
2000年代頃からオール電化住宅が広がりを見せ始めました。
ちょうど環境保護のために太陽光発電の普及がはじまり、電力自由化について盛んに議論が行われていた頃です。
それから、10年経ち、現在ではオール電化住宅は、住宅の購入やリフォームのときの選択肢にあがるほど、当たり前になっています。
家中のシステムを電気だけでまかなうシステムは省エネなどが考慮され、効率的に電気エネルギーを家中に送電できるところが、一般的なガスを使用した住宅とは一線を画したものとなっています。
また、2011年に起きた東日本大震災や、毎年起こる自然災害に対応するため、自家発電システムを備えたオール電化住宅なども登場し、防災や減災を重視するひとには魅力のあるものとなっています。
更に、IHクッキングヒーターや給湯器、エアコンや床暖房などの設備もオール電化しようのものが数多く登場しています。
本記事では、オール電化について解説をするとともに、オール電化へのリフォームや、そのときに利用できる助成金についてもご紹介していきます。
これから、ご自宅をオール電化にリフォームしようと検討中の人はもちろん、オール電化に興味のある人はぜひご参考になさってください。
オール電化住宅とは?
始めにオール電化住宅とはどのようなものなのか解説しましょう。
オール電化住宅は、簡単に説明すると、家中で使用しているすべてのエネルギーを電気に統一した住宅です。
なので、電気以外のガスなどのエネルギーを併用している住宅をオール電化住宅とは呼びません。
オール電化に利用されている電気機器としては
・給湯器(電気温水器、エコキュートなど)
・IH調理器
・冷蔵庫、エアコン、蓄熱電気暖房機、床暖房システム
などがあります。
ガスなどのように火を使用しないので、ガス漏れや火災などの起こりにくい環境を重視したいなど「安全性」や天然資源であるガスを使用しない点や近年世界的に問題視されている「地球環境の保護」「省エネ」といった考え方も多くの人がオール電化住宅を選択する理由になっています。
またオール電化の火事を出しにくいというメリットから、自治体の助成金や金融機関の住宅ローンの金利優遇、火災保険の特別割引などがおこなわれています。
オール電化のメリット
オール電化のメリットを5つあげてみましょう。
1.ガスの基本料金が無料になる。
2.直火を使用しないので、火事になりにくい。
3.火災保険の割引を受けることができる。
4.新築をする場合、ガス管の配管工事をする必要がない。
5.災害に強く、ガスなどと比べると復旧が早い。
上記のメリット以外にも、住宅の間取りに自由度が増えたり、ガスを使わないことにより、一酸化炭素が発生することがなく、事故が起こりにくい、などのメリットがあります。
オール電化のデメリット
それでは、オール電化のデメリットを5つ見てみましょう。
1.電気機器の導入に費用が掛かる。
2.電気代が値上がりした場合に、光熱水費がかさむ。
3.電気給湯器はお湯をためる部分が大きくなる傾向があり、タンクを置く場所が必要。
4.天災などで貯水タンクなどが呼称した場合、お湯を使うことができないことがある。
5.停電時にはすべての電気機器の利用ができなくなる。
といった、デメリットがあります。
家中のエネルギーを電気で賄うため、停電などが弱点になります。
また、電力会社の電気利用料金の改定などで、月々の電気代がそれまでよりも高くなる場合があるのは気になるところです。
オール電化と太陽光発電の組み合わせ
オール電化を導入するときに、一緒に導入を考えたいのが、太陽光発電です。
太陽光発電システムは、住宅の屋根などに、太陽光パネル設置工事をおこなって、自宅で発電した電気を利用することができるようになります。
このシステムはオール電化住宅との相性がよく、この2つを組み合わせる自宅の太陽光発電で作った電気を利用して、電気機器を使用したり、お湯を沸かしたりすることができるようになります。
電力会社から電気を購入しなくても済むので、電気代がほとんどかからなくなるといった大きなメリットがあります。
また、電力の自由化がすすんでいる現在、太陽光発電で余った電力については、電力会社などに売る仕組みもあります。
このような理由で、自宅をリフォームしたり、新築したりするときに、太陽光パネル設置工事とオール電化住宅をセットで購入する人も多いようです。
しかし、太陽光パネルを設置するにも、費用がかかり、また、太陽パネルも永遠に使えるわけではなくその法定耐用年数は、17年となっており、これは、17年で太陽光パネルの価値がゼロになることを表しています。
しかし、17年たつと太陽光パネル自体が使えなくなるという意味ではありません。
太陽光パネルのメーカーによりますが、実際の太陽光パネルの寿命は約20年から30年程度とされています。
太陽光パネルは故障しづらいものではありますが、天災などの影響をうけると、使用できなくなったりすることはあります。
故障してしまうとその間の電気の発電ができなくなりますし、修理や交換にも費用がかかるところが太陽光発電の大きなデメリットでしょう。
オール電化の費用
住宅をオール電化にリフォームする場合どのようなものに、どれだけの費用がかかるでしょうか。
3つの代表的な例を見てみましょう。
1.ガスコンロをIHクッキングヒーターにした場合。
本体の価格は約15万円から35万円程度の費用が掛かります。
それとは別に工事費用がかかるため、その費用を5万円から10万円と見積もると、トータルで、約20万円から45万円程度の費用がかかります。
2.ガス給湯器からエコキュートにした場合。
この場合は、「エコキュート」というシステムを購入することになります。
エコキュートの本体価格が約45万円から80万円程度。本体価格はお湯の貯水量で、変わります。
これに工事費が約10万円から15万円程度かかりますから、合計で約55万円から95万円程度かかります。
3.太陽光発電の設置
太陽光発電システムの導入は住宅をオール電化にリフォームするのに相性の良いシステムです。
導入することで、夜間の電気料金が安くなり、昼間の電気代も太陽光発電システムによる自家発電で対応するため、効率よくオール電化住宅の恩恵をうけることができます。
太陽光発電システムを導入するには、太陽光パネル本体の価格が約130万円から230万円程度かかります。工事費が約50万円から70万円程度かかります。
合計で、180万円から300万円程度の費用がかかることが予想されます。
またこれ以外にも床暖房などにも費用がかかってきます。
なので、リフォームの際にオール電化と太陽光発電システムの組み合わせを検討すると、
約400万円から500万円程度の費用を見ておく必要があるでしょう。
ただし、実際は、オール電化に使用する電気機器の値引きや、工事費の割引などの工夫をす
ることで費用を安くすることは可能でしょう。
オール電化に利用できる助成金
上で、オール電化にするときに実際は値引きや割引などがあることをご紹介しましたが、
オール電化にするための費用を安く抑える1番の方法は助成金を利用することでしょう。
助成金の対象はエコキュートの設置です。
エコキュートとは、空気の熱を温水に変える電気給湯器のことです。
昼間よりも安い夜間電力を使って、お湯を沸かして貯水することで、日中のお湯を安く使うことができる技術です。
このエコキュートの設置に使える助成金があります。
各地方自治体にエコキュートの助成制度にかかる窓口があります。
自治体への助成金の申請の方法
エコキュート設置のための助成金の申請方法を順番に解説します。
■エコキュート設置にかかる助成金申請の流れ
①エコキュート設置前に助成金申請窓口に相談する。
②申請書、契約書の写しや見積書などを提出する。
※各自治体で申請する際に必要な書類がことなりますので詳細は自治体窓口にご相談ください。
③書類審査を無事通過すれば、ヒートポンプ給湯器設置補助金交付決定通知書が送付されま す。
④工事完了後、各自治体で規定されている期限までに報告書や、書類を提出して、補助金の 申請を行いましょう。
エコキュートの設置にかかる助成制度には他にもいくつかの条件がありますので、各自治体の助成制度の条件を確認してから、補助金の申請をするようにしましょう。
なぜオール電化にリフォームすることに助成制度が使えるのか
現在、地球温暖化や、大気汚染、水質汚染、異常気象など、昔から利用されてきたエネルギーが環境破壊引き起こしていることが社会問題となっています。
環境保護の観点からも、省エネや環境に優しい技術開発などが盛んに行われています。
昔の給湯器にはフロンガスが使用されていて二酸化炭素を排出することが、地球温暖化の温床になっていることが盛んに指摘されてきました。
エコキュートはフロンガスを使わない環境に優しい技術として開発されました。
環境保護は世界の潮流となっていて、わが国でも環境保護技術の社会への普及への取り組みは、重要視されています。
なので、国や地方自治体は助成制度を制定して、クリーンエネルギー社会の実現を促成しているのです。
まとめ
本記事では、オール電化と助成金について解説してきました。
オール電化住宅は、今の住まいである住居もリフォームをすることで、従来よりも格段に電気料金が安くなります。
火事になりにくく、光熱費を抑えることができて、環境に優しいというメリットは大変魅力的です。
しかし、リフォームには安くない費用がかかります。
これから、オール電化住宅やエコキュートの設置を検討されている人は、十分に資金を準備しておくとともに、自治体で用意している助成制度の利用も視野に入れることで、費用を抑えてオール電化住宅へのリフォームを検討されてはいかがでしょうか。