
ローンの利用する際の利息や限度額は気になっても、返済方法については「あまりよくわからない」という方は多いのではないでしょうか?
「返済方法はどれも同じ」と思われがちですが、返済方法にはいくつかの種類があり、種類によっては利息を多く負担することになってしまいます。
そこで、こちらの記事では、ローンの返済方法について、アドオン方式と実質年率方式を解説していきます。
知らないうちに「多くの利息を払っていた」と言うことにならないように、ローンを利用する前にはしっかりと確認しておきましょう。
INDEX
ローンを利用するならアドオン方式を知っておこう
アドオン方式とは、ローンを返済するときの返済額を計算する方法ですが、最近ではあまり使われなくなってきました。
しかし、クレジットカードやマイカーローンの分割払いで見かけることもあり、他の返済方式と異なった違いがあるために、アドオン方式がどのような返済の方式であるかを知っておくことは大切となります。
返済利息には2つの表示方式がある
利息の表示方法には、大きく分けてアドオン方式と実質年率方式との2つのタイプが存在しています。
アドオン方式というのは、借入額に対して返済利息の総額が最初に決まる方式のことを言い、実質年率方式というのは、借入れ残高に応じて返済利息が決まる方式のことをさします。
◆アドオン方式
・借入額に対して利息が決定する方式
◆実質年率方式
・借入残高に対して利息が決定する方式
現在では、アドオン方式を適用しているかに関係なく実質年利率方式での表示が義務付けられていますが、アドオン方式がまったく無くなったという訳ではありません。
次にアドオン方式と実質年利方式について、詳しく見ていきましょう。
アドオン方式を徹底解説
アドオン方式とは、分割手数料を返金額に上乗せる「add on」の意味からきています。
現金価格に手数料総額を加えたうえで、割賦販売価格を返済回数で割り、毎回の返済額を決定する方式です。
返済金額は一定ですが、返済終了するまで、最初の借入金額を元に利息が計算されることになります。
アドオン方式の返済利息を計算
アドオン方式で返済金額を計算するには、まずは借入金額にアドオン金利を掛けて利息の総額を出します。
これに借入金額をプラスし、返済回数で分割して返済する形となります。
◆アドオン方式の計算式
『 借入金額×アドオン金利+借入金額÷返済回数=毎月の返済額 』
返済利息をシミュレーション
実際にアドオン方式で計算すると、どのような利息返済になるのでしょうか?
例として、借入金12万円、アドオン金利10%、返済回数10回払いの返済シミュレーションを行うと、毎月返済額、うち元本返済額、うち返済利息が下記の表の通りになります。
◆借り入れ条件
・借入金 12万円
・アドオン金利 10%
・返済回数 10回
返済回数 | 毎月返済額 | うち元本返済 | うち返済利息 |
1回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
2回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
3回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
4回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
5回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
6回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
7回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
8回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
9回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
10回 | 13,200 | 12,000 | 1,200 |
累計 | 132,000 | 120,000 | 12,000 |
上の表でもわかるとおりに、アドオン方式の毎月の返済額や元本返済額、返済利息が均一となることがわかります。
また、実質年率方式で、借入金12万円、アドオン金利10%、返済回数10回払いの同じ条件でシミュレーションを行った場合には、下記のような返済利息累計と返済総額となります。
◆借り入れ条件
・借入金 12万円
・アドオン金利 10%
・返済回数 10回
◆実質年率方式の場合
・返済利息合計 5,568円
・返済総額 125,568円
参考元:実質年率方式
同じ金利であっても、アドオン方式と実質年率方式では、返済利息が異なり返済総額は違ってきます。
実際にアドオン方式の金利の場合には12,000円の利息、実質年率方式の場合には5,568円となり、6,432円もの差が出てしまうことになりました。
アドオン方式の3つの注意点
アドオン方式では、上記のように返済額や元本返済額、返済利息がわかりやすいのが特徴ですが、実質年率方式と比較して注意しなくてはならない点がいくつあります
次に、アドオン方式を利用する際の3つの注意点を見ていきましょう。
金利の負担が大きくなる
上記でも説明したようにアドオン方式では、返済が完了するまで当初の借入金額を元にして利息計算されるために、表示されている利率よりも、実際に支払う利息の負担は大きくなります。
また、返済期間が長ければ長いほど、返済総額が膨らんでしまうのが特徴です。
繰上げ返済の効果が得られない
実質年率方式とアドオン方式のもう一つの違いは、繰上げ返済を行っても、アドオン方式の場合にはほとんど効果が得られないということです。
実質年率方式で繰上げ返済を行えば、全て元本に充てられるために、その分の利息が消えて効果的に返済総額を大幅に減らすことができます。
アドオン方式では、当初の借入金額を元に利息を計算しているために、繰上げ返済を行ったとしても支払う利息の軽減効果は得ることはできません。
実質年率方式よりも返済総額が多くなる
アドオン方式と実質年率方式の金利が同じであったとしても、アドオン方式の方が返済総額は多くなります。
実質年率方式では返済が進むごとに返済利息が減ってきますが、アドオン方式は返済利息が一定であるために返済総額は減ることはないのです。
実際に、アドオン金利が10%で12回の返済をすると、実質年率方式の18%程度の返済総額となってしまいます。
アドオン方式よりも、実質年率方式の方が返済総額を大幅に減らすことができることを覚えておきましょう。
アドオン方式ではなく実質金利が義務化
アドオン方式と実質年率方式の計算を用いた場合、アドオン方式の方が実質年率方式と比べて返済総額が多くなってしまい、借り手からすると不利な表示方式と言えます。
このようなことから、現在ではアドオン方式を用いているかに関係なく、実質年率方式で表示することが法律で義務化されています。
同じ方式での表示なら、金利も簡単に比較することができるでしょう。
また、アドオン方式のみでの表示は違法となっていますので、ローンを利用する際には確認しておきましょう。
実質年率方式を徹底解説
実質年率方式は、借入金元本残高に対して年率を換算したものです。
毎月の返済額は変わりませんが、借入金元本残高に対しての利息となるために、返済を重ねるごとに元本の減る割合が増えていき、利息は返済回数を追うごとに減っていきます。
ただし、実質年率方式の計算は非常に難しく、電卓ではなくコンピューター等によって計算されることが一般的となっています。
実質年率方法は、銀行での借入や住宅ローンなどで利用されています。
実質年率方式の計算式
実質年率方式の計算方法は、手数料を含めた借入利息を年率に換算したもので、下記のように計算されます。
『 借入残高×実質年率÷356日×借入日数=利息 』
実質年率とは利息の年率
実質年率方式の「実質年率」とは、元金以外に必要となる利息、手数料等の費用を含めた利息の年率のことをさしています。
実質年率が把握できれば、ローンの最終的な返済総額が確認できるようになるでしょう。
また、カードローンなどの金融商品に表示している実質年率の記載は法律によって義務付けられることで、比較しやすくなっています。
実質年率方式の比較の仕方
例えば、A社のカードローンの実質年率は3.0%~18.0%、B社の実質金利は3.4%~14.5%だったとします。
この場合には、どちらの会社のカードローンを選ぶのが良いのでしょうか?
もしも双方が、10〜800万円までの借り入れが可能だった場合、10万円のカードローンではA社が18.0%、B社が14.5%の実質年率となります。
◆10万円のカードローンの場合
・A社 18.0%
・B社 14.5%
10万円のように少額の利用であればB社の方がA社よりも低い金利で、お得に借り入れることができるでしょう。
800万円を借りる場合は、A社が3.0%、B社が3.4%となり、実質年率のほうが低いA社で借り入れを行えば、支払総額は少くなくなりお得に借り入れられることになります。
◆800万円のカードローンの場合
・A社 3.0%
・B社 3.4%
どうやって実質年率が決定されるのか?
返済総額は実質年率によって違ってきますが、ローン会社が提示している実質金利の幅は広く設定しているために定かではありません。
では、どうやって実質年率は決定されるのでしょうか?
実質年率が決定には個人の信用度が重視され、申し込み元に信用情報などを審査し金利が決められていきます。
もしも返済が遅れてしまった場合には、本来の金利が13%であっても金利の15%となってしまうこともあり得るのです。
また、信用情報が乏しいなどの理由で金利が高くなる可能性もありますので、どのようなローンでも返済は遅れることなく確実に支払っていくことが、結果として支払総額を小さくしていくことにつながります。
まとめ
ローンの利息の表示形式となるアドオン方式では、返済利息の計算とシミュレーション、3つの注意点を解説。また実質年率方式では、計算式や比較の仕方、実質年率の決定方法などを解説してきました。
実質年率方式の計算方法は難しく、アドオン方式の計算は簡単で一見すると低い金利と見えますが、実質年率方式に比べて高い金利となり、多くの返済総額を負担することになります。
ただし、現在ではアドオン方式のみだけの表示は認められておらず、アドオン方式と実質年率方式を併記することとなっていますので、ローンを利用する際には、実質年利をよく確認しておきましょう。
せっかく資金調達を得ることができても、返済方法の違いで「多く利息を支払うことになってしまった」とならないように、賢くローンをご活用ください。