
空き家に対して補助金を活用していきたいと考える場合、「空き家対策」と「空き家の補助金」について理解しておく必要があります。
そこで、本記事では、
「3つの空き家対策」
① 空き家の情報収集
② 特定空き家に対する措置
③ 空き家、空き地の再利用
「3つの補助金」
① 空き家の除去に対する補助金
② 空き家の改修に対する補助金
③ 空き家の取得に対する補助金
について解説していきながら、空き家対策の概要と補助金の利用について理解していきます。
3つの空き家対策
それでは、まず最初に「3つの空き家対策」についてまとめていきます。
空き家対策とは、その家屋や建物が「空き家」になってしまわないように、何かしらの策に取り組むことを言います。
主に、政府や地方自治体など、いわゆる行政が地方活性化のために取り組んでいる制度になります。
空き家が増えてしまうと、空き家の管理をしなければならないだけでなく、その地域の価値が下がってしまうことにも繋がります。
場合によっては、空き家で事故が発生する可能性もありますので、無闇に放置することはできないのです。
空き家にも税金がかかってしまうため、無駄なコストが必要にもなりますから、空き家をどうにかしなければマイナス面しか無いのです。
そして近年、日本では空き家件数が増加傾向にあります。
昔に建設された住居は、耐久年数が少なかったり、耐震強度が低かったりしたこともあり、かなりの数が使用不可の空き家になりつつあります。
その上、少子高齢化が進むことで、空き家は増えるのに、それを利用する若い世代が少ないという反比例の構図になりつつあります。
こうした問題を抱える物件がどんどん増加していくことになるので、問題を先送りすることなく、うまく利用していくことが大切です。
ということで、空き家の対策方法や空き家の補助金について、ここから学んで活用してみてください。
① 空き家の情報収集
空き家対策の1つ目は、情報収集をするところからスタートです。
その空き家がどのような状況なのか、所有者は誰なのか、空き家に見えているだけでなく「本当に誰も住んでいないのか」など、情報を集めていきます。
外から見る限りは「空き家」であっても、その家屋が空き家かどうか判断するためには基準が必要になります。
どれだけボロボロの状態でも、人が住んでいたり、所有者が「空き家では無い」と言えば、空き家ではなくなってしまうからですね。
とはいえ、老朽化してしまった住宅では、倒壊や崩落、害虫、悪臭など、様々なリスクが潜んでいます。
これを蔑ろにするわけにはいきませんよね。
そこで、平成27年には「空家対策特別措置法」という法律が制定されました。
この法律によって、老朽化した住宅や家屋が、近隣住民や周辺の環境に対して与える影響をしっかりと考慮すること、を目的とした活動が可能になりました。
簡単にいうと、市町村が「立ち入り調査」や「固定資産税に関する個人情報の閲覧」などが可能となり、その住居や家屋が「空家」であるかどうかを決めることができるようになったのです。
つまり、「空家認定」を行うことができるようになったのです。
さらに、早急な対応が必要だと判断された物件は「特定空家」と指定し、処分の対象とすることも可能になりました。
詳しくは「空家対策②」にて解説します。
② 特定空き家に対する措置
空家認定をしていく際に、4つの判断基準によって「特定空家」に指定される可能性があります。
1.倒壊等、著しく保安上危険となる状態
2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理がなされておらず、著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態
この4つの基準になります。
また、人が住んでいない「空家等」と判断する場合には、水道、電気、ガスの使用実績や出入りの有無が、1年以上ない状態で判断します。
空き家と認定される基準は、かなり明確に定められているので、多くの住居が空き家として認定されてしまっています。
この1〜4を見ればわかりますが、一般的に空家と言われている住居や家屋の状態は、この4つの基準に当てはまっているものだと思います。
つまり、基本的には「特定空家」に認定されてしまうということです。
特定空家になるとどうなるのかというと、
所有者は行政の指導に沿って管理、修繕を行う義務が発生してしまうのです。
当然、その管理や修繕を怠ってしまうと、処罰が課されます。
現在では、50万円以下の過料を徴収されてしまうようです。
これだけでなく、所有者の行方がわからないなどの理由で、管理そのものが難しいと判断された場合には、「行政代執行」によって住居や家屋が解体されるケースもあるのです。
このように、空家の状況によっては行政が「強制的」に特定空家に認定することができ、強制的な管理の下に置かれる仕組みが出来上がっているということです。
こうなってしまうと、追加の過料を避けるために、何かしらの対策を取ることが必要になってきます。
多くの人が実践している対策が「空き家、空き地の再利用」です。
③ 空き家、空き地の再利用
ということで3つ目は「空き家、空き地」の再利用です。
行政によって空き家認定を受け、その後「特定空家」に認定された場合、抜本的な対策を講じなければなりません。
基本的には、リフォームなどで修繕するか、修繕だけではなく再利用できる状態を目指すことになるでしょう。
空家の再利用について、いくつか挙げてみましょう。
◯ 自身が住む住居としてリフォームする
◯ 賃貸やシェアハウスとして貸し出す
◯ 倉庫、カフェ、ショップとしてリノベーションする
◯ 観光客向けの民泊として改装する
◯ 空家バンクに登録する
このような感じでしょう。
どれもイメージできるかと思いますが、空家バンクだけ解説しておきます。
空家バンクとは、空家を借りたい人、貸したい人のマッチングサイトのようなものです。
空き家を処分したい人にとっては、空き家を借りたい人がいるとなると、非常に助かりますよね。
反対に、新しいビジネスに建物を活用したい人にとっては、処分したい人から安く提供してもらえたら非常に助かります。
空き家に対して「win–win」の関係を築いてくれるありがたい制度です。
多額の資金をかけて無理やり空家運用をしようとするのではなく、まず最初は空家を利用したい人を探して「空家バンク」に登録することをおすすめします。
「3つの補助金」
空家に対する対策を3つご紹介してきたところで、実際に空家を有効活用する際に必要となる「3つの補助金」について解説していきます。
「空家をどうにかしたい!」と思っていても、大きな壁として立ちはだかるのが「お金の問題」です。
住居や家屋をリフォームするとなると、かなりまとまった金額が必要になりますよね。
倒壊の危険を回避するだけの補強工事なら大したことはないのかもしれませんが、それこそ問題の先送りをしているだけになります。
これをポケットマネーから準備するのはかなり難易度が上がりますので、補助金を活用しましょう。
補助金を正しく理解して、有効活用できれば、選択の幅が広がります。
① 空き家の除去に対する補助金
1つ目は、空き家の除去に対する補助金です。
空き家の解体費用や、空き家の撤去にかかる費用に対して適用できる補助金になります。
内容としては、
空き家の除去や解体を請け負う「自治体内の事業者」に業務を委託した場合に限り、その費用を補助してくれるものになります。
自分が懇意にしている事業者が選択できるわけではないので、注意が必要ですね。
補助される金額も自治体によって様々なので、御住まいの地域の補助金制度を調べてみたり、直接役所に問い合わせてみると、正しい補助金額を知ることができます。
② 空き家の改修に対する補助金
2つ目は、空き家の改修に対する補助金です。
1つ目との違いは、空き家を除去、解体して使用不可にするのではなく、改修して利用可能な状態にするというものです。
改修とは、いわゆる「リフォーム」や「リモデル」、「リノベーション」にあたります。
こちらも同様に、「自治体内の事業者」に業務を委託した場合に限られますので注意してください。
補助金の金額についても同様に、御住まいの地方自治体に問い合わせることで正しい金額を知ることができます。
この制度は、空き家を自由に改修して良いというわけではなく、自治体によっては「改修の理由」や「改修後の利用目的」なども明確にしておく必要があるので、しっかり検討しておきましょう。
どこまでやれば「改修」として扱われるのかも、証明が必要になるので自治体に問い合わせてみてください。
③ 空き家の取得に対する補助金
3つ目は、空き家の取得に対する補助金です。
こちらは、すでに空き家を所有している人を対象とした「空き家の除去に関する補助金」や「空き家の改修に関する補助金」とは異なり、これから空き家を取得する人に向けて提供される補助金になります。
政府や行政としては、所有者が変わるかどうかは関係なく、「空き家をよりよく利用してもらう」「空き家の件数を減らす」ことがメインの目的になります。
よって、今空き家を所有している人がよりよく活用することだけでなく、これから空き家を「有効活用してくれる人」にも補助金を提供してくれるのです。
これは知っておいた方が良い制度ですよね。
これから空家を取得して、それを改装することで「店舗運営」や「自宅として利用」などを検討している場合には、有効活用すべき制度です。
空き家と聞くと、不良債権であるかのように感じます。
しかし、活用方法によっては大きなビジネスチャンスにもなり得るので、大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
まとめ
空き家の補助金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
空き家に対して、政府や行政からなされる対策を理解し、空き家所有者が損をしないように賢く補助金を活用することが重要です。
知らなければ対策もできませんし、知らなかったことで「大きな損」をする可能性もあるので、正しく理解しておきましょう。
そのためには、「対策」や「補助金」に対して知識を得ている必要があります。
空き家を所有している人も、これから空き家を取得していく人も、しっかりと知識を身につけていきましょう。
本記事で知ったことをうまく活用していただいて、空き家所有者が空き家をうまく利用し、その後の人生に役立つ情報となっていれば幸いです。