社のように扱おうとする投資家も存在しています。そうなれば、元々思い描いていたような事業展開や経営が出来なくなってしまうことも考えられるため注意が必要です。

特に注意したいのが、今まで起業した経験がなく経営者としての知識やノウハウがまだ無い人の場合です。このような人の場合、圧倒的に経験が足りないため、口車に乗せられて投資家が思う通りの経営をさせられてしまう可能性もあります。

このように、出資してくれるから誰でもいいのではなく、エンジェル投資家はしっかりと選ぶ必要があります。出資を募る前に、エンジェル投資家一人ひとりについて詳しく調べておくのがおすすめです。エンジェル投資家の多くは実績ある元起業家・元実業家の人たちなので、評判や実際に一緒にビジネスを行った人の意見なども聞くことが出来るでしょう。

注意点2:詐欺の可能性

エンジェル投資家を探す方法の中には「マッチングサイト」というものがあります。このマッチングサイトについて詳しくは後述しますが、マッチングサイトの中には管理がずさんで、利用には注意が必要なところも存在しているのです。

そのようなマッチングサイトでエンジェル投資家を探そうとしているなら、気をつけなければいけないのが詐欺の可能性です。非常に残念な話ですが、エンジェル投資家の名を騙る詐欺も存在しているのです。

実際、起業したいと願う人の周りでは厳密に言えば詐欺ではないものの、ほとんどそれと変わらないような詐欺まがいの話も沢山飛び交っています。信用出来る人の話なら別ですが、そうでなければすぐに信じてしまうのではなく、まずは一度疑うようにしましょう。

エンジェル投資家と出会う方法

エンジェル投資家についていくら知っても、実際にエンジェル投資家に出会うことが出来なければ出資してもらうことは出来ませんよね。ここからはエンジェル投資家に出会うための方法をご紹介していきます。

方法1:直接連絡する

成功率の高い方法ではないものの、エンジェル投資家に直接連絡するというのも1つの方法です。エンジェル投資家としての顔を持つ起業家や実業家のTwitterやFacebookからコンタクトを取り、自分や自分の会社を売り込みます。

ただし、エンジェル投資家には毎日同じような出資の依頼が届いているはずです。そこに埋もれてしまう可能性もありますし、そもそも連絡を見ているとも限りません。あなたやあなたの会社が既に何かで有名になっているならばその名前を使えば少しは効果的になるかもしれませんが、一切何のつても無い状態で連絡しても返事がもらえる可能性は極めて低いと言えます。出来るなら知り合いの起業家や実業家に紹介してもらうのがいいでしょう。

方法2:コンテストや交流会に参加する

起業家の交流会やピッチコンテスト、セミナーなどに積極的に参加してみましょう。このような場所には起業家だけでなく、将来有望な企業や人材を見つ出すためにエンジェル投資家が参加していることも多いのです。

中でも、投資家や著名人が審査員として参加するピッチコンテストは自分の企業をアピールする絶好の場所です。すぐにエンジェル投資家の目に留まることは出来なかったとしても、誰かが興味を示してくれればそこから人脈が広がっていく可能性は多いにあります。

何度も様々な場所に出向き積極的に挑戦することでエンジェル投資家に気に入ってもらえる可能性も高まり、更に人脈を広げる事ができるこのような場は起業家にとってとても大切な場所になることでしょう。

方法3:マッチングサイトを使う

資金を調達したい起業家と出資したい投資家を結びつけるマッチングサイトというものがあります。このサイトでは簡単にエンジェル投資家を探すことが出来ますが、注意したいのは、このようなマッチングサイトに登録しているのは元起業家のエンジェル投資家ではなく、一攫千金を狙った個人投資家である場合が多いということです。

また、金融商品取引法では資金調達の募集行為には規制がされていますが、マッチングサイトに投資家募集と掲載することはこの金融商品取引法の発行開示規制に該当するリスクがあります。

もし罰せられるようなことになっても、マッチングサイトが責任を負ってくれることは絶対にありません。それを考えればマッチングサイトは利用しない方が無難と言えるかもしれません。

まとめ

エンジェル投資家から出資をうけるということついて、メリットやデメリット、注意点、出会う方法についても詳しくご紹介しましたが、良いところばかりではなく気をつけなければいけない部分も多いということがおわかりいただけたかと思います。

出資額も多くはないエンジェル投資家の最も大きなメリットというのが、経験豊富な先輩起業家と知り合いになることで様々な助言をもらうことができるという点ではないでしょうか。人として尊敬することが出来るエンジェル投資家と知り合いになることが出来れば、仕事においても人生においてもプラスにすることが出来るはずです。

資金調達方法は様々ですが、エンジェル投資家による出資は自分に合っているのかどうかというところも大切なポイントになります。安易に決めてしまわず、しっかりと考えた上で選択するようにましょう。

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